p1 暗い部屋
気がつくと俺は暗い部屋の中にいた。
その部屋には入り口と思われるドアが一個だけ付いていた。他には窓も家具も何もない。
俺が周りを確認しながら、
「なんだここは…はっ!まさか、異世界の行き方を知ってしまったから秘密結社に囚われてしまったのか…!?」
と言っていると上から、そう、上から声がかかった。
『違うよ、秘密結社なんかじゃないよ。君がここに来たいと言ったんじゃないか。しっかり手順までこなしちゃってさ。ちなみに、ここはパンタシアムンドゥスに通じる部屋だよ』
「っうぇ!?人が…浮いてる…」
俺がそこに見たのは宙に浮いている男の子。見た目からして中…いや、小学生だ。
「あはは、御察しの通り人じゃないよ僕は」
ケラケラと少年が笑う。
俺はとりあえず今一番疑問に思っていることを聞いた。
「えーっと…お前誰だ?」
それを聞いた少年はキョトンと少し固まった後お腹を抱えて笑いだした。
「あははは!そんな真面目な顔しちゃって!あはははは、ここはどこなんだとか聞いてくるのかと思ったらさ、お前誰だってさあはははは!!」
「いや、笑う要素が見当たらないんだが…」
話についていけていない俺はとりあえず突っ込んでおく。
「あは、あはは。ごめんごめん僕の名前はオムニスだよ。これでも一応神様なんだよ」
俺も自己紹介したほうが良いのか?と思いながらオムニスに確認した。
「えーっと、オムニスな。そして神様をやってると…神様?」
(ちょっと待て神様って言ったかこいつ!?)
自分の記憶に問いかける。
「君の名前は?」
考えているとオムニスが問いかけてきた。反射的に、
「俺の名前はメテオリーテートス…」
と名乗りかけるとオムニスに
「あーはいはい、本名を教えてね」
無情にもスルーされた。
「…俺の名前は田口広樹」
しぶしぶそう言うと、オムニスは楽しそうに、
「そっかそっかー!広樹くんかぁ…」
と言い…
「それじゃ、一名様ごあんなーい!」
と、続けた。って、え?ご案内ってどういうこと??
聞こうとしたが、その前にオムニスはドアを開けてしまっていた。次の瞬間、俺はドアへ吸い込まれていった。
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!」
遠くでオムニスの、
「あ、言葉とかは大丈夫だよ!話せるようにしといたからさ」
という声を聞きながらまた俺は気を失った。