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第4話 初任務①

 翌日、エドガーは馬車に揺られながら移動していた。依頼の日時は、午後16時。今は、だいたい午前9時くらい。


 これなら、時間はかかるが日時まで間に合う。エドガー的には、もっと早くつけるペガサス便の方がよかったのが仕方ないと諦める。それで行くには、お金がかかりすぎるのだ。


 馬車はペガサス便より、乗り心地も速度も悪いが、代金は非常に安い。これから、任務前の準備にかかる費用を考えると安くできる所は、安くした方がいい。エドガーはそう思い、馬車を選んだ。


 乗った時にいた客も気づいたら、降りて行った。いた時は、乗客と話してエドガーは気を紛らわしていたが、もう出来ない。

 退屈になってきたので、エドガーは外を眺めていると、御者の男性が話しかけてきた。


「よう兄ちゃん。その恰好、冒険者かい?」

「わかりますか」

「武器を持って、ペガサス便じゃなく馬車使うなんて冒険者くらいさ」

「そうですか? ここら辺だったら魔法国の魔術師もよく通るでしょう?」

「いいや。あの国の魔術師達は自前の箒か使い魔で移動するさ。そっちの方が、あいつらにとっては信頼できるんだろうな」

「なるほど」


 御者の答えに、エドガーは納得した。

 というのも、小さい頃エドガーはリネスと旅行でウェスタリア魔法国に行ったことがある。

 その際、ウェスタリア魔法国の空にはたくさんの魔術師達が、箒やペガサスなどの使い魔に乗って飛んでいた。それを見たエドガーがあれ乗ってみたいと言い、実際にリネスと乗ったのだ。


 それを思い出し、他国に移動する際もあんな感じなのかとエドガーは思う。


「俺1回、箒に乗ったことがあるがな、ありゃ怖えよ。柵もないし、魔力のコントロールをミスったら、最悪墜落だ」

「御者さん、箒持ってるんですか?」

「俺じゃなくて、倅がだよ。寮から帰ってきた時、少し乗せて貰ったんだよ」

「息子さん、魔術師なんですか。凄いですね」

 

 エドガーの言葉に御者はどこか嬉しそうにし、話を続けた。


「去年、魔術学校を卒業したら魔法国に行っちまってな。なんでも、魔法国の方が魔術の研究が進むからだそうだ」

「まぁ、でしょうね」

「そりゃそうだろうけどよ。ほら、もう少し顔を見せてくれてもいいのによ。家内もずいぶん前に死んじまって、家は俺一人っきりだ。これだったら、仕事をしてた方がマシだ」


 御者はどこか寂し気に言う。そんな様子を見ながら、エドガーは想像する。

 愛した妻は死んでしまい、息子は別の国。かつて家族団欒をしていた場所で彼は今、一人で生活しているのだ。


 辛いだろうなとエドガーは思う。彼も家で一人でいた時間はある。養成学校に入る頃には、ルクレの所に行くことは無くなり、リネスが長期任務の際も家で一人でいることが多くなった。


 その期間、エドガーは孤独だったわけじゃない。ゴルやサキュラなどの友達がおり、学校が終われば彼らと遊んでいたし、何よりいつ頃帰るかは分かっていた。

 だが、御者は唯一生きている息子がいつ帰っているか分からない。本来なら孤独にならず満たされている空間で、彼は一人生活しているのだ。


 もちろん、御者の息子を責めることは、エドガーには出来ない。別の国での仕事、簡単に帰れるのもではないことも分かっている。

 誰も悪くないことなのは、よく分かっているからこそ、エドガーは悲しかった。


「兄ちゃん、少々暗かったか」

「いっ、いいえ」

「悪いな。んじゃ、次はもう少し明るい話をしようか」


 車内に取り巻く暗い雰囲気を消そうと、御者は明るめに声を出し始めた。


「確か、兄ちゃん。アンタ、イリオス村に向かうんだってな」

「はい」


 イリオス村とは、エドガーの依頼の主がいる村の名前だった。小国ギレシアにあり、割と昔からある村である。


「あそこ、六日後にイーロス祭って感じの祭りをやるみたいだ。時間があったら、見てけばどうだ?」

「ここでもイーロス祭をやるんですか?」

「そうだ。元々、村の名前もイーロスに由来するらしいしな」


 イーロス祭。それは、古代にいたとされる聖剣使いイーロスを称える祭り。

 昔いた英雄を称える祭りと言うのは、古代からある物であり、英雄本人が生まれた土地や活躍した地で行われ、英雄達の軌跡を後世に伝え続けるという目的もある。


 ただ、イーロスという英雄は少し事情違う。イーロスという英雄は本当にいたのかは、分からないのだ。


 歴史書には何一つその名は書かれておらず、現在、調査されている遺跡などからもその名は出てこない。

 唯一、彼の名が出てくるのは吟遊詩人に語られる物語のみだった。もっとも、その吟遊詩人ですら、その物語がどこから伝わった物なのか分かっていない。


 そんな実在するかわからない英雄なので、当然出自もわからない。だから、イーロスの出身地はうちだと言う所が多くあった。そして、今からエドガーが行くイリオス村もその一つである。


「あの村のイーロス祭はほかの村のより豪華だぞ。一度、見てった方がいい」

「そうなんですか」

「そう、去年気晴らしで行ったがな、思ったより豪華だった。特にイーロスの伝説の一部再現とかはどの村よりも凄い」


 イーロスという英雄の物語を記した本を、エドガーはよく読んでいた。魔女を倒すために、冒険をするイーロスの姿がエドガーの目には、輝いて見えた。

 だから、彼も伝説を再現するというのを見てみたいと思った。幸い、任期は今日を入れて五日間。祭りに行けそうであることをエドガーは嬉しかった。


「見てみます」

「おう、その方がいいぞ」


 御者は、その言葉を最後にした。この道から人混みが激しくなったのである。人を轢かないように神経を尖らせている彼を横目にエドガーは再び、景色を眺めだす。


★☆★☆★


 午後15時30分過ぎ、イリオス村にエドガーはついた。ここまで馬を引いた御者に感謝を告げ、エドガーは村の門を潜る。


 イリオス村は、辺境の村であるためかほかの村よりもやや小さい。レンガ造りの家が並び立ち、周りは森と山で囲われている。どこにでもあるような辺境の村だった。


 エドガーは村に入り、どうしようか迷う。指定時刻より30分早くついてしまった。依頼主の家はエドガーが現在いる場所から、数分でつく。すぐに行くのは、依頼主にも気を使わせてしまうのではと考えていた時だった。


「ねぇ、お兄ちゃん。冒険者さん?」

「剣もってるし、きっとそうだ!」


 門の近くのベンチで座っていたエドガーの元に、薄い茶色の髪をもつ瓜二つの顔立ちの幼い男の子と女の子がやってくる。なんだろうと思い、エドガーはベンチから離れ、二人の元へ寄り目線を合わせた。


「うん、そうだよ。君たちはどうしたの?」

「じゃあ、俺たちの家に来る冒険者?」

「私たちの面倒を見てくる冒険者さん?」


 双子はエドガーを期待するように見てくる。その視線を受けながら、もしやと思いエドガーは逆に問いかけた。


「僕たち、もしかしてシルバ家の子供かな?」

「うん、そう。私は、ナミ・シルバ!」

「うん、俺はナル・シルバ!」

「「よろしくね」」


 息を合わせた言葉に、エドガーは思い出す。彼の依頼は、五日間のとある時間だけシルバ家の子供を二人、面倒を見ること。つまり、この双子こそがエドガーが面倒を見る子供達なのだ。


★☆★☆★


 ナミとナルに自己紹介した後、エドガーは2人に連れられ、村の中を歩いていた。

 ナミとナルは両親から自分たちの面倒を見る冒険者が今日来ると聞き、居ても立っても居られず会いに来た。現在、エドガーは二人に時間があるから、村を紹介するよと言われ、ナミとナルに連れられていた。


「ここ、パン屋さん。特に、苺のジャムパンがおススメだよ!」

「はぁッ!?このパン屋は、チョコロールの方がいいって!」

 おすすめのパンをめぐって喧嘩しようとする双子をエドガーは何とか宥める。

「まぁまぁ、どっちも後で食べてみるから」

「「本当ッツ!?」」

「本当だよ」

「じゃあ、食べたら感想聞かせて!」

「美味しかったか、教えて!」

「もちろん」


 笑みを浮かばながら頷くエドガーに、双子は嬉しそうに飛び跳ねる。五日間のどこかで買いに行こう。そうエドガーがそう考えていると、双子がエドガーの手を引く。彼にもっと知ってもらいたい場所があると言わんばかりに。


★☆★☆★


 約束の時間間近、まだ一緒に回りたいという双子を説得して、エドガーは彼らの両親で依頼主の家に行った。門から入り、玄関ドアの近くにあるベルを鳴らす。

 数分足らずで、ナミとナルの両親が出てきた。両親の顔を見た双子が、嬉しそうに声を上げる。


「依頼した冒険者さんですか?」

「はい。エドガーと申します」

「私の名前は、カイ・シルバ。こちらは、妻のメイ・シルバです」

「よろしくお願いします」


 カイとメイはナミとナルと一緒にいるエドガーを見た。冒険者らしい服装に、胸元に橙色のブローチをつけている。癖があまりない金髪に、紅い瞳。整っている顔立ちは、まだ幼さを残していた。


 そんなエドガーを見て、カイとメイは少し安心する。冒険者というのは気性が荒い人間もいると、彼らは知人から聞いていた。


 なるべくそういう人間が来ないように頼んだが、どこか不安もあった。が、目の前にいる若い冒険者が、そういう風には見えない。それは、ナミとナルがエドガーに懐いているのが何よりの証拠だった。


 安堵した笑みを浮かべたカイとメイは、エドガーを家に招きいれる。


「じゃあ、とりあえず中に上がってください」

「失礼します」


 エドガーは一礼をし、家には入る。家の中は清潔感が保たれて、生活感があった。エドガーは両親の案内で中に進む。リビングにつき、父親とエドガーは正面で向かい合って、座った。


「じゃあ、改めてですが、今日から五日間、時間は16時半から19時まで。ナミとナルの面倒をよろしくお願いします」

「わかりました。ところで、確認したいことがあるんですが、よろしいですか?」

「なんでしょう」

「面倒を見るときに、注意すべき点はありますか?」

「あぁ、そうだね。まず、うちの子達は少々お転婆だから、あまり目を離さないように」


 苦笑しながらいうカイに、エドガーも頷く。双子がかなりのお転婆であることは、ここにつくまで約30分の間で身に染みていた。


「それと、これは特に注意してほしいことなんだけど」

「はい」

「この村の東には、ジュナの森がある。もしかしたら、エドガー君も来るときに見えたかもしれないが」

「ジュナの森……。確か、樹海遺跡が地下にある森ですよね」

「そうだ。まぁ、私も遺跡は行ったことがないんだがね。その遺跡の影響で、ジュナの森には通常より多く凶悪な魔物が出ましてね。外を回るのはいいですが、森には近づかないようにお願いします。ナミとナルにも普段から言いつけていますが………」

「わかりました、近づかないようにします」


 ジュナの森自体はエドガーも聞いたことがあった。森の地下には、ジュナベル樹海遺跡という遺跡がある。元は古代に魔術の事故で滅んだ小国が、事故の影響で半ば迷宮じみたところだ。


 おそらく、遺跡の中にある何かが魔物を引き付けているのだろうとエドガーは推測する。

 かつて国であったため、そういう魔道具が一つや二つあってもおかしくはない。そんな所、子供達を連れては行かないようにしよう。エドガーはそう肝に銘じた。


「そういえば、エドガー君。宿屋は決めたかい?」

「あぁ、まだです」

「なら、まだ時間があるし、決めてきた方がいい。ちなみにおススメは、隣の隣りに宿屋だよ。値段は高くないし、料理もいい」


 値段も高くないのならそこにしようと思い、エドガーはお言葉に甘えて、シルバ家を出た後、宿屋に向かった。


★☆★☆★


 宿屋を無事に決めたエドガーは、シルバ家に戻る。カイとメイが外に出た後、仕事が始まった。何をしようかと考えているエドガーに、ナミとナルが話しかける。


「おいっ、エドガー。一緒に村回ろうぜ」

「ちゃんと、さんつけなきゃ。お父さん達も言ってたでしょ。エドガーさん、一緒に回ろう!」

「うん、いいよ。でも、回り切れなくても暗くなる前に帰ろうね」

「「はーい!」」


 エドガーはナミとナルに引っ張られながら、家を出た。

 果物屋や肉屋、本屋などをナミとナルが、エドガーに紹介しながら、村を歩いていく。そして、ある程度歩き回った後、エドガーと双子たちは村の中心ともいえる広場で休憩した。広場にある噴水を目の前にし、3人はベンチに座る。

 

 エドガーが買った飲み物を飲んでいると、ナルが目の前の噴水を指さす。


「これな、最近できた噴水なんだぜ」

「前は無かったの?」

「昔のからのがあったんだけどね。魔物に壊されちゃった」

「………魔物が村に入ってきたの?」

「そうそう!すげーデカい猪っぽいのが三体出たんだって!」

「私たち、その時に家にいたの」


 かなり物騒な話に、エドガーは眉をひそめる。


 この世界には魔物や盗賊が存在する。それらを対処するのは本来なら国がやるのだが、魔道国やバスタティア帝国と言った大国以外では冒険者が対処している。


 理由としては、単純に国力と人員の差だ。


 魔道国とバスタティア帝国が対処を出来るのは、国力と人員が多いことが理由である。首都から辺境まで警備を大量に人員を回しても、これと言って特に問題はないのだ。

 だが、ほかの国はそうも行かない。ほかの国には、二か国ほどの人員も国力もない。首都近くの都市あたりならともかく、地方の村に回せる余裕などないのだ。


 だから、その分を冒険者達が補っている。たまに、魔道国の魔術師が対処する場合もあるが、大抵が冒険者が対処している。

 ただ、それでも全てを対処できるわけではない。今回のように、魔物が村に入ってくる場合もある。


「大丈夫? 村の人たちに被害は出なかった?」

「大丈夫! 怪我した人が出る前に、たまたまいたエルフの姉ちゃんが倒してくれたんだって!」

「そっか、それは良かった」


 村人にけが人や死者が出てないことに、エドガーはほっとした。


「そういえば、あのお姉ちゃん冒険者さんかな?」

「さぁーな。エドガー、お前知ってる?」

「どんな人だったの」


 エルフのお姉さんと聞いて、エドガーが真っ先に出てくるのはリネスだった。ただ、エルフ自体はこの世界にほかにもいる。

 基本はエルフの森に籠っており、あまり外には出ないが、それでもその女性がリネスとは限らなかった。


「すっごく綺麗な銀色の髪の人だった」

「翠の瞳で、すっげー綺麗な顔立ちだった」

「俺より背、低かった?」

「「うん」」

「肌は雪のように白かった?」

「「うん」」


 双子の言葉にエドガーは少しドキドキする。

 エルフ自体はこの世界にもいるが、銀髪で翠の瞳で、肌が雪のように白いエルフは、王族と呼ばれる普通のエルフの中でも希少なエルフだった。ゆえに、該当する人物は限られる。


 断定はできない。それでもエドガーは、リネスが同じようにこの村に来ていた可能性があることが嬉しかった。


「やっぱその姉ちゃん、エドガーの知り合いなのか?」

「どうして?」

「だって、頬すっげー赤い」

「好きなの?あのお姉さんのこと」

「好きだよ、大好きなんだ」


 まだリネスが来たのは確定でないのに、エドガーは言葉が洩れた。どんな難題を出されても、どんなに壁があっても、どんなに道が長くても、諦めきれない彼の思いの欠片が口に出た。


 彼の人生は、リネスという存在に出会えた事から新たに始まった。リネスの人生において自分がどれだけの影響があるのかは、エドガーには分からない。彼女の約100年の人生において、何の影響も与えていないかもしれない。


 それでも、それでもだ。エドガーにとってリネスという一人の冒険者は、一人の女性は語るに語り切れない存在である。

 一方通行かもしれなくても、隣に立ちたくて、愛おしくて、守りたい存在なのだ。


 そう思うたびに、エドガーは思い出す。あの日、養成学校を卒業した日に言われた言葉を、自分の無力さを痛感したことを。


「エドガー、大丈夫?」

「なんかお姉さんとあったの?」


 ふと、ナミとナルの心配そうな声にエドガーは我に返る。そうだ、今は任務に集中するんだ。そう思い、二人を安心させるようにエドガーは微笑んだ。


「ううん、大丈夫」

「本当かー?」

「大丈夫?」

「うん、大丈夫。心配させちゃった代わりに、ちょっとした魔術を見せるよ」


 エドガーはそうい言うと、席を立ち、ナミとナルの前に立つ。

 そして、ローブの内ポケットから、魔術用の短杖を出す。治療などに使うために持っておいたものである。


 ナミとナルは、エドガーの出した短杖に目を輝かせる。魔術をまだ習っていない二人とって、それは憧れの象徴ともいえた。

 エドガーは短杖を前に向け、くるりと1回転させながら、呪文を呟く。


「雪だるま《スノーマン》」


 その言葉とともに、杖先から冷たい冷気のようなのが出る。冷気は雪へと変化し、やがてある一つの形へ作られていった。


 大きさはナミとナルより少し大きいくらい。笑みを浮かべている雪だるまが、ナミとナルの目の前に置かれていた。


「あー、雪だるまだ!」


 1ヶ月ぶりにみた雪だるまをナミとナルは、嬉しそうに駆け寄る。本当は動かしかったが、それはエドガーの技量では出来ない。まぁ、喜んでくれてよかったとエドガーはホッとした。


「なー、これほかの形にも出来るか?」

「何がいい?」

「竜がいい!すっげーかっこいい奴」


 エドガーは竜を見たことがない。竜は普段、竜鳴き峠もしくは龍獄山に生息しており、それ以外の場所にいるのはかなり希少である。


 なので、竜は昔見たことのある本の挿絵に描かれていたのを思い出す。なるべく、鮮明に思い出したところで、短杖を雪だるまに向け、呪文を呟いた。


変形チェンジ、竜」


 呪文を唱えた瞬間、雪だるまが形をを変え始める。やがて丸まった可愛らしい雪だるまから、カッコいい竜に変化した。


「かっけー!」

「ねぇねぇ、私もお願いしていい」

「いいよ。何がいい?」

「ペガサス!私、いつかペガサス便に乗りたいの」

「わかったよ」


 エドガーにとっては、見たことのあるペガサスの方が竜よりは簡単だった。


変形(チェンジ)、ペガサス」


 今度は、竜からすらっとしたペガサスに変化する。いつか見てみたいと思っていた、ナミにとってはたとえ雪で出来たものでも嬉しかった。


「ペガサスだぁ!ねぇねぇ、ほかにもお願いしていい!?」

「俺が先だからなー!」

「どっちもやるからね」


 こうして、エドガーは空が暗くなるまで、様々な形の雪の建築物を作り上げた。

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