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「さっき君によく似た女の子を見たよ。」
僕はそれを聞いて苦笑いを浮かべた。ええと、それはうちの妹のことだろうか?いや、うすうす気づいてはいた。うちの妹くらいしかありえないような淡藤色の髪の少女が自分のことを観察しているのを。うん、絶対あれはセレーネだ。6歳の子供が1人でいれば目立つに決まっている。隠しているつもりなのだろう髪も微妙に見えている。その結果うちの妹は盛大に目立っている。はあ、てかなんで1人でこんなところにいるの?なんか僕のことを尾行しているみたいだけど…なんで?屋敷ではあんなに避けられているのに。
そう、この前セレーネはやっと僕のことを「お兄様」と呼んでくれた。僕はそれがとても嬉しかった。どこか他人行儀なところがあった妹が兄として見てくれた気がしたのだ。そして、僕はセレーネともっと仲良くなりたいと思った。その次の日には勉強を教えてあげた。ここで順調に仲良くなれたかなと思ったのだが…
ここ1ヶ月、僕はセレーネに避けられている。気のせいではない。絶対だ。僕が誘うと必ず理由をつけて断られる。内心僕は結構傷ついている。
なかんじで妹は僕をどう考えても避けているのに。尾行している理由が思いつかない。てか普通にやめてほしい。セレーネはまだ6歳だ。そんな子供が街を1人で歩くなんて危険すぎる。また、セレーネは容姿もいいし、絶対に狙われるだろう。これでは僕の方が心配で買い物に集中できない。今日はセレーネの誕生日プレゼントを買いに来たのに。まさかの本人いるし。サプライズじゃなくなってしまう。
「ラグエル様、さっき出店の店主が言っていたあなたに似た女の子ってセレーネ様のことではないですか?」
従者のファビアンが聞いてきた。
「たぶんそうだ。後ろにいる。本人はバレてないと思っているみたいだが。僕はどうやら尾行されているみたいだ。」
「いったいなんのために?」
「それが僕にも分からないくて。全く困ったよ。」
「あ、ファビアンできればセレーネのことを見ててくれない?僕は心配なんだ。あんな1人でいて。」
「かしこまりました。正直私も心配でしたので。」「ありがとう。」
そこからは店に入って買い物をした。セレーネは相変わらずついてきていたが、うまいこと隠れてなんとかプレゼントを買えた。
そろそろ休憩にするか。
「ファビアン、どこかカフェに入ろう。」
「かしこまりました。」
僕たちは比較的静かなエリアにあるカフェに来た。もちろん後ろにはセレーネがいる。よくこれだけついてこれるなあ。
「2名様でよろしいですか?」
「はい。」
こうして僕たちはカフェに入った。後ろではセレーネが店員さんと話をしている。店員さんは苦笑いをしていて少し困っているみたいだ。それはそうだろう。だれでも6歳の子供が1人で来たら驚く。セレーネは苦笑いされていることに気づいていないみたいだが。
「僕、ここのカフェ来てみたかったんだよね。ケーキが美味しいらしいよ。ファビアンは何にする?」「私はアップルパイにしようと思います。」
「いいね。あとで僕にひと口わけてね?」
「もちろんです。」
「うわ、このタルトすごい美味しい!」
「僕のアップルパイもすごい美味ですよ。」
噂通りここのお菓子はとても美味しかった。甘すぎずちょうどよい。また果物がとても美味しい。
「この店に来て正解だったね。」
「はい、良い店を知りました。」
「うわぁおいしい〜」
後ろからなんか声が聞こえてきた。
セレーネだろう。彼女はスコーンを食べている。あと紅茶を飲んでいる。少し大人っぽすぎではないだろうか?僕のイメージでは6歳ではスコーンよりケーキを食べる気がするが。
「あの、ラグエル様、セレーネ様はとてもお疲れのように見えますが私の気のせいでしょうか?」
「いや、気のせいではないと思うよ。セレーネは今にも寝そうだ。」
「心配ですね。」
「寝ないといいが……」
「すぴー」
僕は思わずため息をつきそうになった。恐る恐る後ろを振り返ると…セレーネが寝ている。
「どうましょう?寝ちゃいましたよ。」
「僕たちでつれて帰るしかないだろう。」
店員さんが困った顔でセレーネを見ている。
「すいません、実はこの子僕の妹でして、あまりに疲れて寝てしまったみたいです、」
「あ、いえ」
「この子は僕が責任をとって連れて行くので。この子の分の会計は僕が支払います。」
僕は金を払って店を出た。セレーネはファビアンが持っている。
「ファビアン、重くない?」
「いえ、セレーネ様はとても軽いです。」
「セレーネは細いからね。もう少し食べた方がいいよね。」
「僕もそう思います。」
「よし、もう帰るか。セレーネもいるし。」
「かしこまりました。」
「これは帰ったらお説教だぞ。」
「あはは、それは少しかわいそうですね。」
「うん。」
こうしてセレーネのラグエルの尾行は大失敗に終わりました。そして最後はまさかのターゲットに回収されるという…..でもソラリスと会えたことはよいことでしたね。




