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R*Garden  作者: 三狐。
殺人鬼の末路は
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06

高くそびえる塔を見ながらルークは話を続ける。

「この世界には様々な世界から法廷兎の無罪判決を受けた者だけが入ることを許されます。ただ、この世界にも生活はあります。こちらで出会い、家庭を築く者のあります故、R*Garden生まれの者も数多くいますが、そんなことを気にする者はいません。ここが嫌なら別の世界に旅立ってしまえばいいのですから。 あぁ、それともう一つ。他の世界から来た者は自分の元いた世界には戻ることは出来ません。残念ですがこれはルールですからね。 」

「...法廷兎というのは?」

「わたくしのことです。」

表情ひとつ変えずにパーティー兎のルークは答える。

「しかし先程はパーティー兎と...。」

「えぇ、それもわたくしです。わたくしは二重人格でしてね、新月の夜にはルーク・court・ラビット、つまり法廷兎として裁判を開きます。そして無罪判決を下した者だけを導くのが仕事で御座います。」


そういえば、あの日も新月だったことを思い出した。もし死刑執行の日が少しでもずれていたら今ここにはいないと思うと首斬りは身震いした。死への恐怖などなかったはずなのだが、奇跡的に生かされた身となると話は変わってくるようだ。


「さあ、もういいでしょう。そろそろ行きましょうか。」

不意にルークが席を立った。

「行く...って、何処へ?」

「決まっているじゃないですか、あなた様の家まで案内しますよ。」

「しかし、さっき言いましたよね。自分の元いた世界には戻れないと。」

「えぇ、戻れません。ですがいきなり異国の地で過ごすといろいろと大変ですからね。サービスとして元々住んでいた建物と同じものを適当な場所に置いておきました。ほらほら、急ぎますよ。もうすぐ日も暮れますからね。」

ルークに急かされいまいち理解できないまま首斬りは部屋を立ち、

石造りの壁に備え付けられた蝋燭の灯だけが頼りの簡素な螺旋階段を下り、塔の外に出た。


鬱蒼と茂る森の中をルークについて、先程塔の上から見た街とは反対方向に歩いていく。だんだんと深くなりゆく木々の隙間を抜け、少しひらけた場所にでた。

「この建物は...。」

「驚きになりましたか、首斬り殿。わたくしとしても最高の出来栄えだと自負しております。」

満足げに語るルークの前には首斬りが以前住んでいた古い洋館が佇んでいた。

「わたくしの案内はここまででございます。それでは首斬り殿、R*Gardenでの生活をお楽しみ下さいませ。最後に、この世界の法律はたったひとつ、『パーティー兎からのパーティーの招待を断ってはならない』ということだけ覚えておいてください。では、ごきげんよう。」

そう言ってルークは、首斬りが瞬きした瞬間に姿を消した。


残された彼は洋館の中に入り、ソファに座り呟いた。

「殺人をしてはならない、とは言いませんでしたね...パーティー兎さん。」


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