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第29話 名もなき生命②

カクヨム版より大幅な変更・加筆・修正を行っています。大まかなストーリーは変わっていません。よろしくお願いします。

「大丈夫か!?」

「何とか、ありがとうございます」


 危なかったとエドガーは思う。たぶん、あの攻撃でも死にはしないがだいぶ怪我を負っていた。真面にくらっていい技じゃないな。そう思いつつ、エドガーはジョブルの方を見た。


「ジョブルさんも大丈夫ですか?」

「まぁ、大丈夫とはいえんがな……」


 どこか苦笑しながら言うジョブルの身体はまだ傷が治っている様子はない。相当無理をしているなとエドガーは察する。早めに倒そう。この状況がいつまで持つか分からない。なるべく、短期決戦で終わらせたい。


 幸いなことに、エドガーは弱点らしきものはすでに見つけていた。もちろん、それが弱点と完全に言えるような保証はない。だが、狙わない理由がない。

 慎重に行こう。そう思いながらエドガーは名もなき生命を観察する。そして、小さな声でジョブルに伝えた。


「おそらく、あの内部の虹色の鉱物が弱点です。あれが露呈したあたりから、攻撃が激しくなりました」

「なるほど。あれは壊せるものかのぅ」

「どうでしょうね。やってみないと」


 そんな会話をしていると、口々から光が放たれている。今までよりも適格にエドガーとジョブルを狙ってくる。間一髪で交わしながら、エドガーはジョブルに聞く。


「ジョブルさんって、ここからでも届く高火力の魔術使えますか?」

「無理!」

「わかりました!」


 かくいうエドガーもそれ無理だった。現在、エドガーの位置から鉱物に届くにはかなりの火力がいる。それを出来るには魔術に長けていなければならない。リネスあたりだったら余裕で行けるだろうが、並みの魔術学生よりやや上くらいのエドガーには厳しいのだ。


「じゃあ、近づくしかないか」


 結局の所、そういう結論に至った。エドガー自身、なるべく近づきたくない。攻撃が激しくなるのは、目に見えている。だから、遠距離からの魔術攻撃が一番良いのだが、出来ないのはもうどうしようもない。


「真正面からか?」

「そうするしかないですし」

「まぁ、そうじゃな」


 やりたくはないですよと気持ちこめてエドガーは言う。もう少し手段があるのなら、別の手段をエドガーだって選んでいる。どうしようもないから、この選択をしただけなのだ。


「なら、サポートする。少々、時間はかかるがそれまで我慢しとくれ!」

「了解しました! ありがとうございます」


 そうエドガーは振り向かず、お礼をする。そして、そのまま駆け出した。知性が無いようで、多少はあるのかエドガーの目的を察し、連続的に攻撃を始めた。おそらく、常人ではない温度の灼熱を纏う光が次々とエドガーを襲う。


 マシなどは、曲がるなどはしないことだろうか。真っ直ぐに伸びる光は割とよけやすい。これで、もう少し早くなければさらにマシだっただろう。エドガーは密に思う。

 とはいえ、そんなことは名もなき生命には分からない。ただ、エドガーを葬るべく、次の一手へと撃ち出た。


「うわっ!?」


 今までよりさらに範囲の広い光。温度はさらに上がっており、常人が浴びたら消し炭になってしまうほど。それが、目に追えない速度でエドガーに迫って来た。エドガーは急いで避けようとするが、避けきれない。自分の耐久的に死にはしないだろうが、それでもかなりヤバそうだった。


結界侵防アザー・ストゥース


 光が目の前に迫った時、透明な壁がエドガーの前に弾かれる。そして、壁に光が当たった瞬間、光が消し飛ぶ。結界魔術か。エドガーはその攻撃を見た瞬間、咄嗟にそう思った。

 結界魔術とは、かの英雄ケイルが開発したと言われる魔術。簡単に言えば、自分のルールを結界という形で実現し、他者や空間、現象に押し付ける術だ。

 かなり素養がいるとされ、才能ある優秀な魔術師でも出来る物は限られている。高名な魔術師でも結界魔術が出来ないという魔術師は少なくない。ちなみに言うまでもないが、エドガーは結界魔術の基礎すらできていない。


 それをジョブルは使って見せたのだ。技からして、割と高度な物だろう。エドガーの後ろで、その代償かのように息を切らしていた。同じように、名もなき生命も息を切らすように止まっている。おそらく、力のパワー切れか。


 エドガーはその隙を見逃さない。地面をける。


浮遊土アーツ・ブラワー


 その呪文が唱えられた直後、地面にあった土が塊になり、エドガーの道になるように浮き上がる。


 ─────ありがとうございます。


 エドガーは口に出さずとも、心の中でそう感謝し、創り出された道を蹴りながら、進んでいく。そして、虹色の鉱物が目に見えた。エドガーはさらに今立っている土の塊を蹴り上げ、進もうとする。


 その時だった。


 突然、虹色の鉱物が光りだす。攻撃が来る。エドガーはそう咄嗟に察した。たぶん、まだ間に合うだろうとエドガーは思う。今から、避けたり後ろに行ったりすれば、怪我は防ぎきれなくても、そこまでの怪我はしない。

 ジョブルはもうほとんど魔力を使い果たしている。今までのを望むのは出来ない。エドガーはそれも分かっていた。が、それでもエドガーは賭けに出た。


 攻撃している時が、一番の隙ではないか? 確かに、攻撃を避けた後にでも狙える。だが、攻撃している時にそのまま壊そうとしてくるとは思わないだろう。


 だから、その思考を逆手に取る。


 虹色の鉱物が光りだす。刹那、物凄い熱量の光がエドガーを襲う。エドガーは直撃にしながらも、前に進んだ。身体が焼けるのような痛みに襲われる。が、そんなのは関係はない。痛みを置き去りにするかのごとく走りだす。


 そして、虹色の鉱物が目に見えた。その瞬間、エドガーは剣を振り下ろす。


 ジョブルは息絶え絶えながらも、何とか立っている。ふらふらながらも、目の前の戦いの終わりを見ていた。


 名もなき生命が倒れていく。そして、それと同時にエドガーも地面に向かって、落ちて行っていた。


「マズいッツ」


 気力を振り絞り、落ちていく方へとジョブルは向かっていく。そして、地面に接触すれすれで受け止めた。が、その容態を見て愕然とする。


 一言で言えば、ひどい有様だった。腕や足はもうやけどどころではなく、骨のほとんどが焼けている。服は焦げているが、まだ何とかなっている。が、顔に至っては。骨が覗き出ており、整っていた顔立ちは全く見えないほどだった。


「ジョブルさん、ありがとうございます。あと、すみません」


 まだ、意識があったらしい。この状態で喋れることにジョブルは愕然としたが、すぐに目を閉じたエドガーの様子を見て駆けだす。まだ意識はある。なら、間に合うはずだ。そう思いながら、ジョブルは急いできた道を戻っていく。



 

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