誕生日パーティー
クリスト先生に魔法を習い始めてから約1ヶ月。私はたくさんの魔法を使えるようになった。最初の方は魔力量の調整ができなくて誤って庭を水浸しにしたり、木の葉を全て散らしてしまった。そのときはあせったものだ。そして毎回荒らしてしまったものを先生と一緒に片付けた。なんか懐かしいなぁ。今では魔力量の調整ができるようになり、以前のように失敗をすることはなくなっている。また私は英語を利用して新しい魔法を作ってみた。するとあっさり成功した。このことはまだ誰にも教えてはいない。もし金に困ったら魔法を売ろうかな。あと忙しくなってラグエルを避ける作戦もうまくいっている。今のところ目立った接触はない。そんなかんじで私の異世界生活はわりと順調に進んでいた。
「セレーネ様、失礼します。」
部屋にナンシーさんともう何人かのメイドが入ってきた。いつもはナンシーさん1人だが今日は多い。なぜなら今日は私の7歳の誕生日だからだ。今日は屋敷で豪華な誕生日パーティーがある。私はそれの主役として出席しなければならない。ああ、本当に憂鬱だ。行きたくないよお。
「セレーネ様、今日はこのドレスを着てもらいます。」
うわあ、なんかレースやらフリルやらがついた豪華なドレスだ。綺麗な藤色をしている。これを着るのか。なんか動きにくそう。あ、ナンシーさんがすごい笑顔だ。これ絶対はりきってる。自分で言うのもなんだが、私は結構容姿がよい。これも悪役令嬢の特典だろう。そのためドレスを着るとかなり良い仕上がりになるのだ。
私はドレスを着せられ髪を結われた。髪はハーフアップに結われキラキラとした髪飾りをつけられた。それにアクセサリーも加わりすごい煌びやかな格好になった。
「とてもお似合いです!まるで水の妖精みたいですよ。」
妖精ねえ。そういえばソラリスにもそんなこと言われたなあ。懐かしい。
「ありがとう。私もこの格好気に入ってるの。」
もちろん嘘だ。こんな動きにくい服、早く脱ぎたい。
「そろそろ会場に参りましょう。」
私はメイド達に連れられて自分の部屋を出た。そして会場の扉の前まで来た。
「時間になったらこの中に入ってください。皆様がお待ちしています。」
はあ、やばいめっちゃ緊張してきた。だってこの中にはたくさんの人がいるんだよね?一応ほとんど身内らしいけど、声からして20人くらいはいる気がする。
「本日主役であるセレーネ様のご登場です!」
「セレーネ様、入場の時間です。笑顔で行ってくださいね!」
うう、行きたくないよお。扉が開かれた。人がたくさんいる…私は必死に笑顔を取り繕いながら部屋の真ん中に進んだ。
「セレーネ、ここに来て。」
「はい。」
「紹介しよう、この子が今日の主役。今日7歳になったセレーネだ。」
ぱちぱちぱち。拍手が起こった。めっちゃ見られてるよ。もうすぐに帰りたい。
「ここでセレーネに少しインタビューをしよう。7歳になって頑張りたいことは?」
え?インタビューがあるとか聞いてないんですけど。
「ええっと、、魔法です。」
「おお、魔法か!なら突然だがここで1つやってみないか?クリスト、いいか?」
「いいと思いますよ。」
クリスト先生も来てるんだ。てか魔法か。何をしよう。
「部屋を汚してしまうかもしれないですがいいですか?」
「少しのことなら問題ないよ。」
私は1つの案を思いついた。今は春だから春っぽい魔法を使いたい。けど思いつかない。使うとしても草魔法か。あ、花を作るのはどうだ?けどそれだけだとなんかしょぼい。そうなればいろんな魔法を使おう。私はさっそく花づくりを始めた。青い薔薇にをまず出して、表面を薄い氷で覆う。これだけでも結構綺麗だけど、さらに、光魔法で表面を少し輝かせる。
「うん、いいできだ。」
我ながらけっこう上手くできた。薔薇が少し光を放っているし、氷に覆われていてとても綺麗だ。
「お父様、できましたよ。」
会場の人々はみんな薔薇に目を奪われていた。わずか7歳の小さな子供がこれを作り出したのだ。それはみんなにとって驚きの出来事だった。
「ああ、すまん。少しセレーネの魔法に驚いていた。よくこれだけの期間でこんな上手くなったな。これからもがんばってくれ。」
「はい、がんばります!あ、あとこの薔薇あげます。」
「ありがとう。この氷はとけないのか?」
「はい、とけません。光もずっとあるはずです。」私が薔薇を渡すと人々が一斉に集まってきた。みんな見たいらしい。私はいったんすみに行くか。
私がすみでみんなの様子を見ていると、お兄様が声をかけてきた。
「セレーネ、そんなはしっこにいないで、みんなと話そう。今日はセレーネが主役なんだよ。」
「でも、なんか私のはいる場所がないっていうか。」
「いやいや、みんなセレーネと話したがってるよ。ほら行こう。」
私は手を握られ連れて行かれた。はあ、せっかく1人を楽しんでいたのに。
「あ、セレーネ。そういえばプレゼントを渡すのを忘れていた。今から持ってくるからちょっと待っててくれ。」
お父様がそう言って何が大きい物を持ってきた。いったい何だろう?
「じゃじゃーん!これがプレゼントだ。」
布を外すとそこにはピアノがあった。
「えっ、ピアノ?」
「おや、名前を知っているようだね。」
もちろんだ。実は転生前の私はピアノを習っていてわりと弾くことができた。まさか異世界でもピアノが弾けるだなんて。私は感動のあまり泣きそうだった。
「ありがとうございます!私、ずっと弾いてみたかったんです。」
「喜んでくれたならよかった。」
それにしてもピアノをくれるなんて凄すぎない?めちゃくちゃお金持ちなんですけど。
その後いろんな人からプレゼントをもらった。クリスト先生からは小さくて持ち運べる魔法の杖、お兄様からはハンドクリームをもらった。そのハンドクリームになんか見覚えがある気がしたが、きっと気のせいだろう。少し手が乾燥していたので、明日からありがたく使わせてもらおう。
そしてその翌日、ハンドクリームを使ってみた私は絶望していた。
「こんなもの、使えるわけないじゃない〜!」




