6."11 SAMURAIs" -f1 『自曝』
-f1『自曝』
週末がまた明けた。
今日はちょうどテスト一週間前、月曜日である。
さっき、いつもの日課である図書室での勉強を終えてきた。
一週間も続けると流石に場所に溶け込んできて、俺はすっかり図書室の住民のようになっていた。
……まだ一週間前か。
何だか最近、時間の流れが極端に遅い。
相変わらず朝から疲れてぼんやりしながら図書室からの廊下を抜けて、俺はホームルームの引き戸を開けて中に入る。
「おっす、誠ー!」
「中澤ー、はよーっす」
俺の姿が見えたのか、話していたらしい矢吹と篠原がまた、すぐに声をかけてきた。
そちらの方を向くと、末永も二人と一緒にいたようで、こっちに向かって小さく手を振っている。
………あ、篠原だ。
そう思った瞬間、一気に目が覚めた。
俺は先週一週間の出来事を思い出す。
毎日のように挟まれていた半紙、微妙に間違って書かれていた名前、不可解な出来事の数々……。
「お…、おっす!!」
返事として出た声は、素っ頓狂に高かった。
無意識に緊張したのだと思う。
「おお?!なんだよ誠、お前今日元気だなー!最近なんだか元気なかったのによー。」
「え……え?!そうか?!」
「うんうん。」
矢吹と篠原が言う。
俺は三人の居る所に向かった。
「そ、そんなことないぞ」
「ははは!!中澤最近、すごい頑張って勉強してるもんな!」
篠原が笑う。
「は…はは!!!」
俺も笑う。
意識しすぎておかしな笑い方になっているような気がしてならない。
額に変な汗がういている。
「またノートとか色々貸してくれよー!最近、あっきーが貸してくれなくてさあ」
「あっきーっていうな。」
末永が被せ気味にぴしゃりと言った。
「篠原はもうちょっと自分でなんとかすべきだよ。」
「なんだよ、きびしー!」
末永の厳しい言葉に、篠原は耳を押さえて首を振る。
そのまま俺の方に向き直ると。
「てわけだから、な!また貸してよ、数学の問題集とか!」
そういった。
「………っ」
俺は自分の顔が引きつるのを感じた。
数学の問題集。
いつも半紙が挟まっている、あの。
どういうことだ、やっぱり篠原は………、篠原が…………?
「なんだよ篠原ー!!オレっちも頼ってくれよー淋しいじゃねえかあ」
今まで黙っていた矢吹がいきなり乱入してきた。
「えー、矢吹、お前いっつも寝てるくせに!」
「けどオレっちの成績知ってるだろー?もっと頼って!!」
「なんかそれ嫌だ!!お前だけには頼らねー!!!」
矢吹と篠原が騒いでいる。
助かった、と俺は思った。
だが、“その場をごまかせた”なんてのはただの楽観的な観測にしか過ぎなかったらしい。
その日の放課後だった。
授業が終わって帰る準備も済ませた俺が、掃除に行こうとしたときだ。
「あのさ、中澤。ちょっといい?」
俺の所にやってきた末永が、こう言った。
「最近、何かあったの?」