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ギルドのチートな受付嬢  作者: 夏にコタツ
支部と竜
13/53

3-2:「説明していただけますか?」

 更衣室にいる私の目の前には、制服を着こんだ男女が並んでる。


「……で、何で俺がこんな恰好をせにゃならんのだ」

「よくお似合いだと思いますが。カティさんもそう思いませんか?」

「うん。バルド、良く似合ってる」


 カティさんに褒められて、満更でもなさそうなバルドさん。

 でも、私に見られてると気づいてすぐに顰めっ面に戻る。


「……似合っているかどうかはともかく、俺たちに接客なんかができると思うか?」

「できるできないじゃなくて、やってもらいます。貴方方は勝負に負けたんですから」


 その一言でバルドさんは口を噤む。


 二人は以前うちに忍び込み、フランクさんに捕まえられた暗殺者。

 バルドさんは黒髪に褐色の肌を持つ黒豹の獣人。カティさんはふわふわの黒髪に色白の肌、垂れた耳がサルーキっぽい犬の獣人だ。

 二人とも、訓練したせいか尻尾が何かに反応することはない。勿体ない。


 ハクの情報を提供してもらったから刑執行は保留だったけど、仮釈放するにしても盗賊ギルドを裏切ったことになる二人の処遇をどうするかが宙ぶらりんのままだった。

 フランクさんに理由を話して許可をもらい、処分に関して改めて本人たちと話をしてみたら、洗脳はほとんど解けてる状態だって分かった。

 そこで持ちかけたのが“一日中私から逃げ続けることができたら無罪放免。捕まったら私の言うことを聞く”っていう勝負。

 結果は勿論私の勝ち。


「なのでお二人にはこれからうちで働いてもらいます。マニュアルを渡しますので、バルドさんはリュックから受付業務を、カティさんはリアに着いて給仕業務の説明を受けて下さい」

「わかった」

「……チッ」


 バルドさんの額にデコピンをかます。

 装備で抑えられてるとはいえ、本気を出せば鈍器で殴った程度の衝撃にはなるはず。

 現にバルドさんのHPは少し減り、ついでに状態異常・眩暈スタンが着いた。

 ブラックにいた私としては愛の鞭でもパワハラ染みたことはしたくないけど、フランクさんに責任はとるって言っちゃった手前中途半端なことはできない。


「いっでぇ~……!」

「舐めてると本気でぶちのめしますから」

「は、はい……」


 教育は最初が肝心って言うけど、効果覿面過ぎたっぽい。



 まだ早朝ということもあって客の入りは少なく、業務を覚えるには最適といえる。仕事を一通り教えてもらったころに朝食を食べに人が増えてきて、フォローしてもらいながら仕事を覚えていくっていう抜かりのない計画!

 ……のつもりだったんだけど。


「てめぇ、もう一遍言ってみろ!」

「だから、あんたらの技量じゃこの依頼は危ねぇんじゃねぇかって言ってんだよ」

「お、おい、バルドくん」


 バルドさんが向かい合ってるのは、五人程の編成を組んでるギルド員。

 リュックの制止も聞かずに真っ向からぶつかってます。


「……はぁ」

「ピィ?」


 小さく溜め息を吐きつつ私が移動すると、ハクは無警戒でついてくる。

 もふりたいが今は我慢だ。


「おいお前、受付に何がわかるってんだ!」

「そーやって甘く見てると痛い目見るってのが――」

「それ、バルドさんが言いますか?」


 にっこり笑顔で話しかけると、彼はまるで怖がるように口を噤んだ。

 おかしいなー。こんなに自然な笑顔なのに。


「化け物め……」

「ああ!? てめぇイリアのどこが化け物だ!!」


 リュック……なぜ君が怒る。っていうか大声出すとこ初めて見た。

 ……じゃなくて!


「何があったか説明していただけますか?」

「あ、はい。こちらの方々にお持ちいただいた依頼表を見て、彼が危険だと言いまして」

「んな言い方じゃなかっただろうが! 誤魔化してんじゃねぇぞおい!」


 激怒する客への謝罪は取り敢えずリュックに任せ、依頼表を確認する。


 依頼表は二枚あって、一枚はロンドロウカスト。もう一枚は……あれ、ラオロアボアだ。しかも依頼地域も一緒。前に討伐依頼出てた時に成功してたから、数はそれなりに減ってるはず。

 増えだしたのかどうか、調べる必要があるかもしれない。


 それはさておき、受注しようとしてる人たちを改めて伺う。編成は剣士一人、片方が鎖術スキル持ちの拳闘士二人、魔術師一人、それに錬金術師。


 錬金術師は【調合】スキルと【錬成】スキルの成長で得られる【錬金術】スキル保有者が得られる職業で、集中力ステータス、調合成功率、錬成速度・品質に取得ボーナスがつく。

 【錬金術】スキルはレベルアップ時に生成可能カテゴリを追加したり、最大数増加、生成速度上昇、生成品質上昇なんかを選べるけど、選択肢が出ない現実だと、本人のなかにぼんやりと思い浮かぶだけであって、その時の意志次第だったりする。計画的だったり上昇志向の強い人なんかはいいけど、移り気の多い人だと傾向が絞れなくて高レベルなのに低レベルの同職の人に負けてしまうことだってあり得る訳だ。

 話が逸れた。


「バルドさん。何故危険だと思ったのか、きちんと言葉にしてください」

「あ、ああ? んだよ面倒くせぇ」

「貴方は喧嘩を売りたかったんですか? 忠告したかったんですか?」

「……」


 この沈黙は間違いなく後者だろう。彼の短気で不器用な性格から考えて、普通に忠告するのも恥ずかしいからぶっきらぼうな言い方になってしまったってところかな。

 ……子供かっ!


「喧嘩を売ろうとしてたなら、相応の罰は受けてもらいますが」

「わ、わかった! 言えばいいんだろうが!」


 立ち上がり、バルドさんは五人組と向き合う。


「あんたら、ロウカスト系とラオロアボアと戦ったことはあんの……ありますか」

「ああ? あるに決まってんだろうが」

「ラオカストなんか戦士の試験だぞ」


 高い跳躍力とそこからの滑空能力で、瞬発力を見る試験ではよく討伐目標に指定される。ついでに毒持ちで、噛まれた際に口内の粘膜と結合することで接触感染を引き起こす猛毒になる、対応にも気を配らなきゃいけない厄介な相手。


 因みに私は見つけた瞬間に消滅させる。でかいイナゴだよ? 無理。学生の頃生物の教科書に載ってたアリとかの拡大図を思い浮かべて欲しい。あれが目の前にいるんだよ? 絶対無理。

 ……思い出して気持ち悪くなってきた……。


「おいで~……」

「ピィ?」


 癒し。ハクを抱いて行く末を見守る。


「なら、その二つを同時に相手にしたことは?」

「……いや、ねーけど」


 うん。バルドさんの当たり。


「戦ったことあるならロウカストは毒持ちだってことは知って……お知りでございますよね? ラオロアボアは毒耐性が低くて、すぐ全身に感染する。それはロンドロウカストの麻痺毒でも同じだですよ」

「あ……」


 闘士二人が顔を顰める。その変化を他の三人は訝っていたけど、すぐにその意味を察して顔を顰めた。


「別々に狩るなら問題はねー、ですよ。けど同じ狩場で遭遇して、もしボアが感染してたら?」


 その時、恐らくラオロアボアは狂暴化……激昂状態だろう。激昂状態の恐ろしいところは敵を完全に見失うか、もしくは殺す、自分が死ぬまで走り続けることにある。

 それは自分が毒だろうが麻痺毒に侵されていようがお構いなし。麻痺してたら動けそうになさそうだけど、シューティングゲームにはよくある“なんで敵機に触れたらこっちは死ぬのにあっちは死なないの”状態だ。ちょっと違うか。


 魔術師はまだいい。でも剣士が斬れば体液が飛ぶし、拳闘士は直接相手に触れなきゃいけない。毒が滲む前の皮膚はともかく、感染した体液や血に触れてしまったら、彼らの耐性では数秒と持たないだろう。

 自力での回復もままならない麻痺毒に侵された状態の仲間を守りながら、大勢の敵と戦えるかどうか。

 その疑問に、彼らを見たバルドさんは難しいと判断した。


「……どうする?」


 この事実を知らされた彼らもまた悩み始めた。

 特に拳闘士たちのレベルが高いこともあって、他の人たちは直接的な物言いを避けてる感じだ。


「で、バルドさんはどうしたらいいと考えているんですか?」

「は?」


 私の質問に、バルドさんはおろか五人組も意味を計りかねている。


「忠告したら助言もしなきゃ。ただ無理と言うだけでは誰のためにもなりませんよ?」

「んなこと言ったってな……」


 バルドさんは考え込むけど、なかなか結論は語らない。

 見かねたように口を開いたのはリュックだった。


「魔術ギルドの方もいらっしゃることですし、やはりここは魔術による攻撃をメインとされてみては?」


 リュックの言葉に五人組は気まずそうに顔を見合わせるだけだった。

 魔術ギルド所属の魔術師とはいえ実力はピンキリ。ルーラやヨルクみたいに下級魔術が十分な殺傷能力を持つ術師は本当に稀だし、そもそも徒党を組むことすら珍しい。

 私のように能力を見分けられなくてもパッと見大勢の戦士と同行する魔術師がどの程度の力を持ってるかどうか、大凡の予想はリュックでもできるだろうから、何か考えがあるんだろう。


「でも俺の魔術、そんなに威力ないっすよ」


 案の定の告白にもリュックは動じない。それどこか安心させるように微笑みさえ浮かべる。


「効率ではなく安全性を優先させるということで、威力の多少は置いておきましょう。威力が控えめとはいえ数発撃てば倒せるのでしょう?」

「まぁ、一応」

「つっても撃ったら狙ってくるし、他のやつが来ないとも限らねーぞ?」


 接触を避けたい剣士や拳闘士を囮にしては、魔術師をメインに据えると言った意味がない。


「皆さんはボアがどうやって外敵を追いかけているかご存知ですか?」

「足……って話じゃないか。目じゃないのか?」

「勿論最終的に敵を見つけるのは目視ですが、森に住むボア系は視力が総じて低く、肉食獣特有の視角では走り回っている最中に敵を探すことはできません。彼らはその大きく突き出した鼻で敵の臭いを嗅ぎ取り、その臭いを追いかけるんです」


 そう。視力が低い代わりにその嗅覚がかなり鋭敏で、対策しておかないと狂暴化したボアにいつまでも追いかけられる破目になる。

 傭兵ギルドに所属してたりする人はボア程度なら大抵はその場で狩ってしまうことがほとんどだから蔑ろにしがちだけど、その対策っていうのを今回リュックも勧めるつもりらしい。


「なので、皆様には匂い袋か香水を使うことをお勧めします」

「そうか、臭いで攪乱するんだな」


 流石にここまで言えば理解するだけの経験はあったらしく、五人組は作戦を自ら考案していく。

 普通のパーティなら本人たちに着けた匂いをより強く付着させた袋なんかを囮にしたり木に付着させて、あわよくばダメージを狙うくらいだろう。

 けど、彼らの中には錬金術師がいる。まだ草木を生えさせるだけの能力しかないけど、木に枝を生やして匂いを着ければ棘くらいのトラップにはなるし、岩とか水辺の前に人の形に蔓を巻き上げるだけで十分すぎる効果になる。


 勿論そこまで口を出す気はないし、今回はリュックの助言で十分だった。


「道具屋で準備は整えるぜ。それなら受注しても文句はないだろ」

「……ロンドロウカストがいるってことも覚えといてくださいよ」

「わーってるよ」


 バルドさんはリュックのサポートを受けながら、たどたどしくも受注登録を完了させた。

 先ほどの諍いも忘れたように意気揚揚と去っていく五人組を見送り、バルドさんは肩を撫で下ろしつつリュックを仰ぎ見る。


「……助か、りました。受付も大変なん、っすね」

「そうだね。でも今のは人の受け売りだから」

「そうなんすか? 支部長っすか?」

「イリア。今の九割方、彼女が前に言ってたことだよ」


 苦虫を噛み潰したような表情でバルドさんは振り向く。……そこまで嫌われるようなことしたか?

 それはそれとして、別にリュックも言わなくていい良かったのに。


「見聞きしたことを上手く活用できるかどうかは本人次第ですよ。バルドさんもリュックから色々学んでくださいね」


 胡散臭そうな表情をされたけど、今度は反抗的な態度を見せることなくバルドさんは姿勢を正した。

 恐る恐るトレイを運ぶカティさんもだけど、ここで上手くスキルを取得してレベルアップしてくれることを願うばかりだ。

 バルドさんは時期を見て、助言しようとしまいと討伐依頼を出した人の討伐方法を予想してもらうことにしよう。それで、討伐完了時に出された素材の状態で答え合わせ。それだけで全然違ってくる筈。


「おはよう。フランクはいるか?」


 カウンターにやってきたのはエクトルさん。


「おはようございます。自室にいると思いますが、お呼びしますか?」

「ああ、よろしく。応接間で待たせてもらってもいいかな」

「はい。ではこちらへどうぞ」


 ハクを抱きかかえ、エクトルさんを伴って三階へと登っていく。


「カウンターにいたのは例の?」

「はい。今日から入ってもらっています」

「君の判断だから大丈夫だとは思うが……忙しい給仕はともかく、受付を入れる必要はあったのかい?」

「勿論です」


 ここでスキル云々は言っても理解されないし、言うつもりもない。

 それに、理由は彼らのためだけじゃない。


「今後依頼が増えることが予想されますから、その備えです」

「依頼が増える? それは今回の工事のことか?」

「……無関係ではありません、としか」


 今は言えない。

 私以外誰も知りえない情報は口外しない。それが自分に課した戒めだから、これから魔物が増えるなんてことを伝えることはできない。ただ今回みたいなケースでは、心構えだけはして欲しいときはぼやかしても伝えておく。


「……そうか。エルフの戒律というのも厄介だな」

「そうですね……申し訳ありません」


 本当にごめんなさい。それ嘘です。他の人種と関わらないエルフの習性を利用してるだけなんです。

 回復魔術のことだってそうだし、極少数しか知らない知識もエルフの知恵ってことで誤魔化してます。頭が良くて閉鎖的な人種ってほんと便利な設定だよね。


「フランクさん、おはようございます。エクトル様がお見えです」

「……おはようイリア。ハクも」

「ピィ!」


 フランクさんが応接間に行くまで付き添った後は紅茶を入れて退散。

 よく会談の場に同席させられたりするけど、今回は大丈夫っぽい。


「ああ、イリアも聞いておいてくれると助かる」

「……かしこまりました」


 ダメでした。

 一介の受付を大事な話に同席させるのはどうかと思う。別にフランクさんの執事とか秘書ってわけじゃないし。


 話の内容は工事の進捗状況とか追加の施工にかかる人員と費用についてが主で、もう一つは魔物の研究使節団がリュネヴィル周辺を調査する場合の護衛について。

 全人種の脅威になりうる魔物は、各国が連携してその生態や能力を研究している。……とはいっても同盟国でもなければ情報は真っ当に開示されないし、能力に関しても実際に討伐にあたるギルドの方が詳細な情報を抱えてたりしてる。

 そのせいで各国の研究施設は肩身の狭い思いをしてたりするけど、今以上に立場を危うくしたくないから机上の空論で変な情報をばら撒いたりしないだけマシかも知れない。世が世なら邪神教みたいに変なこと言って宗教じみたことしかねないし。


 仕事の話が終わると、二人の話題は世間話にかわる。

 どうも二人は領主と支部長っていう立場になる前から親交があったらしく、ロンドヴィル以外の地名が出てくる。

 エクトルさんも相当ストレスが溜まっていたせいか、いつもより饒舌だった。

 ここで加わるのも野暮だと思ってハクを愛でていると、ドアをノックする音が部屋に響いた。私が先んじてドアを開くと、現れたリアがお辞儀する。


「フランクさん、アリュネの村長がお見えです。二階の個室にお待ちいただきますか?」

「要件は聞いてる?」

「魔物討伐の依頼についてだそうです」

「……良ければ私も同席したいのだが、構わないか?」


 エクトルさんの提案を受け、アリュネの村長さんを応接間に案内してリアは退室した。

 そして当然のように同席させられる私。別にいいんですけどね。依頼の話ならどうせ後で聞かされることになるし。

 村長にも紅茶を淹れてフランクさんの後ろに控えるように立つと、村長は訥々と話を始めた。


「支部長殿。近頃、我が村の周囲に魔物が出没するのはご存知だろうか」

「ええ。討伐依頼の制作は当方が承りましたし、受注も当方の受付が登録したと記憶しています」

「……はい。そうなのですが」


 煮え切らない態度にフランクさんとエクトルさんが訝るように眉を顰める。

 とはいえ、内容が想像通りなら二人を相手にしてるこの状況は村長には辛いだろう。


「同じ魔物がまた出没しましたか?」

「! ご存知でしたか」

「いえ、村長が言いづらそうにしていらしたので。緊急で依頼を出されますか?」


 村長はまたもや言いづらそうに俯いてしまった。

 まぁ言いたいことはわかる。


「村で依頼を出そうと資金を集めようとしたのですが……、その」

「そもそも前回狩っていないのでは、と疑念を抱く者が出ましたか?」

「! ……はい」


 そもそも魔物が少なかったリュネヴィルだから、狩ってすぐ魔物が現れたとなると狩られていなかったって疑う人が出てくるのも仕方ないかもしれない。

 登録証のシステム上討伐数を誤魔化すことは有り得ないって言っても、ギルド連合がグルになって金を巻き上げようとしてる、なんて言われるかもしれない。そうなると証拠なんて示せないから泥沼だ。


「では、今回は狩った証拠を持参し、納得して頂き次第依頼報酬と仲介料を払って頂くということで如何でしょう」

「……宜しいのですか?」


 村長さんが見たのは私ではなくフランクさん。

 フランクさんが私を見たから頷いておいた。


「……特例として処理しましょう」

「……ありがとうございます!」


 それから制作した依頼表にサインして村長さんが去った後、私はフランクさんたちに説明するため応接間に呼ばれた。


「特例にする程の問題ではなさそうだったが」

「今回は今後のための先行投資みたいなものです」


 訝るフランクさんを余所に、エクトルさんは思い当たることがあるように変わらず私の言葉を待っている。


「今後も魔物が増えた際に、ギルドに不信感を抱いていたり依頼を出し渋って被害が増えたら元も子もありませんから」

「……それもそうか」


 一応納得してくれた風の二人。

 いや、エクトルさんは躊躇いつつも口を開いた。


「今後も魔物は増えると君は考えているのか?」

「はい。村が全額負担するのは難しくなるかもしれません。税を上げるか借金とするか、何か対策は講じていた方がいいかもしれません」

「そんなにか……」


 あ、やば。言い過ぎたかも。


「備えあれば憂いなし、程度に考えておいて頂けたらいいと思います」

「……わかった」


 絶対わかってない顔だった。対策が頭の中でガンガン考察されてる感じ。

 不安を煽ることはしたくなかったけど、変に被害が増えるよりはいっかってポジティブに考えることにした。


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