p3 マジック?魔法?やっぱり普通の馬車か
ドアを開けると床がなく、俺は真っ逆さまに落ちていった。
『うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
そして、目が覚めた。
「…夢?」
起き上がって俺はふぅ、と息を吐く。
「良かったー…夢かぁ」
が、ほっとしたのもつかの間、すぐに飛び起きた。
「こ、こ、ここ、何処だぁぁ!?」
俺が寝ていたのは自分の部屋ではなかった。全く知らない場所の草原の中で寝ていた。
「…と、とりあえず人に聞こう」
そして広樹は周りを見渡す。周りを……………見渡す………
「って、誰もいねーじゃねーか!!」
俺のいるところの周りは畑ばかりで人の姿などは見ることができなかった。と、その時。道の向こうから馬車が走って来るのが見えた。
(…馬車?は!まさかあれはダークサイドへ行くための手段!?俺を連れに来たのか!)
俺が妄想を膨らませている間に馬車は目の前に停止していた。
馬車の中から人が出てくる。
そして、馬車から人が降りてくる。
さらに馬車から人が出てくる。
しかも人が降りてくる…
「って…何人乗ってるんだよ!?」
今降りてきた人だけでも三十人。
(よく入ってたなこれだけの人数…)
と感動していると、
「すいません広樹様。手違いがございまして…まずは付いてきていただけますか?」
馬車から降りてきた人の一人がそう言って馬車のドアを開けた。
(怪しい…)
しかし、突然現れたこの人たちを警戒していた俺は逃げようと思いながらも動かなかった。いや、動けなかった。なぜなら後ろにはなんともまぁ体の大きな男が立っていたからである。
ふと、「早く説得しないと…このままじゃオムニスさんに示しが…」という声が聞こえてきた。
「オムニス?」
(その名前…聞き覚えがあるような…)
そして俺は思い出す。
(あ!あの神か!)
あいつの知り合いなら大丈夫であろうと、俺は態度を一変させてそそくさと馬車に乗り込んだ。
馬車の中は外見からは分からないほど広かった。確かにこれなら何人でも入れそうだ。
「ほぇー…すげぇな…」
と俺が感嘆していると、オムニスの知り合いの一人が、
「そりゃあ魔法を使ってますからね…」
と言った。
(まて、今魔法って言った?この科学の進歩した世の中で?)
俺はなんだか意味がわからなくなっていった。




