表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/42

【3】 少女の成就、青年の名前

伯爵の名前を考えるのに2時間、名前を出すまでに3話経過(笑)

「……………………。」


「……………………。」




やってしまった。


激しく落ち込んでた時に、兄様に羽織らせて「今日もかっこいいですっ」

って言ったら苦笑いだったけど、笑ってくれたのでそれ以来

兄様がお出かけする時なんかは、私がジャケットを羽織らせるんだけど



余計なこと考えていたら、いつもどおりに言ってしまった!



もぉぉぉ!!恥ずかしい!!

キリッと言ったさっきのシーンが脳内リプレイ

うわー!言いようがないくらい恥ずかしい~

一通り恥ずかしく悶えてやっと相手がいることを思い出した。


「す、すみませんっ。

兄様にいつもしてることを同じようにしてしまいました。

お恥ずかしい限りです、大変失礼をいたしましたっ」


相手の方も対応に困ったのか、咳払いをひとつして

「…気にしなくていい」

とだけ言った。声の小ささから、

本当に困っているのがわかってさらに顔が赤くなる。



もうヤダ、恥ずかしくて逃げたい。


早く忘れてお人形を縫いたい!!




「何処へ行く」


「へ?…あ、の……エリスを探しに行こうかと…」


「入れ違いになる。座りなさい」


「でも、」


「座りなさい」



逃げようと思った私に、ものっすごっい鋭い瞳で

座るよう命じられ、ちょっと怖くて座った。

確かに私が出て行ったら“あの人から女が去って行ったわ”って

次の女性が現れるかもだけど、この状態はつらい…


腕を組んで足を組み、

険しい顔でそっぽを向く男性がまとっているのは

怒っている兄様以上の冷たい空気だ。

そんなに厄介な女性から逃げているのだろうか

モテる人だけが知る悩みなのかな。


それにしてもなにか、なにか会話にならないかな…


「あ、あの…」


「………………?」


「あ、お、お名前伺ってもよろしいですか?

私は、ロトノア・エルベリー子爵の娘、

ココット・エルベリーと申します。

あー…と、」


「モルトバーン伯ウィルソン・ノールフェスト」


「あ、そうですか。あの、伯爵様…」


「ウィルソンでいい」


「はい、ウィルソン様。

……あの、ここで布を広げてもよろしいですか?」


「…?あぁ、かまわない。

好きなだけ裁縫するといい。何を作るつもりだ?」


「はい、さっき言っていたお人形です。

あと、2-3つは作りたいんです。

本当は時間があれば刺繍などもしたいのですが

時間がありませんし、帰ったら没収するだろうし…」


「毎日そのように過ごしているのか?」


「はい、後はお勉強や習い事で一日が終わります」


「将来はもう決めているのか?」


「いえ、全然。

見合いもなければ仕事の話もないですし

兄様のサポートとお姉様の慈善活動のお手伝いを

今後もさせてもらえたらいいなとは思っていますが、

兄様が嫁げとか働けと言えばそのようにします」


「…………、そこに君は、何か思うところはないのか?」


「兄様は、常に私のことを考えてくださっているので

兄様がそこにしなさい。

と言う所は私のためでもあると思うので私は何も異論はありません」


「そうか……」



なんなんだろう。

あごに手を当てて考え込んでしまった。

なんで一日の話から将来の話になったのかしら?

というか、何で質問攻めなのかしら?


まぁ、子爵のご令嬢ならもっと若いころから花嫁修業という名の

上流階級の侍女を勤める人もいるだろうから

毎日勉強するとはいえ遊んでばかりいる私が…珍しい?

いや、上流階級のお嬢様って似たようなものだと思うけど良くわかんないけど

私、遊びほうけているプータローみたいに見えたかしら?


その前に花嫁、お相手がいないのでそれもしばらくないかなと

特に好きな異性もいないし…なんか寂しい人間みたいだけど、仕方ない。

兄様やお父様がこっそり持ってきたらわからないけど

そんなサププライズいらないからね、兄様。


それにしても遅いな、エリス


ウィルソン様が何をお考えなのか私にはさっぱりなので

とりあえずさくさく縫うことにした

(裁断までしたところで没収されたんです

ここまで来たなら最後まで縫わせてよ!

って言えたら良かったのにね☆燃え滾るオーラを背にして

仁王立ちのタバサには言えなかったわ、怖くて)




―――コンコンコン




「入れ」


「失礼いたします。

ココット様、ビルケット様がお急ぎの用があるとかで

すぐにお帰りになるそうです」


「……………兄様、お怒りになってた?」


「いいえ。お急ぎの用件を打ち合わせておいででしたので

もう、お荷物は積んであります

ココット様は馬車に戻るようにとビルケット様から言付かっております」


「わかったわ。


ウィルソン様、

急いで戻らねばならなくなりましたので

お先にお暇いたします。あの、お約束は…はたされたでしょうか?」


「あぁ、ありがとう助かった」


「よかった。

お優しいウィルソン様にお会いできて大変嬉しかったです

いつかまた、お会いできる日を楽しみにしております

では、失礼いたします」


お辞儀はバッチリなんだから。

ただ、言葉遣いは先生も眉をひそめるので

多分今もおかしいんだろうけど気持ちよ、気持ち。

気持ちがこもっていればいいんだから。






馬車が止まっている所までいくと兄様だけ乗っていた

エリスに裁縫箱先に積ませておいてよかったー

私が乗るとすぐ出発するのでお父様はどうされるのかと聞いたら

2-3日レイザック侯爵様のところで過ごすんだって。


私?私はひとりで帰るのがいやだから兄様と一緒なの。

お姉様に渡すお人形は縫い終わったから満足よ。うふふ。



「ココット、お前3階の個室にいたんだって?

しかも、男といたそうじゃないか。誰なんだ、その男は」


うひっ、いきなり来た!!…すごく怖い、兄様。


「モルトバーン伯ウィルソン・ノールフェスト様って方だけど…」


「…え!?あのモルトバーン伯爵か!?

何でまた…何もされていないだろうな!!?」


「何もされてませんよーそれよりも“あの”って何ですか?」


「氷塊のような人を寄せ付けない重いオーラをまとい

氷柱のように鋭い視線で相手を射抜く情け容赦ない冷徹非情な

そんな人だと聞いたけど。あまりに人を寄せ付けないから

氷塊伯爵と呼ばれているらしい。で、本当に何もされていないんだな?」


「何もされていないってば

確かに時々鋭い目で見られてたけど

ウィルソン様はそんな怖い方ではなかったわ

むしろとてもお優しかった」


「そうなのか?

というか、そもそも何故伯爵と一緒にいることになったんだ?」


「ウィルソン様が……あー、言っていいのか判らないけど

相手も寄ってくる女性陣から隠れたいんだけど

1人じゃ個室には行けないから、たまたま同じバルコニーに居た

私に一緒に入ってくれって。ケーキたくさん食べさせてくれたし、

縫いも…ぁ、す、すす好きなことし」


「いまなんて言った?」


「………ケーキ、が、………ねぇ?…エヘヘ♪」


「……………ココ」



怖い、めちゃくちゃ怒ってる。怒ってる!



「ぬっ、縫い物してました!

今度お姉様が帰ってくるときに渡すお人形作ってましたっ!!

ごめんなさーい!!」


「はぁ…ルフィーナは来週帰ってくるんだぞ。

勉強をサボったりパーティでこそこそしなきゃいけない

急ぎの用事でもないだろう。で、本当にモルトバーン伯爵の

目の前で縫っていたのか?何も言われなかったのか?」


「2人してお部屋に入ったら好きなだけ縫い物していいって

仰ったしケーキもたくさん用意してくださったわ

色とりどりでね、綺麗だったのよ」


「…信じられん。本当にモルトバーン伯爵だったのか?」


「本当よ。兄様信じて。

本当にモルトバーン伯ウィルソン・ノールフェスト

って名乗ってらっしゃったもの。その言葉に偽りがなければご本人だわ」


「まぁ、モルトバーン伯爵が紳士的な方でよかった。

……が、ココ、帰ったらタバサに叱られるのを覚悟するんだぞ」


「……はいぃ」





こうして、淑女らしからぬ行為をしたココットに、

帰りの道中兄から説教を受けながら家路に着き

華やかだけどいろんなことがあったパーティは終わった。





ココットに色んな思いをつむいだ運命の糸を絡ませながら。



アレ?伯爵、変態っぽくないですか?(笑)


心の中で(自分の中で)会話して、心の中で結論付けて行動するので

はたから見ると変態チックになっている気がするけど、気にしなーい。

反対にココットはポンポン顔や言葉に出てしまうので動かしやすいですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ