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【6】 ドキドキ☆初契約

ほとんど説明みたいなもので、スミマセン


たくさんのお気に入り登録ありがとうございます!

昼食を走る馬車の中で摂りながら、半日馬車の中で過ごしたころ

馬車は、首都リシアスにあるモルトバーン伯爵邸に着いた。

入口正面に馬車が止まると、馬車の扉が開き馬車から降りようとすると

壮年の男性が手を差し出してきた。


「初めまして、ココット・エルベリー様。

私、モルトバーン伯爵様の執事を勤めておりますトールマンと申します。

遠い中ようこそお越しくださいました

お疲れとは思いますが、当主ウィルソン・ノールフェスト様がお待ちですので

ご案内させていただきます」


「初めましてココット・エルベリーと申します

お出迎え有難うございます、よろしくお願いします」


「こちらでございます」


手に持っていたバスケットとコートをトールマンと一緒にいた

従者だと思うけどその人に預けトールマンの後についていく。


首都に屋敷を構える伝統ある伯爵家のお屋敷は、

エルベリーの屋敷とは段違い(それはそうなのだけど)で、

絵画や調度品どれをとっても古めかしくそれでいて

とても手入れが行き届いて、ただの道具なのになんだか貴族然とした

輝きを放っているようでココットは屋敷に入った瞬間圧倒された。


この屋敷に今日から住むんだ。


ピッと気を引き締めると2階に上がってすぐのところにある

大きな扉の前でトールマンがノックしてココットが来たことを知らせると

中から数週間前に聞いた重く低く響く男の人の声がした。



「失礼いたします、ココット・エルベリー様をお連れいたしました」


「トールマン、例の書類を…

ココット嬢はこちらに掛けて頂こう遠い中ご苦労だったな、疲れたか?」


「いえ、あ、ご無沙汰しておりますウィルソン様」


応接室に通されたココットは、当主ウィルソンに促されソファに腰掛ける。

おおぅ、ふわふわする~!と感動しているとトールマンが数枚の紙と

ペンをココット前に置き、扉の前まで下がった。


「これが契約事項だ。目を通してサインをして欲しい」


「は、はい…」


働くのも初めてなら契約書なるものも初めてである。

兄や父が扱う書類を遠巻きから見たことならあるが

何を意味する文章なのかわからないことが書いてあり

“ただ文字が書いてある紙”としか認識していなかった。


今手に取っている契約書には、

屋敷の中での会話をみだりに口外してはならないとか

与えられたものや調度品にいたるまでを他人に譲渡してはならないとか

許可なく他人の部屋に入ってはいけないとか、執務室に入るなとか


要は“屋敷の中でおとなしくしていろ”ということなのだが

たぶん不正を防ぐためのものだろうなと思いサインをした

初めてのサインなので緊張で手が震えて名前がゆがんだ。


「な、名前歪んだ…」


「君の直筆であることがわかればいい。これで結構だ」


「は、はい…緊張しました。まだ、ドクドクいってます」


「あとこれは、極秘事項なので君の胸だけにとどめておいて欲しいのだが

妹には、極力人を近づけさせないで欲しい」


「え?」


とはどういうことだろう。

ココットより年下らしい妹君レフィリア・ノールフェスト。

まだ社交界デビューがまだとのことらしいがそれでも

友達を増やすに越したことはないので屋敷に訪れる客くらいは

通してもいいのではと思う。しかし、ココットは世間知らずだった。

都会に行けばいくほど、位が高ければ高いほど人の闇が深いということに

目の前の伯爵は身も凍る険しく苦々しい顔をして言う。


「いずれ判ることなので話すがレフィリアは私の腹違いの妹だ。

父である先代モルトバーン伯爵が、ある女に産ませた子供だ

父が死ぬ前に認知し引き取った娘だが母方の身内がいちいち口を出す。

後見人になりたいからと面会しにやってくる。

父の口ぞえで男爵になったのだが父が亡くなった今

今の身分が不安定なので確固たる地位を築きたいのだろう

執拗に我々に接触を図ってくる。

だからそういう輩が現れてもレフィリアには会わせなくていい」


「そ、うなんですか…」


予想以上に重い話になんて返したらいいのかわからず変な返答をしてしまった

伯爵は、さらに嫌そうな険しい顔になって話を続けた。


これが氷塊伯爵の顔!すごく怖い!!パーティであったときとは全然違う顔。


「あとは、私に会う目的で妹に親しくなろうとする人間もいる。

例外的に叔母のタインス侯爵夫人エレイア・ローズテイラーと

ジュールベント伯爵夫人ユリネリア・ブルールが私の留守中に来るかもしれない

彼女達とその家族は会わせてもかまわない。

客人はトールマンを通すようになっているが

隙を見て入ってくることもあるかもしれないその点を気をつけて欲しい。

外向きの話はトールマンがすべて知っているから判らなかったら、

彼に聞くといい。後は何か質問はあるか?」


いっぱいいろんなことをいっぺんに言われたから整理するのに精一杯です。

なにか…何かないかといわれても…今聞かないと、多忙の伯爵様に聞くのは

難しそうだな。何かないかな、なにか…他の人に聞きにくいこと……


あ。


「あの…」


「なんだ」


「ご本人に突然聞きにくいのでお聞きしますが、

お友達とか普段よく話される方っていらっ…どなたでしょうか?」


危うく“妹さんにお友達はいますか?”とか聞きそうだった。

さすがに人とあまり接触しない人でもお友達はいらっしゃるだろう

これからは、言葉の一つ一つにも気をつけなくちゃいけないのか。

ふぅ、大変そう…


「友人と呼べる人間は私が知る限りではいない。

だが、私の友人サングセント伯子息レイナルド・キリングリームの妹

カナデリア・キリングリーム嬢が兄と一緒に来ることもある

彼女は妹と色々話しているようだが

彼女の場合は、私がいる場合にしか来ない。

あとは、先ほど言ったタインス侯爵とジュールベント伯爵のそれぞれの令嬢

私や妹には従妹だが彼女らが稀に来て妹と話すくらいだ。それ以外はいない」


……お世話をする侍女さん達はどうなのだろう?


これから接する上で観察しておけ。ということなのかしら?

あとは、レフィリア様のお母様はご健在なのかとか聞きたかったけど

それは流石にデリケートすぎるかなぁと思って聞けなかった。


「服は、今まで着ている物でかまわない。

部屋に関しては後で侍女に案内させる。

早速妹に会わせたいが少し休むか?」


「いえ、私もレフィリア様にお逢いしたいです!」


やっと、“同じ趣味”のレディにお逢いできるわ!

どんな方だろう窓辺で刺繍していらっしゃる慎ましやかな淑女かしら

何歳か聞き忘れたけど可愛らしい女の子だったりして。


ワクワクする私の前でどんどん歩く長身の男性に、なんとかついていきながら

応接室を出て何回も曲がり階段を上り多分3階かしら…

たくさん歩くとかなり奥まった所にある重厚な扉の前に来た

ノックをすると程なく開いた。


…なんか無愛想な女性が出てきた。


服装から侍女さんだとわかるけど、普通の侍女さんはこういうものかしら?

と、情報不足の伯爵邸のことを学ぼうと侍女の顔を観察していると

伯爵が入っていくのでココットもついていく

入った先はすぐ私室ではなく待合室のようなちょっとした小部屋でした。

可愛いつくりのソファとテーブルがあって扉が2つ

その奥にあるドアを開けると大きな部屋に真ん中にポツンとテーブルと

いすが2つ。窓際には勉強机っぽいのが置いてある

扉が今入ってきたのをあわせると3つあるので寝室やらが別にあるのだろう。


その中央の椅子に小柄な少女が座っていた。




なんんんんんんんんんんんんんんんて綺麗な人なの!!?


ココットの仕事はぶっちゃけ“お友達職人”

実際そんな仕事の人がいるかどうかは知らないけれど、

一緒に刺繍をして、雑談をして、時には悩みも聞いたりする。


身の回りの世話は出てきた無愛想メイドがいるので彼女がすべてひき受けます。


侍女とは常に傍にいる分、ココットのような相談相手も侍女がやるんでしょうが

この作品はなぜか分担作業です。


レフィリアは、妾腹の娘ですが父伯爵が引き取ったので

ココットより十分な教育を受けています(笑)


ココットの初仕事どうなるんでしょうかね。

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