p15 異変
問題の日、俺はいつも通りシャラを連れて、モンスター狩りをしていた。
周りのモンスターをあらかた倒し尽くし、一息ついている時、奥の草むらがガサッと大きな音を立てたんだ。
新しいモンスターか?と思い、シャラを下がらせて俺は戦闘態勢に入った。
《でも、出てきたのはモンスターではなかった。》
そこから出てきたのは男性だった。
男性は身体中に切り刻まれた様な傷があり、かなり出血していた。
素人の俺が見ただけでも助からないと分かった。
なぜなら、その人には下半身がなかったからだ…
その人は、助けてくれ、助けてくれ、とかすれた声で言った直後に力尽きた。
俺は、怖くて動けないシャラをおぶって、すぐにその場を離脱した。
俺はまず、ギルドへと急いだ。
街中を男が(怯えている表情の)女の子を背負って走る姿は、さぞ不審だったに違いない。
現に、背後を警察らしき人が追いかけて来ている……警察?
「こらっ!ちょっとそこの君、止まりなさーい!!」
止まれと言われて止まる馬鹿な犯罪者はいないと思うんですがねぇ!?
っていうか俺は犯罪者じゃないんですがねぇ!?
……ん?警察?
あれ?この人に話せばギルドまで行かなくても良いんじゃ…
と、いうわけで急ブレーーーキっ!
そして、背後を振り返る。
あれ?警察さん驚いてる?なんで?
とにかく急いでいるので、一歩警察に近づく。警察は一歩離れる。
また近づく、また警察は一歩離れる。
………警察に向かってダッシュ!
今度は警察が逃げ出した…
「よし!警察に勝ったぞ!………って、あれ?」
よしじゃねぇ!逃がしてどうするんだ!
警察は諦め、再びギルドへと走る。
……結局ギルドへ着いたのは男性発見から2時間後だった。