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【25】 お茶会 ~そのあとで~

カツカツカツ、コツコツコツコツ…


広い廊下に、ウィルソン様の上質で心地いい靴の音がします。


トールマンに2-3何かを言いつけてから2人だけで

廊下を歩いています。

…いや、抱えられているので歩いているのはお一人なんだけど。


足が長いとコツコツの音もゆったり優雅な感じがしますね。

ゆったりと揺れてウィルソン様の体温がとても心地いいくらい暖かいから

眠ってしまぃ……ま…せんよ!!

だだだ、ダメだから!運んでいただいてるのに、寝るとか失礼だから!!


起きろー起きろーほら、まもなくお部屋だぞーあ、ヘレン?


お部屋には、誰もいないから降ろしていただこうとしたら

ヘレンが部屋の前にいてドアを開けてくれた。

お礼言う前にツカツカ入られるので何も言えず今まで無言。ありがと、ヘレン。

てっきりソファーに降ろされると思ったら、ベッドに降ろされました。


「あ、ありがとうございました…?」


「今日は、色々有ったから、もう休むといい。

…当家の問題で、貴女に迷惑をかけてすまなかった」


「いっ、いいえ!私は、レフィリア様を御守りするために勝手にやったことで

ほ、本当は、もっといい方法が…相手を怒らせず諌める方法があったかも

しれませんが、思ったことをポンポン言って…申し訳ございませんでした」


「いい、気にしなくて。それより傷は痛むか?」


「…傷?」


「右頬に引っかいたような細い傷が複数ある。爪でかかれたのだろう」


「あ…」


あの人に叩かれた時、平手打ちじゃなくて

甲の方で叩かれたので、その時長い爪でやられたんだろう。気づかなかった。

そっと、触れる…皮膚が引っ張られるようにピリッと痛んだ。


…………………。



「大丈夫です…っ…ふ…」


頬に傷があると言われて、触ってみるとじんわり痛かった。

痛いと感じると同時に心に悲しい痛みが広がって、自然と涙が出た。

涙が…止まらなかった。


レフィリア様は、こんな辛く悲しい痛みを心に負っていたのだろうか、いつも。


涙が止まらなくて、嗚咽しか出ないのに一瞬だけ頭が冴える時があって

泣きながら、そんなことを思っていました。


辛く、悲しく、痛く、重く、苦しく、怖く、怒りたくなる。


そんな複雑な思いが心の中に渦巻いていた。

複雑すぎて、今の涙だって傷が痛くて泣いているのか

大好きなレフィリア様が不憫で泣いているのか、悲しくて泣いているのか

主人を罵倒されて悔しくて泣いているのか、

迫力満点な顔で初めて見る他人の淀んだ悪意に満ちた顔が怖くて泣いているのか

今の私には、解らなかった。


とにかく涙が枯れるまで自分の心が気が済むまで泣き続けた。



ようやく、泣く衝動がおさまりかけた頃意識も普通の状態が戻ってきたみたいで

あれ、ハンカチ濡れている…そんなに涙が出たんだ。

何年ぶりだろ、こんなに大泣きしたの。なんて思ってて気づきました。


ハンカチ…いつ出した?…これ、私のじゃなくない?というか…



ウィルソン様の胸で泣きついてたーーーーーーーーーーーーー!!!!



だだだだ、あわぁぁぁぁぁぁ!!!

ウィルソン様のお召し物濡れてるー!!!!

ああああああ!これウィルソン様のハンカチだ!!ぎゃー!!



「どうした!?」


「うぅ…うぁーぅえぇぇぇ!!!」



なんで、涙の激流再来なの!?


ウィルソン様が、心配そうに腕をつかんで引き寄せようとするけど

さらに、お召し物汚すだけじゃない!!嫌です、汚したくありません!

と、後ろに逃げたのにウィルソン様は追いかけるようにじりじり近寄ります


説明したいのに、嗚咽と言葉にならない呻きしか出せないの!

言葉出ないんですって頭フルフルして大丈夫ってアピールしているのに

ウィルソン様は、さらに困った顔をされて引き寄せようとしました。


涙とか、汚いけど鼻水も出てるし汚いから嫌なんです。

って言葉で伝えられないから逃げたのに何で追いかけてくるんですかぁ~

なにがどうした。と説明を求められても

口は泣き虫に占拠されてて使用できませんよぉ。って、あ!


結果、やっぱりお召し物汚しましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。


やだよぅ。汚したくないんです。もう大丈夫なんです。

でも、逃げようとしても大人の男性の力にかなうはずもなくて。

再度、抱きしめられて胸元が更にびしょびしょにー。

うっうっう…ごめんなさい。



ごめんなさい、汚して駄目にしたぶんは給料から引いてください。



そう、切れ切れに嗚咽の合間になんとかお伝えしたら…

初めて見る驚愕の顔をされたと思ったら、肩を震わせて笑ってらっしゃる!?

なんで、笑うんですかー!!って枕に顔付けて泣いていたら


「す、すまない。そういうつもりでは…」


と、今度は自信なさげな声色で背中をさすられました。



泣きすぎて、のどの奥と目と鼻が痛いです。

きっと、明日は顔が悲惨なことになっているだろうなぁ。

あと、傷口に涙しみて痛いです。痛いと感じたんだけど泣きたい衝動が

怖いほど止まらなくて。落ち着いたら頬がジンジンしてきました。


「!」


「着替えは後にして、医者が来たようだ」


枕に顔押し付けていたら、再びウィルソン様にお姫様抱っこされて

ベッドに寝かし付けられました。靴はここに着た時にヘレンに脱がせてもらった

と同時に、ご当主の後ろから女医さんが現れ恭しく礼をされました。

コルセットがきつくて起きあがれなかったので首だけ動かして挨拶しましたが。


濡れタオルで顔を拭かれたあと、丁寧に治療されました。

なんだか頬に大きくあて布されてばい菌入らないようしてくださいましたが

そんな大掛かりになさらなくても…

そもそも傷の手当にお医者様は必要だったかしら?


ウィルソン様は、私の左頬をなでられて

また、見舞いに来る。

と仰られ退室されました。とても心配かけてしまいました。

なんか、もうちょっとしっかりしたボディーガードや大人になりたいのに

泣きじゃくって心配させるって…なんか子供だ。はぁ…


あと、着替える時(ヘレンが常駐することになったので手伝ってくれました)

ヘレンが、あちこち傷があります!というので慌てて女医さん引き戻してきて

全身診察してたら急に眠くなって傷薬塗られながら寝てしまいました。




本当は、辛いことがあっても痛いことがあっても平然として

毅然と相手に立ち向かえるのが立派な大人で、誰かを御守りする以上

そうならなくちゃいけないのに、情けないな。


ルフィーナお姉様のように、強く凛々しい女性になりたい…です………zzz

あれ?珍しく甘い話になりましたよ?


急に体を小さくして泣きじゃくる少女に

青年伯爵の何かのスイッチ入りました~~(笑)

急なイチャコラにヘレンは居た堪れなかったでしょうね。

いっつも氷塊まとう主人が急に氷を急速に溶かし始めるんだからww

ドンマイ、ヘレン。


次回は、レフィリア嬢と兄伯爵の話でも書いてみようかなと思います。

ココットは、伯爵家の人間ではないので裏事情とかわからないので

“事件が発生しましたけど、今は無事解決して平常どおりになりました”

という話で進んでしまいますからね。どう解決したのかを書こうと思います。

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