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 私は今怒っている。また絶望している。なぜか。それはハンドクリームのせいだ。 

「おいまじか異世界。あんなひどい物を売りに出すなんて。あんなん使えるか。この世界の女性がかわいそうだよ。」 

そう、ことの発端は誕生日プレゼントでラグエルにもらったハンドクリームだ。私はちょうど手が乾燥していたので、使ってみた。すると開けた瞬間とんでもない匂いがした。なんだかいろんな香りを混ぜたようなものだ。また、使ってみるととても手がベタベタして最悪だった。

「みんなはよくあんな物を使えるわねぇ。私はもう絶対使わないけど。」  

でもこの世界にはあれしかない。私の肌は比較的乾燥しにくいものの、多少はカサカサになる。だからクリームは必要だ。 


 その翌日、私はさっそく行動していた。自分でクリームを作るためだ。よく小説には自分が作り方を知っていたものを異世界で作って金を稼ぐなどの話があるが私にそんなことはできない。なぜなら私はいつもスマホに頼っていて、作り方なんて毎度調べていたからだ。そんな複数回作ることもなかったので、細かいことは覚えていない。だからそんな作れなんてしない。ただ、私にも少しだけ作り方を知っているものがあった。それは蜜蝋を使ったクリームやラップの作り方だ。私の家では蜜蝋を飼っていて、蜜蝋がよく取れたため、私はよく蜜蝋で工作をしていた。作り方も簡単だったのでわりと覚えている。 

そう、蜜蝋を使えばハンドクリームが作れるのだ。これは作るしかない。まあ蜜蝋があるといいのだが。  

私は蜜蝋があるかを聞きにお父様の執務室へ向かった。あ、そういえば蜜蝋の他にも植物油と精油もいるなあ。精油はラベンダーとかあるといいのだけど。 

「コンコン、お父様入ってもいいですか?」 

「ああ、いいぞ。」 

「で、用件は?」 

「えっと、蜜蝋って知ってますか?」 

「蜜蝋?初めて聞く言葉だ。」 

はあ、そうか。ではこの世界に蜜蝋はないのか。 

「えっとでは蜂の巣はありますか?」 

「蜂の巣?蜂蜜を取るやつだよな。それなら一応あるが。」 

「実は私それが欲しいのです。」 

「蜂の巣か。探してみるがこの領地にはないかもしれない。あ、けど探してみるよ。」  

「できれば蜂蜜をぬいてある状態のものがいいです。」 

「わかった。」

「あと植物油と精油はありますか?ええ、精油はラベンダーとかレモングラスとか。」 

「ああ、それならある。準備しておこう。」 

「ありがとうございます。」 


 はあ、少し困ったなあ。蜜蝋ないのか。またもし蜜蝋の巣を見つけれたとしてもそれをもらえるかはわからない。

 


1週後、 

「セレーネ、実は僕の弟の家では養蜂をやっているらしい。蜂の巣も取れるそうだ。ここで提案なんだが今度、1週間ほどそこに遊びに行ってはどうだ?弟の家は山の麓の街にあってとても綺麗なんだ。 「それはぜひ行ってみたいです!」

「よし、決まりだ。では弟に連絡しておく。」 

やったー。私は自然はわりと好きだ。山の近くって夕陽とかめっちゃきれいそう。 




そして出発する日。私は質素なスカートにブラウスを着ていた。これからおじ様の屋敷に向けて出発するのだが、馬車で6時間ほどかかる。結構長い。うう、新幹線があったらいいのに。馬車ってずっと座ってるから尻が痛くなるんだよね。 

「本当は僕も行きたかったんだけどね、勉強が忙しくて。でも本当に気をつけてね。山には野生の動物がいるし。」   

「気をつけます。あとお土産買ってきますね。」 

「うん!楽しみにしてるよ。」 

よかった。ラグエルがついて来なくて。もし来てたら私、おじさんの家での生活を楽しめなかったよ。「では、行ってきます。」 

「行ってらっしゃい。」 


 私の旅は始まった。ここから馬車に長いこと乗らないといけない。とても憂鬱だ。でも1人ではないことが救いだ。ナンシーさんがついてきてくれる。 

1時間がたった。うう、ひま。やることがない。馬車は微妙に揺れているため本を読めない。そのためやることがなく退屈だ。 

「ねぇ、ナンシー。しりとりしよう。」  

「しりとりってあの、最後に言った文字からの言葉を言うやつですよね?いいですよ。」 

「じゃあしりとりのりから、りんご」  

「ゴリラ」 

「らっかせい」 

「いす」 

「スイス、じゃなくてすみれ」 

危ない、地球にしかない用語を使うところだった。気をつけているのだが使わないようにするのはかなり難しい。 

「れ、レモンパイ」 

「いかだ」 

こうしてしりとりを30分くらいした。私は同じ文字を連発したり濁点がついてるものを言った。ただナンシーさんもなかなか強かった。やはり大人はすごい。   


「セレーネ様、いったん休憩にしましょう。」 

私たちは通りかかった街で昼食をとることにした。うーんせっかく街に来たんだから食べ歩きがしたいなあ。フライドポテトとかものすごく食べたい。あと、焼き鳥みたいなのないかな。やばいよだれが垂れそうだ。 

「ねぇナンシー、せっかくだから食べ歩きをしない?」 

「食べ歩き?」 

「あ、えっとね、レストランに入るんじゃなくて屋台で少しずついろんなものを買って食べるの。」 

「それは楽しそうですね。では今日は食べ歩きをしましょう。」 

私は屋台を見てまわった。 

「あ、ポテトがある!」 

私はポテトを1つ購入した。またハンバーガーもあったのでそれも買った。  

「ナンシー、あそこのベンチで食べよう。」 

「はい。」 

私は椅子につくとハンバーガーを大きな口で一口かじった。 

「うんまあ!やっぱハンバーガー最高。」 

ついでにポテトもつまんだ。塩が効いていて。美味しい。 

「ナンシーも食べよう。」 

「お嬢様、よく食べ方を知っておられますね。」 

「ええっと、あの、本で読んだんだ。」 

「なるほど。それにしてもこれらとても美味しいです。お屋敷のお料理とは違う良さがありますね。」  

「でしょ?たまにはこういうの食べたいんだよね。」 

もっといえばコーラかサイダーが欲しい。まあ、ないと思うが。 



私達は昼食を終え馬車に戻った。そこからは再び馬車に乗って揺られているだけだ。乗ってすぐすると眠気がおそってきた。こういうときにはこの7歳の体は便利だ。すぐ寝れる。そして私は眠りについた。 


「…様、セレーネ様」 

「うん?ナンシー?」 

「もうすぐ着きますよ。」 

「ああ、今何時?」 

「今は4時くらいです。」 

どうやらかなりの時間、寝ていたようだ。私は閉じかけていた目を開いた。 

「うわぁ、きれい。」 

外には大きな山が見える。その近くには街が広がっていて、赤い屋根に白い壁の家がたくさん立ち並んでいる。すごいきれいなところだ。  


「さあ、お屋敷に着きました。」 

屋敷はわりと大きい。その周りには広い庭園が広がっている。私が馬車から降りると中から人が出てきた。


「ようこそ、我が家へ。私は君の父親の弟、ファビアンだ。」 

「こんにちは、叔父様。少しの間よろしくお願いします。」 

とても優しそうな人だ。よかった。 

私はこれからの生活に胸を高鳴らせた。











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