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「それで、ここは一体どこなんですか?」
ついに我慢出来なくなり、首斬りは問いただした。
「先程も言いました通り、R*Gardenと呼ばれる世界でございます。この世界にはあなた様同様に法廷兎により無罪の判決を受けた者が集まる箱庭みたいなものです。」
「箱庭...?」
「はい、そんなに大きい世界ではありませんからね。ですが、無いものはありませんよ。わたくしが管理する以上不自由はさせませんよ。」
世界だの管理だのそんな簡単に言われたところで「はいそうですか」と納得できるわけないが事実、首斬りは首を跳ねられたものの今は普通に紅茶を飲んでいるのでにわかに信じられないこともなかった。
「管理...ということは、あなたはこちらでは神の様な存在なのでしょうか?」
「ふむ、あなた様のような異世界の方からしたらそのように捉えた方が分かり易いかも知れませんね。しかし、わたくしは飽くまでこの世界の傍観者であり主催者でしかありません。神と言ったような荘厳なものではありませんよ。」
大きな口を開き、ケラケラと笑いながらルークは答え、指をパチンと鳴らした。するとティーポットしか置かれていなかったはずのテーブルに苺の乗ったショートケーキが二人分現れた。
「まあまあ、そんなに深く考えなくても構いませんよ。それよりもまだ話さなければいけないことはありますからね。ケーキでも食べながらゆっくりお話しましょう。」
そう言ってルークは二等辺三角形の頂点付近にフォークを軽く刺し、ケーキをゆっくりと味わった。
傍観者であり主催者というこの矛盾した兎に、首斬りはさらに増えた疑問を全てまとめてぶつけてしまおうかと考えた。しかし目の前に出されたケーキの誘惑に打ち勝つことが出来ず、上に乗った苺を皿の端に下ろし、左の角にフォークを突き刺した。




