表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Contrast  作者: WGAP
4."Odd August"
52/138

4."Odd August" -b1 『進行』

-b1『進行』




 つまり、原野さんの計画はこうだった。

決戦の鷹尾祭りにおいて、俺と谷口さんが参加する予定の二日目に矢吹が祭りにやってくれば、矢吹に見つかって計画が大幅に狂う可能性がある。

だからと言って、矢吹に「二日目の鷹尾祭りには来ないでね」なんて直接言えるはずはない。

そこで、だ。

一日目に祭りに参加せざるを得ない状況を作れば、二日目には流石に来ないのではないか…?

師匠はこう考えたのである。

他の人をけしかけるのは少々手間と苦労が多かったため、ここはシンプルに、と、師匠は自らが『一日目に矢吹を誘う』という行動にでた。



 ……だがしかし、彼女の想定の範囲だけでことは動かなかった。

矢吹が想像以上にこの誘いを喜んだのである。

想像力豊かな矢吹にとって、『思春期の男女が二人きりで祭り』なんて状況は歓喜対象以外の何物でもなかったのかも知れない。

あの日から、原野さんの携帯には、矢吹から毎日大量のメールが送られてくるようになった。

これには原野さんも流石に面喰って、「……ちょっとあの計画は変な誤解を生みかねなかったわね……軽率だった…。」と渋い顔をしていたのだが、何はともあれ。

これで矢吹対策はひと段落。

心配の種が一つだけ消えたのだった。




 一方、肝心の谷口さん。

こちらも何とか、ぎこちないながらもメールのやり取りを続け、彼女と具体的なアポイントを取ることができた。

これは原野さんの協力もあってだったが、俺も何とか頑張った。

まだ、どんな反応が返ってくるか怖くて、メールがきてもしばらく開けないのことが多かったのだが……。

それでも、送ることさえできなかったことを考えると大きな進歩だと思いたい。






 時間は刻一刻と、飛ぶように過ぎていく。


陽翔さん宅で計画を立てて、作戦を練って、指示を受けて。

谷口さんからのメールにビクビクして師匠に怒られたり、原野さんが矢吹からのマシンガンメールに頭を抱えたり、陽翔さんに昼ごはんを御馳走になったり、ときに修行と称してトランプをしたりして。


あっという間に。





 俺は、鷹尾祭り当日をむかえた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ