p11 戦闘?いやいや、銭湯です
「おはようございまーす…」
大きな文字で『湯』と書かれたのれんをめくるとそこはなかなか趣のある場所だった。
「なんか…広いな」
「広いですね…」
「…で、なんでシャラがいるの?」
「へ?良いじゃないですか。私だって温泉入りたいです」
まぁ、良いんだけどね。
番台さんに大人一人と子供一人分の料金を払って脱衣所へ入る。
あ、期待してた人には悪いが、実は混浴でしたー。きゃー、の◯太さんのエッチーとかいうのはないからな?
「うわっ、凄い湯気…」
風呂場の扉を開けると目の前が真っ白になった。
言わずもがな湯気である。
っていうかこの湯気の量、一体お湯の温度は何度だよ!
「…ハ…ハ…クシュン!おぉぉ、寒い寒い」
あまりの湯気の量に圧倒されて立ち尽くしていた俺はやはり裸で立っている寒さには勝てず、さっさと体を洗い風呂に入ることにした。
鏡の前に立って自分の体の状態を今一度確認する。
…この緑の大丈夫だよね?番台さんもなにも言わなかったし。
細かいことは置いといてさっさと洗ってしまおう。
石鹸をつけて髪の毛から順番に緑色を落としていく。
排水溝へ吸い込まれる緑達………
その様子はまるで使った絵の具セットを洗っているようだった。
その頃シャラはというと、初銭湯に大興奮していた。
「わぁ、大きなお風呂…こっちにあるのは……シャワー!シャワーがあります!!あれ?この扉はなんでしょう?入って良いんですよね?中に人もいるし…入っちゃおう!…って暑っ!この中すごく暑いです!!あぁ、はしゃぎすぎて汗が…」
シャラもやっぱり女の子、自分がたくさん汗をかいていることに気がつくと、シャワーを浴びにシャワールームへといった。
この銭湯、外観はともかくとして設備は凄かった。
シャワールームは個室だった。
「えーっと、これがシャンプー?(ポチッ)って、うわっ!?」
シャラが押したのはシャンプーのボタンではなくシャワーのボタン。
当然、シャワーから降り注ぐお湯が彼女の頭を濡らしたのであった…
To be continued………