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【28】 小さな我が子は旅に出ます

作ったモノは、我が子同然。愛おしくてたまらない。

傍にいて欲しいけど、外で活躍しているのを聞くとそれはそれで誇らしい。

翌日、翌々日とレフィリア様は熱を出されお休みになられています。


でも、サナさんの話ではお心が少し晴れたらしく

ほっとされての体調不良なのですぐに良くなると言ってました。

高熱ではなく微熱で、少しだるさが残ってらっしゃるのだとか。

重篤ではないので安心しました。お大事になさってください。という言葉と

サナさんに一応作ったうさぎさんの友達ぬいぐるみを渡しました。


ぬいぐるみ勢ぞろいバスケットは、元気になられてからのお楽しみなの。

いい香りを放ちながら、行儀よくお座りする光景は本当に癒されるけど

興奮して、熱が上がられてはいけませんもんね。


あー、そうそう。ウィルソン様にお貸ししたぬいぐるみ!


なんと、王太子様のお子様に気にいられてしまったらしく

とても、返していただけるような状態ではなかったみたいで

そのままもらわれて行ったと謝罪しながらウィルソン様が仰られました。


王室の方にもらわれて行ったのなら、大変名誉なことなので

謝罪などはいりませんと申し上げたのですが、

サンプルとして簡単に縫い上げて仕上げたものなので、

すぐに破けてしまって、王室の方に失礼にならないかそれが心配です。


デザインに時間がかかって縫製1時間とかね。カンタンに縫いすぎだね。



「ココット様、旦那様がお呼びです」



13体のぬいぐるみと戯れていたら呼び出しされました。

ごっこ遊びじゃないですよ!?リボン付けたり服作ろうとしたり

してだけなんですからね!!お人形遊びじゃないですから!

…コホン、失礼。いっつも兄様にからかわれていたので、つい。


しかし、珍しいですね。報告は夜だし昼間は王城かここの執務室で

お仕事されているので呼びだしされることはないのにな。

まだ、ぬいぐるみのこと気に掛けておいでなのだろうか。


とりあえず、呼び出された応接室へ行くといつぞやに会った爽やかお兄さん

…もとい、アルフレッド王子殿下がおられました。

たどたどしくもなんとか挨拶しますとこれまた爽やかにお笑いになり


「相変らず元気な姫君で安心した。久しぶりだね」


と、意味が分からない返事をなさいました。

いまのどこで、“相変らずの私”なのだろう?ドジ?落ち着きのなさ?

腰掛けると私とアルフレッド殿下の前にお茶とケーキが置かれました。

今日もまた美味しそうですね。


「先日は、姪にぬいぐるみをくれたそうでありがとう。

兄上からも君に礼を言っておいてくれと言われたので

兄上のも合わせて礼を言わせてもらうよ」


「そんな…あれは本当は試作品なのです。

いつ破れてもおかしくないので

突然破れてしまい姫殿下のお心を傷つけてしまわないか心配で…

あの今からお作りするものと交換は出来ませんか?」


「本人4歳だからね同じ色なら変わっても見抜けないと思うけど

そんなにゆるく縫い上げたものなの?」


「人様にあげる時は、ほつれないよう丁寧に縫い上げているのですが

今回のはそのあたりの気配りをせず作り上げたものなので、なんとも…」


「そうか。それで伯爵が渋っていたんだね。ごめんね。

それなら、僕がここで待っているから作っておいでよ」


「はい!あ、と…

お詫びにもう1体お作りしますが姫殿下は何色がお好きでしょうか?」


「なに色があるかな…」


「あ、サンプr」

「いま、お持ちします」


……………安定のヘレンさんの俊足。早ぇぇ~


「お待たせいたしました」


「あ、りがとう。ヘレンてば早~」


「恐れ入ります」


「あはっはははは!!面白いコンビだね!いい侍女を持ったね、ココット姫」


「アハハ…期間限定なのが惜しいくらいです、ハハ…

あ、これが今ある布でつくったぬいぐるみ全種類です」


「色と動物の種類がたくさんあるね。……………。

この緑を1つとこの全種類のをウサギで作ってくれないかな?」


「は、はい!」


「交換分のは、今作ってもらうとして

もう1体のと全種類のウサギは、さすがに今日明日という

わけにはいかないから来週取りに伺うよ」


「いえ、殿下。私が、お届けにあがります」


「伯爵は、しばらく王城での仕事はないでしょう?

僕が我侭を言ったのにそこまでしていただいたら

父上や兄上に叱られてしまうよ。姫、お礼は何がいい?」


「ぅえっ!?いえ…布もウィルソン様に買って頂いたし

裁縫は、私の生きがいで趣味ですので

礼をしていただくほどのことではございません。お気持ちだけで…」


「いやいや、こんなにすごいものを作るのに何か礼をしたいよ。

美味しいお菓子とか焼いてもらおうか?」


「いえ、毎日美味しいお菓子をいただいているので

…これ以上食べたら、太りますっ(小声)」


「くすくすくす…色々ツクシているんだね、ぷっくくくく…」


「……………?」



“ツクシテル”?なんのことだろう。

ウィルソン様に向かって意味深な笑みをこぼすアルフレッド殿下と

苦虫を潰したようなお顔で咳払いをされるウィルソン様を見て小首をかしげた。



とと、とりあえず、今から姫殿下が持っていらっしゃる

黄色のぬいぐるみを丁寧にお作りしなくては!!


あ、あと緑のくまさんと13種類のウサギさんを

来週までに、いやなるべく早くお作りしなくては。


初めて王家という尊い方々にお渡しするという名誉なお仕事を

賜ったんです。全神経集中させないと!!!





緊張するけど、ものすごく興奮しますぅぅ!!!よっしゃー!!

小さい頃から知る鉄面皮伯爵の変わりように、殿下の腹・筋・崩・壊!!w


小さな国ですので、王侯貴族は大概繋がっています。

ウィルソンは、第3王子の同窓生のようなもので

話し相手(勉強仲間?)としてたびたび入城してました。

アルフレッドはそのあたりから伯爵を知っています。


家庭的なステータスを持つ娘が、貴族の嫁候補として人気!

と色々な文献にありますがさすがにぬいぐるみ作るやつ少ないだろうと

ココットのぬいぐるみ大人気!してみました。


そう言う意味では、ココットは上流階級の嫁候補としてはいいですね。

健康的・社交的・家庭的・温和で従順。貴族出身だし。

金と地位と美貌とお菓子で釣れない伯爵どうやって釣るんだろう、

と不安になってきました。



…そ、そして、オマエガイウナと絶対零度の睨みが来ました!!((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル

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