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私は街の入り口近くにある噴水のそばで本を読んんでいるふりをしている。もちろんラグエルが来るのを待つためだ。
「ああ、もう疲れた。」
子供の体力でここまで来るのはきつい。はたして先は大丈夫だろうか?あ、そうだ何か食べよう。そこらたへんには出店がある。そこで買えば良いだろう。出店にはたくさんの食べ物があった。果物や肉もある。私はその中でホットドッグらしいものを選んだ。
「あの、おじさん1つください。」
「あいよ。はい、どうぞ。」
「ありがとう。」
購入は問題なくできた。よかった。私は再び座ってホットドッグを食べ出した。
「おいしい〜」
「やっぱこういうふうに味の濃いものも必要よね。」
屋敷の食事は美味しくないというわけではないけど、やはりたまにはこういうものを食べたい。そう考えていると
「あ、お兄様がいる。」
やっとターゲットが来た!こっちに来る。人影に隠れないと。ラグエルは街に入ると出店の方面に行った。そして私がさっき食べたホットドッグの店に行った。そして注文している。
「あれ、さっき君によく似た女の子を見たよ。」
うおおおおい。おじさん何してくれてんの。それって絶対私のことだよね?いやばれるかもなんだけど。
「あ、そうなんですね。ぜひその人には会ってみたいです。」
ラグエルはそう答えた。いや、私は絶対に会いたくないけどね!けど、私だとは気づいてはない?よかったあ。ラグエルはホットドッグを食べようとしている。口を大きく開けるのに抵抗があるみたいだ。まあ、貴族のお坊ちゃんだからね。私はとても微笑ましい気持ちで見ていた。
次は店に入っていた。えっと子供のおもちゃの店?いや、それはわかる。ラグエルも子供だからおもちゃを買ってもおかしくないのだ。ただ、ここは明らかに女の子用の店だ。お人形やオルゴールなどかたくさん並んでいる。ラグエルは実は趣味が女の子なのだろうか。いや、だとしたら従者を連れて街にこないよな。は、もしかしてヒロインに?えっとヒロインにこの後会うから、プレゼントするとか?うわ多分それだ。なるほどね。この店にはヒロインへのプレゼントを買いに来たんだ。いったい何を買うのだろう。
「…は何が好きだろう?」
うわ、なんか言ってるけど、肝心の名前が聞こえない。
「お客様、何かお探しのものはありますか?」
突然私に声がかけられた。そうだった、わたしもこの店の客なんだった。この年頃ならほしいものがあってもおかしくない。
「えっと、なんか保湿クリームみたいなやつはありますか?」
「ありますよ。ご案内します。」
「あ、ありがとうございます」
本当は追跡のため断りたいが、感じ悪いのでやめておく。
「こちらがハンドクリームになります。」
店の棚には保湿クリーム等がたくさん置いてあった。可愛いガラスの容器に入っている。こんなのガラスの無駄使いだし、クリームも乾燥しそう。どうにかならないのかな。
あ、そういえば追跡のこと忘れてた。やばい戻らないと。私が急いでラグエルがいたところに戻ると、彼は外に出るところだった。危ない、見失うところだった。
しばらく追跡すると、彼はカフェに入っていった。よし、私もあそこでひと休憩するか。
席に着くとメニュー表がおいてある。紅茶やコーヒー、ケーキなどがあった。私はとりあえず紅茶とスコーンを頼んだ。
「はあ、疲れた。」
今日は朝からずっと歩いている。この距離を6歳児が歩くとは相当きつい。私はもう今にも寝そうだった。
「ふぁあ。」
「お客様、こちらスコーンと紅茶になります。」
「ありがとうございます。」
「うわあ、おいしそう。」
香ばしいスコーンの匂いでいったん目がさめた。
「いただきます。」
今回私が頼んだのはイチゴジャムがかかったスコーンとアールグレイ(紅茶)だ。スコーンはほんのりと甘く、いちごジャム少し甘酸っぱい。アールグレイもよくあっている。私は再びうとうとしてきた。温かい紅茶を飲んだせいだ。ああ、本当に眠ってしまいそう…私の意識はそこで途切れた。
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僕、ソラリエ・フィスニールはこの国の騎士団長、フィスニール公爵の息子だ。うちの家系は騎士が多くて、実際に僕の兄弟たちは、昔から剣術をやっている。しかし僕は生まれつき体が弱かった。今は治ってきたものの、昔は外を1人でまともに歩けないほどだった。そのため僕は小さい頃から空気や水が綺麗なアクエリーン領にある祖父の屋敷に預けられている。きっと父は騎士になれない僕を一家の恥だと考えているのだろう。祖父は優しく今の生活は幸せだ。ただ、僕ももう少しは人と関わりたい。ほとんど屋敷にいることが多いので、メイドや執事以外には関われないのだ。今日は街に出る日だ。僕が屋敷の外に出れる珍しい機会だ。馬車に向かっていると同じくらいの年齢の子供が僕の方向に歩いてきた。
ずいぶんふらふら歩いている。体調が悪いのだろうか?心配だ。
「ってうわあ!」
突然その女の子がつまづいた。僕のほうに倒れてくる。僕はとっさにその子をうけとめた。うう、結構痛い。よかった。怪我はないみたいだ。僕の服が少し汚れてしまったが、これはクリストに魔法で落としてもらえばいいだろう。
その子はどうやら乗り合い馬車に乗ろうとしていたらしい。ただ、のがしてしまったらしい。偶然行き先が同じだったので僕はうちの馬車に乗らないか提案してみた。その子は少し迷ったようだったが提案にのってくれた。どうやら女の子の名前はセレネといって年は僕と同じらしい。セレネは紫色の目と水色の髪をしている。とても美しい子だ。それからしばらく2人で話をした。僕はあまり同年代の子供と話をしたことがなかったので、なんだか楽しい。友達ってこういう関係のことをいうのかな。とにかくセレネとの交流はとても楽しかった。街についてからももう少し一緒にいたいと思って、誘ってみたのだが、彼女は予定があるらしい。けっこう悲しかった。だがしょうがない。
「じゃあねセレネ、またいつか会おう!」
僕がこう言うと、彼女は
「はい、ソラリス。」
と返事をして少し恥ずかしそうに名前を呼んでくれた。僕はとても嬉しくなった。自分の名前を呼ばれるだけでこんなに嬉しくなったは初めてだ。僕は彼女が見えなくなるまで手を振っていた。きっとまた会えるよ。だって、彼女は僕の家の近くに住んでるはずだし。もしかしたらお隣さんかも。僕は今後の未来に胸を弾ませていた。もう1回会ったら今度は絶対に友達になろう。
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数日後、僕は祖父に呼び出された。
「ソラリス、よい知らせだ。お前もずいぶんと健康になってきた。これからはこの家ではなくフィスニール公爵の屋敷で暮らせるそうだ。3日後に引っ越しだ。いいな?」
「はい、お祖父様。」
「用件は以上だ。もう退出してよいぞ。」
僕は慌てて部屋を出た。涙が込み上げそうだった。引っ越してしまっては、セレネと会えなくなってしまう。これから探して友達になろうと思っていたのに。僕はお祖父様やお父様のことを憎いと思ってしまった。こんなことはだめなのに、自分は最低なやつだ。
公爵邸に行くまでの3日間、僕は家の周りを歩き回ってセレネがいないかを探したが見つからなかった。
そしていよいよ引っ越しの日、僕は非常に暗い気持ちでいた。最後の最後までセレネを探したがいなかった。
「お祖父様、今までありがとうございました。」
「ああ、これからも頑張るんだぞ。」
「はい。」
僕はひとこと挨拶をして馬車に乗った。本当は自分でもこんな別れ方はしたくなかった。祖父はきっと気づいているはずだ。僕の気持ちが沈んでいたことに。僕はいろんなことが悔しかった。
こうしてソラリスはアクエリーン領から旅立っていった。




