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【12】 今日の講義―身分について― …?

「旦那様がお帰りになりました」



「ありがとう」


「キイカ、食器を下げたら私の部屋に来なさい」


「!…はい」


そして、キイカがいなくなったところで

ミセス・フェブリーは、私に少し話があると私を留まらせた。

厳しい口調にちょっと身構えてしまう。なにごと!?


「ココット様、キイカが無礼を働き申し訳ございませんでした」


「えっ!?」


なんで、密室の騒動知ってるの!?


「部屋の外にも届く声を通りがかりの侍女が聞きました

今後あのようなことがないよう使用人全員に徹底させます。

誠に、申し訳ございませんでした」


「そっそんな使用人がこういう待遇しているので疑問は当然あります

彼女とは疑問も解消され謝罪をしてもらいました。もう仲良しですっ」


「いいえ、ココット様。

いくら、この家と雇用契約を結んでいても貴女様は子爵家のご令嬢。

庶民との待遇の差は同然でしょうし当主である旦那様からの命もございます

それを使用人がお仕えする方に無礼な口を聞くなどあってはならないことです

ココット様とのわだかまりが解消されたとあっても

不祥事を起こした者に注意するのは当然のことでございます」


「でも、私ははっきり言ってくれた方がすっきりするし…」


「それは相手が対等の立場の方の場合でございます

階級がしっかり決められている社会です。ココット様もしっかりその辺りを

意識していただけませんと、ココット様にとっても下々の者にとっても

いい影響はありません。どうか貴族としての意識を改めてくださいませ」


「……はい」


そうか。庶民に近い感覚のせいか

彼女達と私はそんなに立場に差はないと思っていたけど

私は下級でも貴族で彼女たちは伯爵家に出入りしても結局は庶民なのだ。

私にはないと思ってた段差があちら側から見ると実は大きな崖だった

ということなんだろう。うーーん。


では、下級貴族で使用人な私はどういう行動をとったらいいんだろうか。


ウィルソン様やレフィリア様のような天上のお方なら対応しやすい

…って言ったらいけないけど差がはっきりしているならわかりやすいけど

身分的にも庶民には届きそうな貴族で(私的にはね。だって男爵や子爵なら

伯爵や侯爵が結婚の相手という場合もあれば

実業家一族の様な中級庶民階級が結婚相手になることあったんだから)

肩書きは使用人なんだけれど下級だけれどやっぱり貴族で


おいそれと伯爵家の方と同席して食事していい職業じゃない

かといって下層の使用人食堂で賑やかに食事してもいい職業でもなさそうだけど

(しかし小さいころは一人で寂しいからと駄々こねて使用人と食べてました)


使用人の線引きすごく面倒くさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!



「ココット様、旦那様に進言なさるのではないのですか?」



……わ、忘れてました(て、テヘ☆)


ピシャァァ!と叱られてテンション下がった状態で御当主とバトルですか

き、厳しい。もうちょっと、体制整えてからのがいいけど

ウィルソン様をこれ以上お待たせするわけにもいかないし

せっかくご多忙の所を時間を割いてくださったのだから必ず行かなくちゃ。


うぅ…勝てる自信がないです(白旗フリフリ)


ミセス・フェブリーについて行くと、

契約書類にサインした部屋に案内されました。数日振りです。

ノックをしてミセス・フェブリーの後に入るとウィルソン様は

執事のトールマンさんと2人きりだった。お仕事中だったのかしら。


「ココット様をお連れしました」


「わかった、トールマン」


「畏まりました」



何も言ってないよ!!?



用件何も言っていないのに、わかった。とばかりにお辞儀して去っていった。

すっごい。さすが、伯爵様を支える執事なのですね。執事を極めた人!


「掛けないのか?」


「う、はい。あ、立ちます!」


“座れば?”→“あぁ、座る~”的な流れが

話の雰囲気に出てて思わず腰掛けそうだった!はーはー

さっきの身分意識を改めるはどうした!!危ない

あまり使用人が雇用主と同列になっちゃおかしいでしょう

あれ?いま、お許しあったよね。あの場合はいいのか?…あれ?


あれ?


「掛けなさい。私が顔を上げなくてはいけないから首が疲れる」


「は、はい!」


そう言われて身分云々いえません!

ウィルソン様の目や首のために座ります!!


そこでトールマンさんが来てミセス・フェブリーが退室しました。

こんな夜半に若い男性と女性が2人きりがいけないということなのだろう

目の前にいい匂いの紅茶とおいしそうな焼き菓子が置かれた

さっき、お夕食食べたんだけどおいしそうね。甘い香りがします。


「食べるだろう?」


「はいっ、食べ…!」



何しに来たんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


見目麗しい御当主と夜のティータイムとかそんな

ドッキドキするシチュエーション体験しに来たんじゃないから!!

しっかりしろ、私。


「い、いえ。ああの、お話があってきましたので」


「用件は聞いている。今の待遇では不満か?」


「いいいいいえ!良くしていただいてます!!

良すぎて混乱しているんです。私はこちらに雇われた使用人です。

使用人棟で生活できるよう自分の身の回りのことはできるようになっています

だっ、だから、使用人棟に移らせていただきたいんです!!」


「しかし、君は貴族の令嬢だ。あそこには入れられない」


「でっ、でも私は使用人です」


「その前に、貴族の人間であることを忘れてはいけない

本来なら3階にでも入って欲しいくらいなのだが」


は!?3階の客室はVIP専用ですよ!?

それは勘弁してください。そこまでしていただく身分ではございません!

なんかすごいこと聴いちゃった。聴かなきゃよかったー!!


「他には?君を悩ませているものはないのか?」


こ、超高待遇をなんとかして…


「だから、自分のことは何でも出来るので侍女つけるのをやめてください」


「君の所の…誰だったか?」


「ココット様の部屋付きは、ヘレンでございます」


「彼女が何か粗相を?」


「いえっ!それはすばらしい侍女さんです!!

完璧すぎて彼女のほうが本物の貴族令嬢かと思うほど!!」


言ってて私に返るダメージ量がハンパないんだけど。


「侍女がいないと何かと不都合だろう」


「いえ!自分のことは自分で出ますから!

だから、余計に世話していただくのが申し訳なくて」


「あれらはそれが仕事なのだから君が気に病む必要はない」


「でもっでもこれでは本当にお客さんです。

お客さんがお金もらって住み着くなんておかしいです!」



「誰かに言われたのか?」



ヒョォォォォォォォ…と、

冷風が吹き付ける感じしますがトールマンさん窓開けました?


「いえ、私の考えです。

お金は、苦労して稼ぐものだと兄によく言われています

お金には邪悪なモノがとりついているのだと

楽をしてもらったお金はいずれその邪悪なモノにとりつかれると

小さいころに言われて寝れなかった記憶があります

だから楽をしてお金をいただきたくないんです

こういう扱いをしていただいて、嬉しい半面申し訳なくて怖いんです

気づかないうちに邪悪なモノにとり付かれたらどうしよう。と」


「妹の相手だけでもかなり苦労すると思うが?」


「そんなことありません!

とても、お優しい方で一緒にいて楽しいです

確かにまだ距離感つかめてなくて試行錯誤な状態ですが

それは人と関わりあう上で避けては通れないものです

それを、苦労と言ったらもっと大変なお仕事をされている方に失礼です」


「そうか。では食事を運ばせる侍女だけにする。これ以上の変更はない」


「!?ウィルソン様!」


「困ったことがあったら、ベルで呼べばいい。いいな?」


「………………はい」


だって、もっともっと皆と仲良くなりたいのにこれじゃあ…

結局、侍女の仕事だけ変更になっただけじゃん。

あんな豪奢な部屋じゃなくても質素な部屋でも住むのに抵抗ないんですよ?

確かにクローゼットは広いほうが収納を多く取る趣味だから嬉しいけど

荷物多くて狭くなっても全然かまわないんですよ?

っていうのは我侭なのかな最後は、締め切られるように話し終わったし。




結局、ウィルソン様には勝てなかった。





しょんぼりしながら部屋に戻るとトールマンさんが

さっきの焼き菓子を入れたバスケットを持ってきてくれた。


「トールマンさんは使用人がこの部屋にいるのはおかしいですか?」


「ココット様が、この部屋にいることはおかしいことではありません

貴女様は旦那様がお呼びした大切な方です

そして、お嬢様の大切なお話し相手でもあります

お立場のことで思うところもございましょうが

そのことだけでもお心にとどめて置いてください」


「はい…」


「では、お休みなさいませココット様。

それと私のことは呼び捨てで結構です。それでは、失礼いたします」


焼き菓子をテーブルの上に置いて、寝巻きに着替えて横になった。



あ、お洋服、を……ハンガーに、、…掛けるの忘……………………

まだ10代の小娘が、30超えた男に勝てるはずもなく……


という身分問題に悶々とする令嬢のお話でした。

色々ご指摘頂くのですがこんな感じでしょうか(ビクビク)

前話は、私のにわか知識をもとに欲望赴くままに書いたのですが

確かに使用人風情が雇われた話相手とはいえ貴族の娘に

牙むいちゃいけないよな。という考えになって

お局様に「めっ」して頂いたのですが。ここで問題!

『メイドを叱る場合、貴族がいる前か管理人室どちらがいいか』

で、相当悩みましたが後者にしました。

「怒鳴るようなことは、他でやってくださらない?」

という誰アンタ令嬢が脳内で告げたんです(?)


そして、伯爵の気持ち少し吐露(しかし、相手は気づかず(笑))

ちなみに、顔は出ていませんが伯爵の表情は『無』『困』『怒』くらいしか

ありません。しかも、あまり動かない。(もっと顔の筋肉動かそうか、伯爵)

だから、冷たいといわれるんですけどねw


早く、ラブらぶな話が書きたいよぉぉ。

というわけで、別の話に逃げたわけです(活動報告参照)

言い訳です、すみません。いつも読んでくださりありがとうございます。

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