1."A May-day" -a1 『序章』
-a1 『序章』
例えばモノの裏表。
最初に見たほうを“表”と勝手に思い込むから、“裏”ができるだけの話であって、裏も表もひっくるめてそのもの自体だ、と俺は思う。
それが自分にとって不満で気に入らない“裏”であっても、だ。
だから、「あのこ、裏があるよね」とか、大変迷惑な話である。
てか、余計なお世話だ。
そんな概念、自分が“最初に見た方の一面”を勝手に表と思い込むから成立するだけで、人の性格には多面性があることを完全に無視している。
いろいろな側面があって当然。
同じ側面でも人によって受け取り方も違う。
だから、こんな決めつけの概念なんて捨てちゃって、何もかもありのままを受け入れてくれるような世界になればいいな、って思う。
けど、まぁ。
この世界、そんなにうまくいくはずもない。
世の中は思い通りにいかないことが山ほどいっぱい。
ぐだぐだ考えているだけで仕組みをいじれてしまうような単純な構造はしていない。
何かしら行動は必要である。
…いや、もしかしたら、アクションを起こす勇気が何より必要かもしれない。
もしそれが俺にあれば、今現在こんな状況にはなってなかっただろうし、まず、この話は始まってもいない。
自分の壁を打ち破る“勇気”、“強さ”、“行動力”。
これが俺のロストワード。
だから……