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【32】 変身アイテムの確認

ごっっっっっっっっっっぶさたしております。

生きていますよ(笑)


今回は、少しずつ変わり始めたお嬢様達のちょっとした会話です

嵐の王女殿下ご来訪から一夜明けて、

取り乱してしまった私に気を使ってくださり

今日は休んでかまわないとウィルソン様は仰ってくださったけれど、

男性2人に囲まれていたレフィリア様のことが気がかりだったので

ぬいぐるみセット一式持ってレフィリア様の元へ向かいました。


反対に私の方が心配されていました。アラ?


「緊張はいたしましたが、殿下がとてもお優しい方で

上手にお話し出来なかった私をリードしてくださいまして

楽しくお話しすることが出来ました」


そう言って、朗らかに微笑まれるレフィリア様のご様子に

本当に楽しい時間を過ごされたのだなぁ。と私も嬉しくなりました。


それから、レフィリア様にぬいぐるみ制作の指導再開と

マルティア王女殿下にお渡しする13体のぬいぐるみを作ることにしました。

4歳になられる姫殿下のお友達人形は出来上がり先に渡していただくよう

ウィルソン様にお願いしてお渡ししました。


レフィリア様はとても真剣なお顔で胴体の部分を縫っていらっしゃいます

いつもの涼やかなお顔でなくとても生き生きとしたお顔なんです

こんなに楽しそうに過ごされているレフィリア様は初めてかもしれません。


あぁ、可愛らしい…


「ココットさん、次はどういたしますの?」


「はい!次は、ここをこちらのしるしに合わせて縫っていただきます」


「それで、綿を詰めて頭と合わせれば完成ですの?」


「はい、ですが微調整もございますのでもう少しかかります

ゆっくり仕上げてまいりましょう」


「楽しみですわ…早く完成した物が見たいです。

まぁ、ココットさんはもう3体完成させましたの?早いですわね」


「何年も作っておりますので…慣れですね、慣れ」


「慣れですか…私もココットさんくらい縫い続けていたら

そんなに早くなるでしょうか?」


「いえいえ、私くらい縫い続けていたら

もっと素晴らしい仕上がりになっていますよ。

少し教えただけですのに、こんなにしっかりしたお人形になってるんですもの!

5年10年とやっていけば、もっともっとすごい物になりますよ!」


「ふふ…すごいってどんな感じかしら?」


「ふふ…私がビックリするものですよ」


「まぁ、ふふふ」


「うふふふ」


私のことはさておき本当にこの半年でみるみる表情と

まとうオーラが柔らかくなったレフィリア様のお顔に癒されていると

控えめにサナさんが私の仕事の終わりを告げて来ました

楽しい時間は過ぎるのがものすごく早いですね。


「ココットさんも、私の誕生日パーティに来てくださるのですわよね」


「はいっ、だから大急ぎでお作法とかのおさらいを

ミセス・フェブリーにお願いして教えてもらっているところです」


そうなんです!誕生日パーティに出席させていただくのですが

格式高い伯爵家主催のパーティです!

粗相があってはみなさんにご迷惑をおかけするどころか

後々兄様から激しいお叱りを受けてしまうかもしれません。

もしかしたらちゃんとお作法マスターするまでお裁縫封印になってしまうかも!


それだけは嫌です!!


なので、ミセス・フェブリーにお願いして彼女と

レフィリア様にお作法を教えてくださった女性に1日2時間ほど

みっちりお願いしているわけです。覚えるのに必死でとても優雅に

失敗無く過ごせるかと言われれば……今は少し難しいですが

お誕生日には必ず間に合わせてみせるわ!


「もう、お召しになるドレスはお決めになりました?」


「いいえ、仕立て屋の方と話し合っているのですが

私は控えめなほうがいいし仕立て屋さんは明るめの方をお勧めするので

中々まとまりません。私は後方にいるのでそんなに目立ちたくはないのですが」


「それならば、2着とも作ればいいのではございませんの?」


「そっっっっっっそんな、これきりですのにそんなに…」


「あら。これから様々なパーティにお出にはなりませんの?」


「それは、家に帰ってから作ります。

ここでは、レフィリア様のお誕生会だけで

他は出席するつもりはございません。

ほら、サナさんが待ってますよ。レフィリア様は微調整ですか?」


「えぇ、そうです。…そうだ!ココットさんもご覧になって?

これからのココットさんにとっていい刺激になりますわ」


「ありがとうございます!」






「レフィリア様、お美しいです………」



「あ、ありがとうございます。何だか恥ずかしいですわ」


そんな恥じらいを見せる美しい女性。

もうすぐ15歳になられるのに、こうしてみると大人の女性という感じがします

2-3指示を出してるお姿は儚げだった半年前とは違った、

しっかりした表情をなさっている立派な淑女。


“あぁ、もう私がいなくても大丈夫”


そんな仕事の終わりを感じさせる光景でした。

なんだかちょっぴり寂しいすがって慕ってくださった方が

もうお一人で先を歩かれてしまうんですもの。



「それで、今度はこの方のドレスの件なのですが

貴女とココットさんの考えたドレス2着とも作ってください」



「!?」


「はい、伯爵様もそのように仰られておりましたので

まことに勝手ながら2着とも作らせていただきました」


「えっっっ!?」


「まぁ、見せて見せて!」


感傷に浸っていたら、いつのまにかレフィリア様は普段着にお着替えになり

新作ドレスも片付けられ目の前にはいつぞやに私がデザインした

スカイブルーのドレスと仕立て屋さんがお勧めする太陽のようなオレンジの

ドレスがまばゆい輝きを放ちながら飾られていました…いつの間に……


「えっ!?」


「ココットさん着せ見せてくださいませんか?」


「えぇっ!?」


アレ?この積極的に着替えを指示する淑女は誰かしら?


アレ?なんで侍女さん達嬉々とした顔で私を着替えさせてるのかしら?


アレ?なんで髪を結われているのかしら?



アレ~???




「まあまあまあ!すっごくお綺麗ですわ!!」



「…あ…ありがとう、ゴザイマス…」


「…どうなさいました?こういうの、お嫌いでした?」


「いえ、慣れないだけです…」


「従姉達の話を聞いていてこういう着せ替えに憧れておりました

お互い好きだと思う物を持ちあって色々言い合いながら着せていくんです

…従姉達の話がとても楽しく言い争うのを見て、いつか私も…

してみたいと思いましたの…ごめんなさい」


「そうなのですか…いえ、嫌ではございませんの…

私はいつも自分で好き勝手に着せ替えしていたので

こんな風に綺麗に着付けていただくことに慣れていなくて…

なんか、自分じゃない気分ですね」


「いつもの、可愛らしいココットさんも素敵ですが

こうして綺麗に着飾ったココットさん、とても素敵です…」


アレ?いつもうっとりしているの私なのに、今日はレフィリア様がうっとり?

でも…こうして見るとオレンジのドレスもなんか素敵です


でも、“憧れていた”というだけあって

とても輝いた笑顔で私の周りを回られ感嘆の声をあげていらっしゃいます

とても楽しそう。レフィリア様がお喜びになると私もとても嬉しくなるんです。


「では、今度はココットさんがデザインなさった

こちらのドレスに着替えましょうねっ」


「えぇ、流石本職の方ですね。私のデザインでこんなに綺麗に仕上がるなんて

ありがとうございます!」


「いえ、お礼を申し上げたいのはこちらでございます。

素晴らしいデザインを使わせていただき、ありがとうございました」


そして、再度とても嬉しそうな侍女さん達に着替えさせてもらい

別の髪型に変えて(なぜ髪型も変えるの?)レフィリア様にお披露目しました。


「やはり、先ほどのオレンジの方がココットさんらしいですわ」


「そうですか?こちらのほうが普段の私らしくて好きなのですが」


「ん~~~~……そうですわね、ココットさんのお好きな方が

いいと仰るなら、誕生日会にはそちらでお願いしますわ」


「あの…では、こちらのドレスはどういたしましょうか?」


オレンジも鮮やかで綺麗なんだけど仕事するからパーティには出ないし


「どちらも買います」


ほー、さすが伯爵家太っ腹~。

私は着ないっていったからレフィリア様がお召しになるのかしら

レフィリア様はなんでも美しく着こなされる方なのでさぞお似合いでしょうね

それよりも私が着るドレスはウチで払ってもらうために

あとでお父様宛にお手紙書かなくては。




「ふふ、楽しみですわね」


いたずらっ子がするような満面の笑みでレフィリア様は振り返りました。



……なんだろう。

ふふふ。誕生日会という大きなイベントを控えた中での

会話なので実に静かなものです。

そして、当然ながら女性のお着替えなので男性は入れませんw


ラブがだんだん遠のいていく…


誤字修正しました(8/5)

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