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20 罪悪感

投稿したはずが出来ていなかったとか…orz

度々こんなアクシデントがあるかもしれません……凹

「うわぁ」

 鈴さんが、呆れた様な声をあげた。

 アンさんに呼ばれて向かった先にあったのは、昼食とは思えないような豪華な食事の席だった。一番端の人とは声が届かなさそうな長いテーブルに、ずらりと並べられた料理の数々。頭のついた魚やら、鳥の形のお肉やら、豪華! としか言いようのない品々ばかりで、どこに目をやったらいいのか戸惑ってしまう。

 別のメイドさんに連れてこられたウィナードさん達も目を丸くしている。

「ゴチソウダ!」

 と、喜んでいるのはクーファくらいなものだ。

「いやいや、お待たせいたしました」

 言いながら、やってきた例の夫婦。こ、こっちも凄い。

 旦那さんのスーツは何故か光沢を放っているし、ネクタイの柄がピンクに竜という個性溢れる代物だし! 奥さんの方はねじれているといった方がしっくりする程くるくると髪が巻かれていて、薔薇柄のドレスに扇といったパーティーに行く様な姿だし!

「あの、鈴さん。お金持ちの人って、こんな感じなんですか?」

 思わず小さい声で確認すると、「まさか!」と強い否定が囁き声で返って来た。

「これは別格! こんなの今まで見た事無いわよ!」

 ですよね……。

 こちらの常識に疎いわたしでも、流石にこれはおかしいと思うのは間違えではなかったみたいだ。

 わたしたちの戸惑いに気付いていないのか、個性溢れる姿の旦那さんはにこにこと笑いながら「どうぞどうぞ」と席を勧めてくれた。

「レイン様、御一行様、急ぎの準備で大したものは用意できておりませんが、ゆっくり食事をなさってください」

「あ、ええと……どうも、お気遣い頂きありがとうございます」

 ウィナードさんは頭を下げて、わたしたちに「座ろう」と声をかけた。

 その合図で、鈴さんやルークさんがゆっくりと適当な場所に腰を下ろした。ええと、わたしも座っていんだよね?

 取りあえず、鈴さんの隣に腰を下ろす。位置的には、わたしの向かいにルークさん、鈴さんの向かいにジェイクさん。そして最後にウィナードさんが旦那さんの隣に腰を下ろすと、傍にいたメイドさん達がさっと動き出した。わたしたちの席に置いてあったグラスに、飲み物が注がれる。

「これ、お酒ですか?」

「こりゃ、ワインだなぁ。おら、お酒飲めねぇんだども……ジュジュは飲めるだか?」

「いえ……お酒はちょっと」

 一応、飲んだ事はあるんだけどね……。

 魔王様のお城で色々と勉強をしていた中で一度だけ。お酒を嗜むのも作法の一つだと言われて、白亜様と一対一でお酒を飲み交わすという地獄の様な経験をした。三口くらいまでは飲んだ記憶はあるんだけど……その後は記憶が抜け落ちている。

 目を覚ました時には、床に寝ていて、何故か髪と服が乱れている白亜様が見下ろしていた。お前は二度と飲むな、とそれまで見た事無い様なげんなりした顔で宣告されました。何が起きたのかは物凄く気になるけど、それ以上に物凄く聞きたくなくて、飲んだ時の記憶と共に封印することに決めている。

「ジュジュも飲めないの? もったいない! お酒の美味しさを知らないなんて、人生半分は損をしているわよ」

 わたしとルークさんの会話に、鈴さんが入って来た。

 確かに、彼女にとってお酒は人生の楽しみの半分を占めていそう……。

「おや、ワインを飲めない方がいらっしゃったんですね。これは気付かなくて申し訳ない。おい、変わりの飲み物をお持ちしろ」

 わたしたちの話が聞こえたのか、旦那さんが近くのメイドさんに声をかけた。

 メイドさんはうなずくとすぐに別のグラスと飲み物を用意してきた。これは……多分、お茶かな? ウィナードさんにも確認して、ワインとお茶を交換していった。

 飲み物が行き渡ると、旦那さんがすっくと立ち上がった。

「さて、まずはレイン様方。この度は本当にありがとうございました。盗賊に襲われた馬車の中に勇者様がいらっしゃった事は不幸中の幸い。おかげで命も荷物も無事に我が家に帰ってくる事が出来ました。ささやかではありますが、この昼食の席でお礼をさせて頂きたいと思います。では、勇者レイン様と御一行の方々との出会いを祝しまして、乾杯!」

「乾杯」

 旦那さんの挨拶に続いて奥さんも笑顔でグラスを持ち上げる。

 ウィナードさんも奥さんと同じようにグラスを持ち上げた。

「付き合う事無いのにね」

 小さく呟きながら、鈴さんは少しだけグラスを持ち上げる。ルークさんは戸惑いながらも「か、乾杯」と言いながらグラスを持ち上げた。ジェイクさんは持ち上げて……あ、飲むんですね。

 ええと、わたしも一応合わせた方がいいんだよね?

 他の人から遅れてしまって余計に気まずいながらも、少しだけグラスを持ち上げた。その時だ。

 キュ~、グゥゥゥ……

 と、変な音が響いた。

 思わず音の鳴った方に目を向けると、テーブルの上にちょこんと座ったクーファの姿。目は料理に釘付けで、口からダラダラとよだれが零れている。

 あ。今の、お腹の音か。

「やだ、クーファったら!」

 鈴さんが噴き出す。

 その途端、辺りの雰囲気が和やかになった。

「折角用意して頂いたんだ。食べよう」

 ウィナードさんの言葉で、辺りが動き出した。

「そうね! お腹すいたぁ。食べよ食べよ!」

「んだ。ほれクーファ、これなら食べられるんでねぇか?」

「食ベル! ルー、早ク早ク!」

 わいわいと料理を取り分ける鈴さんやルークさん、自分のペースで淡々と食事をするジェイクさん。なんだかザイアで初めて一緒に食事をした時の事を思い出してしまう。あれからまだ数日しか経っていないのに、随分昔のことみたいだ。

「ジュジュ、食べよう」

 声をかけてくれるウィナードさん。

 わたしは笑顔で頷いて、料理に目を向けた。

 見た事のない料理が沢山ある。どんな味がするんだろう。この料理を作った人はどんな人なんだろう。美味しかった料理は、作り方を聞いたら教えてもらえるかな?

 美味しそうな料理に意識を向ける。優しい言葉にチクンと胸が痛んだ事なんて忘れてしまえ。

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