p6 職業
ドアを開けた俺は驚きで一瞬固まった。
扉の中は建物の外見からは想像出来ないほど広く、たくさんあるテーブルも満席なほど人がいる。
そして室内に充満する酒と肉の匂い。
俺とシャラは顔を見合わせて頷いた。
《早く登録を済ませよう》
人ごみの中俺たちはカウンターへとたどり着いた。
しかし、俺がカウンターのお姉さんに「ギルド登録をしたいんですけど」と言うと、「すみません。登録用カウンターはあちらです」と隣へ行けと言われた。
言われたそのカウンターはすぐ隣にある。あることにはあるが、カウンターのお姉さんに突っかかる酔っ払いどものせいで道がない。
仕方がないので遠回りをしたのだがそれだけで5分はかかってしまった。
「はぁ…はぁ…と、登録を…お願いします…」
人ごみの中遠回りした俺が息を切らしながら言うとカウンターのお姉さんは少し引きながらも「では、登録手続きをします」と言った。
俺が、何か書類を書くのかな?と思いながら待っていると、おねいさんはカウンターの下からバーコードを読み取るような機械を出した。
そしてお姉さんはこう言う。
「では、お二人とも腕を出してください」
俺とシャラは大人しく指示に従った。
お姉さんは機械を俺たちの腕にかざす。
そしてピッと、電子音が鳴り画面に何かが映し出された。
『田口 広樹』
16歳
5月14日生まれ
AB型
『シャラ・ルーナ』
15歳
1月15日生まれ
B型
俺とシャラの簡単なプロフィールだった。
そして、まずは広樹様からと俺が呼ばれた。シャラも横で見ている。
「それでは職種などを決めたいと思います。この中からご希望の職種をお選びください」
そう言って渡された資料にはこう書いてあった。
「剣士」
もっとも扱いやすい職業。片手剣、大剣やハンマーなど色々な種類がある」
「魔法使い」
回復魔法、攻撃魔法など攻防どちらにも使える。攻撃の威力は高いが反動がある場合がある」
「科学者」
比較的マイナーな職業。しかし、作る武器、毒、回復ポーションなどはお墨付き」
「弓使い」
通称アーチャー。遠距離攻撃を得意とする職種。毒矢など、矢によって相手に追加効果を狙うことができる」
「勇者」
もっとも性能の良い職業。剣士、弓使いと同じことができ、自然界にあるものから一人で調合することができる。さらに、簡単な開発や魔法なども種類によってはできる。
…
これは…勇者が一番良い職業に決まってるじゃん?この世界の人すべて勇者だったのかよ?
そう思いながらお姉さんに言う。
「勇者でお願いします」
すると、お姉さんは一瞬固まった後、聞き返してきた。
「…これから他の職業に変えることはできませんがよろしいですか?」
「…?はい。お願いします」
そう答えるとお姉さんは手続きかどうかは分からないが何処かへ電話をした。
俺は、お姉さんの言っている意味はさっぱり分からなかったが、勇者になることは変えなかった。
なんだか向こうでお姉さんの、「初めて」とか「最初の勇者」とか話す声が聞こえてくる。
なんだか俺はすごく嫌な予感がしていた。
しばらくすると、お姉さんが戻ってきた。
そして俺に向かいこんなことを言った。
「ありがとうございます。この世界では初の勇者です。特殊な条件のせいで選ぶ方がいなかったのですが、あなたが勇気ある方で良かったです。つきましては、何か特典としてお渡ししようと考えているので後でまた来てください」
………え?
初?特殊な条件??
さっぱり意味がわからない俺はもう一度資料を読んでみる。
「勇者」
もっとも性能の良い職業。剣士、弓使いと同じことができ、自然界にあるものから一人で調合することができる。さらに、簡単な開発や魔法なども種類によってはできる。
普通の内容だ。おかしいところなんて何一つ………
資料を置こうとしたところで、資料の裏からもう一枚あった資料が落ちた。
そして、そこにはこう書いてあった。
ただし、魔王を倒すという使命が現れます」
……………これは…えーっと…テヘッ?
嫌だ!超絶的に嫌だ!でもさっき、「他の職業に変えられない」とか言われたし、あーもうちくしょう!やってやろうじゃないの!!
吹っ切れた俺は嫌だを通り越してやる気に満ち溢れていた。
さらに、勇者のパーティーには最高級の部屋が無料で提供されるらしく、一旦俺とシャラは部屋に戻ることにした。
(ちなみにシャラは魔法使いを選択した)




