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 私は目を覚ますといつもの自分のベッドにいた。 

「ん?私って今日街にいってた気がするんだけど。」 

ただ自分で帰ってきたおぼえがない。もしかして街に行ったのは全て夢とか?

外を見ると空は茜色に染まっている。今は夕暮れ時なのだろう。夢だとしたら寝ている時間が長すぎるし、街に行ったと考える方が辻褄があう。 

 コンコン、そのとき部屋の扉がノックされた。

「セレーネ、起きてる?入るよ。」  

ラグエルが部屋に入ってきた。 

「セレーネ、何か僕に言うことがあるんじゃない?」  

お兄様はなんかすごい笑顔だ。ただなんか怖い。目が笑っていない気がする。

「えーっと、こんにちは?」 

「ちがう。」 

「じゃあこんばんは?」 

「はあ。そんなことじゃなくて、今日あなた僕のことを尾行していたでしょ。」 

「えっなんでそれを…..」

私は慌てて口をつぐんだ。やばいなんでバレてんの。私隠したつもりだったのに。  

「すぐわかるよ。小さい子供が1人でいるし、髪も見えていたから。」 

「はあ、そうですか。」

「あとね、君自分で家に帰ったと思ってる?」 

「思いませんね。寝てましたし。」 

「そうでしょ。で、連れて帰ったのは誰だと思う?」 

「お兄様でしょうか?」 

「正解〜」 

「はぁ。」 

「カフェで寝たセレーネを連れてきてあげたんだよ。あとお金も払ったし。何か言うことは?」 

「ありがとうございます。」 

「はいよくできました」 

ラグエルは私の頭をポンポンと撫でてきた。 

「で、セレーネはなぜ僕のことを尾行していたの?」 

「えっと、それは……」  

ヒロインと関わっているのか知りたかった。とは言えない。

「私が街に行ったら偶然お兄様がいて、何をするのか気になってついて行ってみたのです!」 

「僕には帽子とマフラーをかぶって髪を隠していたように見えたけど。」 

「えっと、今日は寒かったので。」 

「その割にはあまり分厚い上着を着ていなかったけど?」 

「いや、首を温めるのは大切ですから!」 

「もう、すごい言い訳するね。いいかげん本当のことを言いなよ。」  

「最近、お兄様がすごく私に関わってくるから、それがなんでか気になって。」  

少し違っているが、理由としては間違ってもない。

「え、そんな理由なの?それで結局理由はわかったの?」  

「いえ、わかりませんでした。」 

「じゃあ教えてあげる。」 

「あ、いいんですか?」 

「あのね、僕は単純にセレーネと仲良くしたかったんだ。」 

「え、仲良く?」 

「そうだよ。セレーネは僕の妹だ。兄弟はもう少し仲の良いものではないかと思ってね。」 

「ほう、でも仲のよくない兄弟もいますよね?」 

「君は見たことあるの?」 

「いや、見たことはないですけど、本に書いてあって。」 

「それはいったいどんな本なんだろう。僕にも教えてよ。」 

やばい、8歳の子供に言いくるめられそう。

「本の題名はもう忘れました。」 

「ふーんじゃあ証拠はないね。てことでセレーネ僕と仲良くしてくれるんだね。」 

「…」 

ラグエルは笑顔で圧をかけてきている。とっても麗しい笑顔だ。顔がいいだけに怖い。てかなんで仲良くするって言ったことになってんの?私1回も賛同してないのに。

「沈黙ってことは賛成でいいんだね?」 

「……」 

「じゃあこれから仲良くしてね?セレーネ。」 

「よろしくお願いします。」 



ラグエルが部屋から出て行くと私は盛大にため息をついた。仲良くするって本当になんで?私悪役令嬢なんですけど。はあ、困った。どうしよう。やはりどうにかして避けなければ。 

「うーん、全力で嫌われにいくとか?」  

「いや、ダメだな。それで断罪とかされたらいやだし。」  

「あ、どっちかがとても忙しくなればいいかも。したら会う暇がなくなって関わることがなくなるんじゃない?ただなあ、ラグエルを忙しくさせるというのは私には無理だし。あとかわいそう。てことは私が忙しくなればいいのか。」  

よし決まりだ。私はこれから人と話す暇もないくらい忙しくなってやる。でもなにで?勉強とかかな。いや、1日中勉強など無理だ。私は絶対にそんなことできない。うーん商売とか。ただそれはまだ私がやることを思いついてないので無理だ。あと、うまくいくかもわからない。あ、魔法っていうのはどうだ?魔法なら楽しそうだし1日中やってられそう。そもそも魔法を使えないという可能性もあるが、それはきっと大丈夫だろう。なにせ私は魔術師団の団長の娘なのだから。あと悪役令嬢は強いイメージがある。よし、決まりだ。私はこれから魔法を極める。こうなったら明日にでもお父様に魔法を習いたいと打診しよう。 





そして翌日。 

「お父様、私魔法をやってみたいです。」 

「魔法か、もちろんいいぞ。ただ、十分な魔力はあるだろうか。私の娘だから大丈夫だと思うが、念のため今からはかってみるか?」  

「はい!」

魔力測定か。なんか小説では読んだことあったな。お父様は部屋の奥から水晶玉のようなものを持ってきた。 

「セレーネ、これに手を当ててみて。」 

私は水晶玉にさわった。すると光がでた。しばらくすると水晶玉は薄水色になり、中には355という数字がでてきた。 

「うん、だいたい予想していた通りだ。この色は属性を表していてね、セレーネは闇以外は全てもっているみたいだ。その中でも水が強い。あ、属性というのはその人の魔法の得意分野みたいのものかな。水、火、風、土、雷、光、闇の7つがあって属性が多いほど使える魔法がおおいんだ。ただ闇と光を同時にもつことはほぼないから6個もっていたらすごいってところかな。この数字は魔力量だよ。人は平均150くらいの魔力を持っているんだけどセレーネは300くらいだからすごく多いね。年齢とともに増えるし大人になれば非常に多くなるだろう。」 

「お父様の魔力量はどれくらいなんですか?」  

「僕は900くらいだ。」 

私はポカンとしてしまった。え、900?多くない。平均150だよ。これが天才ってやつか。

「セレーネは将来僕より多くなると思うよ。」 

「はあ、そうですか。」 

そんな多くならないと思うけど…一応期待しておこう。 

「魔力は十分にあることがわかった。明日から魔法を教えよう。教師はこちらで手配する。」 

「ありがとうございます!お父様。」 

「ああ、頑張れよ。魔力は魔法を練習するほど増える。」

「がんばります!」 

やったあ!教師ゲットだ。これで魔法を学べるし、お兄様を避けられる。 

「んふふふふ♩」 

「ずいぶん楽しそうだねセレーネ。」 

「げ、お兄様。あっ、しまった。あはは。」 

私は誤魔化すために必死に微笑んだ。 

「ん、僕はしっかり聞いていたからね。なんで僕のことをそんなに嫌がるのかな?」 

「すみませんすみません、これからは避けません。仲良くしますから。あ、では私は失礼します。」 

そう言うと私は廊下を全速力で駆け出した。









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