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【22】 お茶会 ~1~

「お迎えに上がりました。レフィリア様」



テーブルクロスは、一昨日仕上がりました!仕上がらせました!!

頑張って仕上げましたとも!初めて徹夜しましたわ!ハハハ!!!

頑張って仕上げたテーブルクロスを見ていただくのが楽しみですっ。


レフィリア様と昨日お刺繍している時にその話をして

準備って大変だけどみんなが一緒の目的に向かって話し合ったり

意見をぶつけ合ったりするのはとても楽しかったです!

なんて話したら


「今度は、私と一緒に企画しませんか?」


なんて、なんてっ!とても、愛らしく恥じらいながらよっ!!

お言葉をいただいた時には、思わずその晩大声張り上げて

ウィルソン様にご報告しちゃったぐらいなの!

(ウィルソン様はあまり変化が分からなかったけどトールマンは嬉しそうだった)


最初のころは、お兄様に言われて渋々って感じがしたけど

この1-2ヶ月でようやく私という存在を認めてくださったかのように

警戒を解いてくださるようになりました。(お家事情の話をしなければ、ね)


いや、本当レフィリア様美しすぎます!


最初は警戒心むき出しの険しい顔をなさっていたけど

最近のレフィリア様は、ほころんだ顔をなさるんだけど


私より年下なのに、年下なのによ!?


気品ある大人の美しさが内面からにじみでているようだったわ。

でも、次の瞬間には幼さ全開の年相応の愛らしい顔になったりと

女の私でも、ドキドキするほどくるくる変わる表情をなさるの。


今日のお召し物も大変お似合いで、

サーモンピンクの生地に白と赤の刺繍がものっすごい!

裾や襟元に親指ほどの小さな花が咲いているの!ツルみたいなのが

花と花を結んであるのでみんな繋がってる?…じゃないよね、きっと。

しかも、裾と襟元と袖口だけに刺繍してあるかと思ったら

その他の全面に、布のピンクより少し…本の少し濃い目の色で

大きな花の刺繍がしてあった。さすが伯爵家のご令嬢手の込んだ上質のドレス!

きれーい!!


ちなみに、私はモスグリーンのドレスに黄色のショールです。

いいのレフィリア様が花の色なら私は葉や茎の色で。花を支える茎になりたい


レフィリア様の手をお引きして庭に案内した私は、

庭に設置した、椅子に案内すると立ってもらっていた

“レフィリア様を喜ばせるお茶会責任者”達を紹介しました。


「この者達が、用意してくれたのですか?」


「はい。左から、花壇整備担当のロダムさん。

お弟子さんがいますが、庭園の整備をほとんど1人でしているので

打ち合わせする時に捕まえるのが大変でした。ロダムさん忙しいから」


「まぁ、それはありがとう」


あまりこういうのに慣れていないのか、レフィリア様の美しさに参ったのか

真っ赤な顔をして「いいえ…」と言ったまま俯いてしまったわ。


「それで、次は茶葉選定担当のくま…じゃなかった!

ちちちちちち違う!くまじゃなくて、えーとえーと……」


「ぷっふふふふ…グ、グリーズ…ふふふハハ、ですわ。ぷぷぷぷぷ…」


あわわわ、しまった。長い間“くま料理長”と内心呼んでたから

すっかり定着しちゃって、この前聞いたばかりの本名をもう忘れちゃってた!

って、リウムさんだけでなくみんな笑いをこらえてるし!!

侍女さんたち、後ろ向いて何事もないようにしているけど

肩が大きく揺れているの解るんですからね!


「ごめっ、違うの!グリーズさん!」


「いいんです…オレ“くま”で…」


「違うの!違うの!!聞いてグリーズさん!」


「あはは!いいんですよ。愛称を与えてくださるのはその者に

愛着を持ってくださる証拠なんですから。それに…くまに似てるし、ぷふー」


「もぅっ、リウムさんまでっ!!」


「ふふ。申し訳ございませんっ…ふふふふふふ…」


「もぅ…コホン話を戻してケーキ担当がグリーズさんの奥様リウムさんですっ」


「まぁ…ですから、我々にそんな丁寧な扱いされなくてもいいのですよ

初めましてレフィリア様。スイーツを担当しております、リウムと申します

眉目麗しいと評判のレフィリア様にお逢いできて光栄でございます」


とても丁寧に使用人として無駄な発言してないように見えますが

目がとてもうっとりギラギラしています。頬が赤く染まっていきます。

「はぁ…」とか、時々色っぽいため息をついています、息荒くないですか!?

この後どう発展するのか考えたら怖くなったので、

トールマンとミセス・フェブリーを紹介して花壇に行きました。


「綺麗に咲いてますね」


「本当に。(わたくし)の好きなシィリンの花ですね。

こんなにたくさん、花の色も鮮やかで…綺麗です…」


「ロダムさんが、頑張ったおかげで…って、レフィリア様!?」


レフィリア様の反応が気になって、見てみたら美しいお顔からはらはらと

しずくが流れて太陽の光が反射して、なお美しさが…ってそうじゃない!

なんで、泣かれているの!?駄目だった?

何か悲しい思い出がおありになったんだろうか?

庭に下りた記憶がないというくらいここには来ていないのだったら

何か嫌な思い出でもあったのだろうか。

一番やってはいけないミスをしたのだろうか。



レフィリア様に、悲しい思いをさせるというミスを。



「レフィリア様…」


「ごめんなさい。あまりに綺麗で泣いてしまったんです。

もっと、早くにここに来れば良かった…でも、下に降りるといつも

怖い顔の人たちが待ち構えているような気がして

…足が竦んで降りられなかったの」


「レフィリア様…申し訳ございません」


やっぱり、駄目だったのだ。部屋からお連れしては。

いつも歩く屋敷の中はこの美しくか弱い女性には野獣の巣窟のように

思えたのだろう。それだけお辛い思いをされたのだ。


「いいえ、謝らないでください。

本当は、怖かったけど貴女の暖かい手に引かれて歩いていたら

何故だか、だんだん怖くなくなりましたの…不思議です

そうやって降りてみていつもは遠くに見ていたこの花が

こんなにも美しく生き生きとした花だと知って…


嬉しさと………後悔が…“庭には誰も来ない”と言う言葉を信じてっ…

ここに、来れば良かった…(わたくし)は……ううっ…」


とうとう、レフィリア様はサナさんの胸に顔をうずめて

わんわん泣き始めてしまいました。私も、みんなと一緒に

もらい泣きしちゃった。


後悔するということは、“ああすれば良かった、こうすれば良かった”と

“良かった”事を知って初めてすることだと思うので、

何も悪い事ばかりではないと思う。何より14歳。

まだまだ、これから色んな事を知る時間があるのだから

そんなに悔やまないで。


と言ったら、さらにわんわん泣かれてしまいました。

これで、レフィリア様のお心の傷が少しでも癒えたらいいのですが…



この後、庭園整備に戻ったロダムさんと通常業務にもどるトールマンと

ミセス・フェブリーを除く全員で目を冷やす作業をしました。

私より、使用人の皆さんの方が長くレフィリア様にお仕えしているから

私より思いが強かったのかなと、みんなの号泣っぷりにそう感じた。

やっとこさ、レフィリア嬢がお外にきました。


この屋敷はバス・トイレ付き個室だらけなので

本当にレフィリアは、認知され屋敷に来た10年以上外を歩いていません。

来てすぐの数ヶ月は、庭に来たのですが3―4歳で覚えていないし

当初から金の亡者だった親戚縁者が幼女を利用しようと周りにいましたからね

あの時の顔をレフィリアは忘れられていません。

だから、外を歩こうとするとフラッシュバックで血走った顔が浮かんできて

行けなくなったという事です。


親戚も、何の害もない人たちなら友達以上の好き。だけど

害をなす人って、身近なテロリストですよね。

おまわりさーん、ここでーす。みたいな。

私も、結婚当初そんなテロリストに苦しめられていました。


だから、レフィリアが余計に不憫で可愛くてね。よしよししたいです。

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