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ギルドのチートな受付嬢  作者: 夏にコタツ
理由
43/53

7-5:「心配にもなりますよ」

 翌日。

 西門でフランクさんと一緒に護送隊の見送りに出ていると、トルスティさんがこちらに駆け寄ってくるのが見えた。


「イリアさん」

「あ、はい」


 初めて名前を呼ばれ、覚えられていたことにも驚いてしまった。

 そんな私を見て苦笑気味にバツの悪そうな顔をしたあと、トルスティさんは顔を引き締めて深々と頭を下げた。


「こうして自分の足で立てているのは君のおかげだ。改めて礼を言わせてほしい」

「私は何もしていません。考えたのも決めたのもトルスティさんです。私こそ昨日は口が過ぎました、お許しください」


 私の言葉にトルスティさんは顔を上げ、ゆっくりと首を横に振った。


「……君は演技をしてまで私を奮い立たせてくれた。君にとって蒸し返すことではないとしても、私には到底無かったことにすることはできない」


 堅物なくらいに律儀で、義にもとると考えれば自分の矜持を差し置いて礼を尽くすというか……。

 武士道というか、侍っぽい人だと思った。


「演技じゃないかもしれませんよ?」

「それは」

「どちらにしても、私が自分のためにしたことです」


 頑なに口を挿もうとしたトルスティさんの言葉を遮り、私は断言した。

 本当に私は自分のために自分がしたい行動していて、良いように取られてしまうと罪悪感がきついんです。


「ですから、貴方は感謝する必要はありませんし、私もそれについて思う所は有りません」

「……そうか」


 トルスティさんは何故か、少しだけ悲しそうな表情を浮かべた。

 でも、それもすぐに真剣な表情に戻り、ちらりとフランクさんを見たあと私に視線を戻した。


「行ってくるよ」

「はい。お気をつけて」


 こうして、トルスティさんは護衛兼監視役のギルド員に囲まれ、リュネヴィルを出発した。


 ギルドの計画としては、このままオーブワイトに連れて行ってしまうと戦況を悪化させる危険性があるとして、途中で襲撃を偽装して第三国……ウィンディア族長連邦に入り、より公正な立場で健在を証明する手筈になってる。

 昨日、本部長がトルスティさんと話した段階で説明しなかったのは、彼がどう出るか分からなかったからで、昨日の状態のままならただの道具として利用するつもりだったらしい。

 でも、今日改めて会ったトルスティさんは皇国を止めるために動くと宣言して、その言葉をフランクさんが保証したことで、本部長は彼自身にも協力してもらうために計画を話し、彼はそれを承諾した。


 彼が計画を承諾したのは、独力で皇国に行くのは不可能に近いってちゃんとわかってるからだと思う。

 それに、ギルドを通じての第三国への入国や道中の護衛がいるとは言っても、彼にとっては皇国に辿りつくまでの保証でしかない。

 トルスティさんがどんな選択と決意をしようと、皇国に向かうなら入国以降が危険なことには変わりない。


 せめて皇帝と話せるところまでいけたらいいなーってトルスティさんの背中を見ていたら、私に向けられたフランクさんの視線に気づいて、私はそちらに向き直った。

 どうしました? と視線で問いかけるけど、なんでもない、と言うように首を振るだけで、はぐらかされてしまう。


「じゃあ戻ろうか」

「はい」


 踵を返したフランクさんの後を追う様に、私は支部への帰路に就いた。





 トルスティさんには悪いと思うけど、彼が発ったことでようやくいつもの支部が戻ってきてた。

 職員も支部に来るギルド員も一応皇国のことを気にかけてるみたいだけど、日本とヨーロッパの真ん中くらい距離があるせいか、そこに緊張感みたいなものは無い。

 あー、あいつ大丈夫かなーとか、あそこが落とされたら名物食えないなーとか、心配していてもそんな感じ。


 まぁ、戦争みたいなものと無縁そうだから、私はここを選んだんだけどね。


 そんなわけで、私は普段通りの業務を熟す毎日を過ごしていた。

 そんなある日。


「――ご武運を」

「おう! 行くぞおめぇら!」


 ぞろぞろと支部を出ていく人たちを見送るのもそこそこに、次に並んだ人を向か入れるためにお辞儀する。


「お待たせいたしました。次にお待ちの――」

「よっ」


 片手を上げ、まるで昨日会った友人に会うかのような挨拶を口にしたその姿を見て、私は一瞬目を疑ってしまった。


「久しぶりだな、お嬢」

「オリオンさん……?」


 真っ赤な短髪に、楕円形に似た形の耳。その上に純白の角をもつ牛の獣人、オリオンさん。

 世にも珍しい突然変異の神因子持ちで、二十代前半に見えるその容姿は、最後に会った頃と少しも変わってない。

 私が驚いたのはその見た目のことじゃなくて“彼が目の前にいる”ということだった。


「お久しぶりです。どうしてここに?」

「ははっ。そりゃあお前に会いに来たに決まってるだろ?」


 にかっと笑うオリオンさんの笑顔は、以前と全く変わっていなかった。

 今の発言で周囲の空気が少し変わったんだけど、そんなことを気にした様子もないことが相変わらずで、思わず懐かしく思ってしまう。


「私はお会いできて嬉しいですけど……いいんですか?」

「ははっ、良いに決まってんじゃねぇか。気ぃ使いすぎだぞ?」

「わ、ちょ、やめてください!」


 わしゃわしゃと力いっぱい頭を掻き乱されるのも久しぶりだけど、正直マジでやめて。


「もう……。仕事中だから、もう少し待ってください」

「ははっ。わかったわかった。変に律儀なとこは変わってなくておじさん嬉しいよ」

「あ、ちょっ! ……もう!」


 手をふりふりと翳しながらオリオンさんは支部を出て行ってしまった。

 行先も言ってないし私の休憩時間も聞いてないのに、どうするつもりなんでしょうか。

 悪い意味でマイペースなんて、オリオンさんのくせに神因子持ちっぽい。


 そんなことを考えて呆れながら手櫛で髪を整えていると、シンシアが微妙な表情を浮かべていることに気づいた。


「イリア、今の人は?」

「あ、えっと、オリオンさんって言って……」


 あれ?

 あの人は私のなんだろう。

 私の……大事な人の、大事な人?


 そう考えてみるとちょっと照れくさくて、つい顔が緩んでしまった。


「……ご両親の兄妹の旦那さん、とか?」

「え?」


 シンシアの言ったことをすぐに理解できなくて、咄嗟に答えることができなかった。

 両親の兄妹の旦那さん?

 ……ああ、叔父さんね。


「ううん。違うよ」

「だ、だよね。イリアのご両親の妹の旦那さんって考えても若すぎるし。うーん……」


 シンシアはまるで何かのクイズを解くように熱中していて、その様子を見ていたラシェルと一緒に苦笑いを零してしまった。


「見た目は若いけど、あの人60歳過ぎてるよ」

「え? ……ええ!?」

「ウソ……」


 シンシアやラシェルと同じように、其処彼処からざわざわと驚きの声が上がる。

 個人情報だから神因子のことは言わないけど、本人が言った通り“親戚のおじさん”っていう言葉が年齢的には良く似合う。

 だけど、説明しようとするとちょっと複雑になってくる。


 どう説明しようかと考えていると、お昼寝から起きてきたハクが駆け寄ってきた。

 抱き着き、眠気を拭うみたいに顔を擦りつけてたと思ったら、ぴたりと顔を止めて私を見上げる。


「イリアと似てる匂いがする……」

「え?」

「イリアのお父さん?」


 似てる匂いっていうのは、きっと神因子のこと。

 乱れてしまっているハクの髪を整えながら私は答えた。


「お父さんじゃないけど、私のお母さんになってくれた人の、恋人だった人だよ」





 リュネヴィルを囲む城壁の上には、人の移動と物資を搬送するための広い通路と、哨戒用の望楼が数か所設置されてる。

 その望楼の一つに、オリオンさんは悠々と座ってリュネヴィルの街を見下ろしていた。


「……いい街だな」

「はい」

「お前もいい女になったな~」

「アンナさんくらい?」

「それはまだまだ」


 お互いの分かりきった冗談でひとしきり笑ったあと、オリオンさんはようやくこちらに視線を向けて、私の傍らにいるハクを見て目を瞬かせた。


「……ははっ。お嬢も子供ができる歳か」

「この子は竜神の児です」

「……にしては似すぎじゃね?」


 ハクの頭を撫で、少し嫌そうな顔をしたハクにオリオンさんは懐かしそうに目を細める。


「ははっ。こうちっこいと、初めて会った時のお嬢を思い出すなぁ」

「ここまで小さくはありませんでしたよ」


 10歳くらいだったし。

 また髪が乱れてしまったハクの頭を撫でながら、私はオリオンさんに本題を訊ねることにした。


「何かありましたか?」

「ははっ。相変わらず心配性だな」

「貴方が森を離れるなんて状況ですから。心配にもなりますよ」


 オリオンさんは立ち上がり、リュネヴィルの市街ではなくあらぬ方向へと視線を向けた。

 その先にあるのが、あの人の眠る森だってことを私は知っていた。

 やがてオリオンさんは私に向き直り、真剣な表情で状況を簡潔に説明してくれた。


「今、皇国の奴らがオーブワイトに攻め込んでるのは知ってるな」

「はい」

「その余波で、ピスクローザでも内紛が起きてる」


 ピスクローザ女王国っていうのはオーブワイトに程近い小国で、世襲制の王族はオリオンさんと同じ牛の獣人。穏やかな気性の人たちなんだけど、外交でオーブワイトの圧力に負け続けてきたことから、王族の求心力が低下していた。

 たぶんだけど、皇国がピスクローザの中で普人か王族の反抗勢力を煽り、オーブワイトへの援護をさせないつもりなんだと思う。


「……まぁあいつらがどうなろうと俺は知ったこっちゃねぇんだけどな。あいつら、あろうことか森に手を出し始めやがったんだ」

「なっ……!」


 ピスクローザの森には、あの国にとって手を出すことができない禁忌の場所が存在する。

 入れば二度と出られず、魔物より強力な化け物が蔓延り、その奥には化け物を統べる魔神が住んでいる。

 ……まぁその魔神って私なんだけどね。

 結界で許可なく進入した人間には五感を狂わせるようにしたし、召喚した動物たちで魔物や侵入者から家を守っていたわけです。


「資材の確保だか、輸送路の確保だか知らねぇが、森を切り拓こうとしててな。一応とっちめといたけど、一応お前の意見を聞こうと思ってな」

「……私の意見、ですか?」


 溢れかえり煮えたぎる怒りをなんとか抑えながら、その意味するところを訊ねる。


「ああ。あいつが唯一家族と認めたのは、お前だからな」

「……アンナさんは、オリオンさんだって」

「ははっ。知ってるっつーの」


 私の言葉を遮り、オリオンさんは快活な笑顔を浮かべる。

 そこには、嫉妬はおろか悔恨もなくて……私は、そこまで信じあえる二人が、とても羨ましいって思った。


「それでも、だ。お前はアンナからシュルツの名前を貰ったんだ。あいつの墓をどうするか決めるのは、お前に権利がある」

「……はい」


 権利には責任が付き纏う。


「……少し、考えさせてください」

「わかった。ゆっくり考えな……って言いたいところなんだがな。ははっ」

「大丈夫です。明日には答えを出しますから」

「……ゆっくり考えな」


 オリオンさんに宿を紹介して、私は支部に戻った。

 受付と厨房業務を終えて私室に戻り、私は頭を整理させながら考えた。





 アンナ・シュルツさんは、私のお母さんみたいな人だった。


 この世界の家族や同族の友達に捨てられた私は、この世界には信じられるものなんかないんだって思い込んでいた。

 皆が悪いんだって思い込もうとした。

 寂しさや悲しさを消したくて、無理やり引き起こした怒りを周りに向けた。


 今だからあの会社は従順な家畜を手放す気が無かっただけだって分かるけど、そう気づく前の私は「ミスをしたりしても捨てられなかったのは、会社のために頑張ったからだ」って考えていた。

 それに、ずっと支えていてくれた家族に何もできず死んでしまって……もっとできることがあったんじゃないかって、後悔した。


 そんなふうに考えていた自覚はなかったけど、私はこの世界に来たばかりの頃、

 ――私に愛情を向けてくれる家族のためにできることをしよう。

 ――せっかくチートで生まれたんだから、里の皆を守ろう。

 なんて、そんなことを無意識にというか、そうするのが当然みたいに考えていた。


 ……チートがあるから前世以上に上手くいくだろうって、暢気に考えていたんだと思う。

 でも上手くいかなくて、捨てられた。


 だから捨てられたんだと知った時、今回は自分のために生きようと思った。

 自分勝手に生きようって思った。


 でもそれは自分勝手じゃなくて、自暴自棄なだけだったんだって、今は分かる。


 そういうふうにちゃんと考える様に教えてくれたのがアンナさんだった。


 煩いくらいに厳しくて、怒ると怖くて……でも本当は、すごく優しい人だった。

 言葉を思い出そうとすると叱られていた時のことを思い出すのに、目を瞑ってその顔を思い浮かべると暖かい笑顔が真っ先に浮かぶ、そんな人。


 私がこっちで生まれる何十年も前にこちらに迷い込んでしまったアンナさんはこっちの空気が合わなくて、空気が地球と似ていたピスクローザの森の中でしか生活できなくなっていて……私と会って間もなく他界してしまった。

 迷い込んでしまったとは言ってもアンナさんはこの世界とその森での生活を気に入っていたから、その家はそのままにしてお墓も近くに建てておくことになった。


 その墓守をしてくれているのが、アンナさんの恋人だったオリオンさん。


 ピスクローザでやりたい放題だったオリオンさんをアンナさんが窘めて、生意気な女って突っかかるようになったオリオンさんが彼女に恋心を抱くようになるのに、それほど時間はかからなかったらしい。


 ――貴方にはもっとできることがあるはずでしょ。私を言い訳にしないで。


 そんなことを言って突き放したりもしたらしいけど、結局二人が離れることは無かった。

 因みにその時オリオンさんは、


 ――俺を利用価値のある道具としか見ていない10万人なら、俺は利用価値がなくても人間として見てくれる一人を守る。端から見返りなんて求めてねぇし。


 なんてことを言って出て行こうとしなかったらしい。

 それ以降話そうともしなかった二人が、翌日の夕飯の文句で喧嘩したっていうのが二人らしいと思った。


 ――こんなおばさんより、国に帰ればもっと綺麗な子が沢山いるのにね。……馬鹿な人。


 そう私に零したアンナさんは、呆れたように溜息を零して……だけど、すごく穏やかな顔をしていた。

 アンナさんが縛るのは嫌だからって結局結婚はしなかった二人だけど、きっと、名前や建前なんかよりもずっと強い繋がりがあったんだって思う。


 そんなオリオンさんが、私にお墓の決定権を委ねてきた。


 お墓を移動するっていうことは、あの家と森を手放すっていうこと。

 きっと、オリオンさんの中では、形としての思い出より、胸の中の思い出の方が大事だって決着がついてるんだと思う。


 なら、あそこから離れていた私がとやかく言う筋合いはない。


「ない、んだけどなぁ……」


 決断できない。

 壊したくない。

 いつまでも、残しておきたいって思ってる私がいて、つい言葉に出てしまった。


 墓も故人の思い出を残すのも、結局残された人の満足のためだ。

 アンナさんが知ったら、人に迷惑をかけてまで固執することじゃないって言うと思う。


 でもそれは、“私がどうしたいか”じゃない。

 アンナさんと別れてから今日まで、私はちゃんと自分がどうしたいかを考えて生きてきたつもりだ。


 オリオンさんの決意を無視したくない。

 アンナさんを裏切りたくない。

 だけど……ここで間違えたくない。


 考えに考えて、私は決断した。





「これを持って行ってください」

「ん?」


 翌朝、昨日と同じ望楼にいたオリオンさんに、私は槍を差し出した。


「森を守る力になるはずです。……ですが、殺すくらいなら手放してください」

「……ははっ。わかった。……ん?」


 柄の両側に四角錐が伸びるその槍を受け取ると、オリオンさんはそれが神具だってことを理解したみたいだった。

 とはいえ、神具という物が在ることしか知らない彼は、“特別な力を感じる槍”としか思ってないと思う。


「それは神槍ヴィシュヴァといいます。投擲して刺した対象に雷が落ちますし、地面に突き刺せば周囲に“不可侵の領域を定める柵”を雷で形成します」

「神槍って……おいおい」

「はい。神具です」

「俺に使えるのか……?」


 皇国が大義(?)に掲げてるみたいに、神具が誰にでも使えるものじゃないってことは普通に広まってることだし、普人以外に神具は使えないっていうのも一種の定説みたいなものになってるから、オリオンさんに自覚がないのも当然だと思う。


「はい、使えます」

「…………」


 オリオンさんは、ヴィシュヴァを見ながら何かを考えているみたいだった。


「それを使えば、森を拓く必要もなくなるかもしれませんね」

「! ……ははっ。御見通しか」


 驚いて目を見開いた後、すぐにそれを受け入れたオリオンさんはそう言って笑った。


 オリオンさんも、きっと色々考えたんだと思う。

 思い出と、現状とどちらを優先すべきなのか。自分が何を守りたいのか。

 彼は最初、“誰が”森を切り拓こうとしているのかを言わなかった。

 それはたぶん彼にとって“アンナさんへの感情を抜きに考えれば”擁護したい相手であって、それを私に言えば、私の判断を迷わせることになると考えたんだと思う。


 擁護したい誰かを見捨ててまで、あの森は守るべきなのか。

 考えた結果、オリオンさんはあの森を手放すことを受け入れたんだと思う。

 それが、アンナさんの信頼に応えることになるって信じて。


 私はあの森を手放したくない。

 でも、そのために誰かが犠牲になるっていうのは違う気がする。

 それはオリオンさんもそうだし、アンナさんもそう。もっと言えば、オリオンさんが考えてる誰かのことも含まれてる。


 オリオンさんに守りたい誰かがいて、アンナさんがそっちを優先しろっていうなら、私がすることは一つ。


「それを使って、貴方がしたいことをしてください」

「……ははっ」


 オリオンさんは笑った。

 そして一度あの森のある方を見て、とても穏やかな笑顔を浮かべた。


「似てきたな。アンナに」

「全然違いますよ。私のは、ただの我儘ですから」


 結局、私は自分のために他人を利用してるだけだから。

 自分がしたいことをして、ズルばかりして、生きている。


「でも……そう言ってもらえると、嬉しいです」


 アンナさんと過ごした時間が、ちゃんと私の中で生きてるって気がするから。

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