p12 着火
「ふぃ〜さっぱりしましたぁ〜」「熱い、あれは熱いよ…」
俺が銭湯から出ると、ちょうどシャラも出てくるところだった。
その表情はまさに天国を見てきたような感じ…
一方の俺は…まぁ、地獄を見てきたような表情をしているだろうな。
あのお湯は熱すぎるよ、3秒も浸かってられなかったぞ?
まぁ、この後は夕飯の材料を買いに行ったり家に帰ったりしただけだから割愛しよう。
というわけで次の日。
俺は懲りずにあの森へ来ていた。
保険として今度はシャラも一緒に。
べ、別に囮にしようとかそういうんじゃないからな!?……
「おぉ〜いるいる。相変わらず気持ち悪いなぁ」
「私の爆発で一網打尽にしますか?」
「いや、まずは俺もランク上げしなきゃな」
ランクとかあるのか知らないけど少しは戦いになれなくちゃ。
そして、奴らに向かって叫んだ。
「ランダム!」
次の瞬間、奴らの真ん中に大爆発が起こった。
これは期待できる!
ここまでの爆発ならきっと倒せているはずだ!
脳にスキル名が送られてくる、これだけの爆発、おそらくエクスプロージョンか何かだろう。
「幻影」
相手に幻影を見せる。混乱しているすきに逃げるか倒せ!」
………は?
つまり、倒せて…ない?
確かに向こうを見ると奴らは混乱しているだけで傷一つ付いていない。
もう一度!俺は再びランダムと叫んだ。
次に奴らを見るともう動いてはいなかった。
ーーーーーパキン
乾いた音が鳴り響いた後、もうそこには奴らの姿はない。
一体残らず粉々になってしまったからだった。
突然の出来事に固まる俺とシャラ。
「絶対零度」
世界四大魔法の一つ。範囲内の全てのものを凍らせる」
脳内にスキル名が送られてくると同時にとてつもない量の情報が送られてきた。
量が多すぎて読み取れないが、おそらくこれがゲームでいう「経験値」というものだろう。
おぉ…なんか快感。
「す、すごいです!流石広樹さんです!」
「いやいやぁ、それほどでも」
ま、実際偶然だったからね。
多分俺が一番びっくりしてるよ。
そんななか、俺は視界の端で点滅している文字を見つけた。
『新しいスキルを覚えました』
お、なんだろう?
…って、どうやってこれ開くんだ?
見れねぇぞ、おい。
「あ、普通に手でできるじゃん!」
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない」
手で操作してスキル名を見る。
「ファイアー」
お、これは期待!
良いスキルの可能性が!!
続けてスキル説明を読み、意気消沈した。
こぶし大の火の玉を出す。これでもうマッチいらず!」
………ファイアーじゃねぇよ!もはやそれは「着火」だよ!!!