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【S1】 ―深窓令嬢の想い―

レフィリア視点の25話のその後です。


タイトル変更しました。一覧がここだけ見苦しかった。

S(onota)1という意味で番外編には【S】がつきます。

「レフィリア様、旦那様がおいでです」



そう、珍しい出来事をサナが知らせてきたのは従姉が乱入して来た夜のこと

この部屋にお兄様がおいでになるのは最初にこの屋敷にきた時と

あの女性を紹介されたときくらいなものなのでサナも少し驚いているようです。


今日は、母方の従姉ブレリア・スレイクホームが突然来ました


私は、2歳になるころまで母親の元で育てられ

5歳になるころまでとある修道院で育てられ

そのあと父が亡くなる少し前にこのお屋敷に参りました。

母は、ここに引き取られる前に病で亡くなったとここに来た時聞かされました。


母方の親戚との交流は6歳までに幾度かありましたが

黒くよどんだ光を宿さない禍々しい目をした人たち。

という印象しかありませんでした。いつも上から見下ろされていたので

逆光で見えず顔も覚えてはおりません。


伯爵家の令嬢ともなれば着飾るのが礼儀です。

と、可愛らしいピンクのネックレスや赤い石のついたヘアアクセサリーなどを

お兄様からいただいたのですがどうせパーティには出ないでしょ。

と、ブレリアやその姉や私の伯母であるその母親に持っていかれて

ミセス・フェブリーと口論になり後々お兄様に親戚達が咎められたと

聞いたのは2桁にのぼるくらいあったはずです。


そのあと必ず、親戚側の指示で私と親戚達だけにさせられ

座る私を立ちながら囲んでなぜミセス・フェブリーのようなものを

周りに置くのか私からお兄様に進言せよと口調荒く言われました。


それからです、彼らが会いに来ると動悸が激しくなり

呼吸も荒くなり吐き気と高熱が出てくるのは。

ミセス・フェブリーや他の使用人の報告によって

状況を理解してくださったお兄様が

決まった相手以外の面会を断ってくださるようになりました。

それでも、目を閉じると夜になるとあの人たちの姿が声が脳裏をかすめ

薬を飲んでも寝られなかったことも多々ありました。


ですが、親戚側からひそかに派遣された使用人がいたらしく

そこかしこでお兄様に内緒で入り込んだ親戚達が

その使用人の手引きで待ち構えていることがありました。


部屋を出てすぐに親戚に捕まり誰もいない部屋に連れ込まれ

宝飾を渡すまで強請る台詞が止まらないこともありました。

サナはその問題のあと採用された父方の親戚の紹介の侍女です。

それ以来私は部屋を出ることはありませんでした。怖かったのです。

また、部屋を出るといるかもしれないと思いましたから。


お部屋にはお兄様付きだったお兄様の信頼厚い侍女がおりましたので

お部屋には入ってはきませんでした。今は、みな嫁いでおりませんが。

そのおかげでこのお部屋だけは私を護ってくれる要塞のようなものでした。

だからでしょうか、この部屋にいる時だけは平常心でいられます。


今は、あのようなことがあったばかりなので全身の震えが止まりませんが。


その恐怖を少しずつぬぐってくれたのはお兄様が連れてきてくださった

子爵家令嬢ココット・エルベリーさんでした。

髪も肌も瞳もすべてが輝いてまるでその人そのものが太陽のような方でした。

性格も朗らかでとにかく前向きで愛情に満ちた話し方をされまして

彼女が感じた体験はどれも輝いて楽しそうで

失敗して悲しいはずなのにどこか面白い。そんな方でした。


絵心は…申し上げにくいですが、お裁縫の才能は本職の方に負けないくらいの

技量を持った方だと思います。そんな技を持っていてもひけらかすことはなく

また、今の自分の力に満足する事がない向上心を持った方です。


だから、この方が用意したお茶会に行ってみようと

手を引かれるままお庭に出たのに…用意してくださったものすべては

ココットさんのように輝きを放ち温かく私を迎えてくれたはずなのに…



輝きを映さない目は、何年経っても私を深い闇へ落としました。



「大丈夫か、レフィリア」


半年振りくらいに会うお兄様は驚くほど変わられました。

特に瞳に感情が宿っています。これもあの方のおかげでしょうか。


「大丈夫です、ご心配おかけしました」


まだ震えが止まらない…動悸も激しい。

でも、お兄様にこれ以上ご迷惑をおかけするわけにはいきません。

しかし、そんな私の心情などお見通しとばかりに無理するなと

事務的に仰られました。瞳に“気遣う”色を宿しながら…


やはり、変わられましたわ。




太陽の化身のような女性に出会ったことで―――




「心穏やかでない時に、こういう話をするのもどうかと思うが」


そういう、気遣うお言葉も初めてのような気がします。


「あのスレイクホーム男爵は、爵位を失うことになった」


……そうですか。


驚くより先に納得の感情が出て、そうお兄様に申し上げました。

私にだけでなく配下の者や親しくしている者達にも同じように働いたとか。

そのあまりに非道な働きに国王陛下は心を痛められ

爵位を廃する案を了承されたようです。


それが一昨日決定して、昨日か今日に通知されたようです。

ブレリアはその通知のあと親から私を取り込むよう指令を受けてきたようです。


安堵の涙を流す私の肩を2度ほど叩き、お兄様は退室なさいました。

“もう奴らはここには来ない”

その言葉をどれだけ待ったことでしょう。どれだけ待ち望んだことか。

血縁者は、お兄様とその親戚達だけです。それだけで…


あとは…



お日様のような女性がお兄様のお傍にいてくださったなら…

近い将来違う呼称でお呼びできるような間柄になれたらどれだけいいか。







“お義姉様(ねえさま)”      






と、早くお呼びしたいです。

4―5歳の子を、壁のように取り囲みすごみながら脅すって…


こんな外道を見逃していたのは“お家騒動”扱いだったからでしょう。

資金提供していたのも“レフィリアに会わない代わりに”という条件のもの

半分は成り上がり男爵家の血を引いているのでレフィリアに会えないと

男爵家に訴えられたら面倒だと思ったのでしょう。

レフィリアを渡して断交してもレフィリアがあのように染まったら

自分と同じ血が混じっているので“モルトバーン伯爵家”の

名を利用されても困るしね。


お兄ちゃんは裏で色々妹を守っていたんです。

ただ、不器用なのでどんどん年頃になっていく妹を

どう扱ったらいいかわからず結局放置プレイしました(ぉぃ)


あと、お兄ちゃん喜んで!


妹が恋の応援してくれるってよ!!(笑)

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