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Contrast  作者: WGAP
4."Odd August"
58/138

4."Odd August" -c6 『後夜』

-c6『後夜』





『今日はありがとう。とても楽しかった! おやすみなさい。』



 谷口さんからこんなメールが来たのは、俺たちが互いの家に入ってしばらくした後だった。

風呂から上がったばかりだった俺は、携帯を握りしめ、そのままベッドにダイブした。

蒲団はいつもよりふかふかしているように感じられて、俺はその中にじっと疲れた身体をうずめる。



 あの後。

花火を見終わった俺たちは、そのまま何もなく、帰路についた。

何となく気まずいような雰囲気が流れていた。

明るいところへ行っても俺は谷口さんを直視できなかったし、谷口さんも俺の目を見ないようにしていたように思った。




 俺はゴロンと仰向けに寝がえりをうつ。

広がる安堵感。

俺は初めて、自分が少しホッとしていることに気がついた。

俺はあの時確かに、告白しようとした。

あの空気の中で、確かに。


だが、今思えば。

もしあの時伝えてしまって、失敗していたら。

………俺は顔からサッと血の気が引くのが分かった。



 花火があのタイミングで上がって、よかったのかも知れない。

俺はそう思うことにした。

後先考えない行動に出なくてよかったと、思おう。


“もうあんなチャンスはないかも知れないのに”なんて、思っては、いけない。

俺は静かな安堵感の底から吹き出しそうになる後悔を、押しこめた。




 俺は立ち上がって、部屋の電気を消す。

今日はもう、寝よう。

今日はいろいろなことがあった。

俺の思考はもう回らない。

明日、師匠に報告のメールをして。

いろいろ考えるのはそれからでも遅くはないだろう。





 眠りに落ちる前。

ふっと、俺は思い出した。

花火が上がる直前、聞こえたあの言葉を。



『マコトとは、冬までの付き合いって契約してるんだから。』


なぜあの時、俺はこの言葉を思い出したのだろう。

何故、俺は………。





 底なしの眠りに引き込まれて、それから。

夢の中に現れたのは、“疑問”だけだった。












To be continue….

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