第25話 亜人達の古き穴
「じゃあ、ここから入るんだよ」
テアの姿をしたゴーレムに連れられ、エドガーとジョブルはある穴についた。それは、2人が廃鉱山に入った穴と似たような物。実際、目の前にはトロッコがあった。
「これ、動くんですか?」
「若い冒険者君、勘違いしてるね。これはエルフとドワーフ達が作った物じゃなく、僕の製作者が作った物だ。作った時代はかなり古いけど、性能は現代と比べても負けはしないさ」
ドヤ顔でそういうテアの姿をしたゴーレム。その様子を見て、エドガーは思う。このゴーレムは製作者であるテアの事が好きなんだなと。
「君、よっぽど製作者の事が好きなんだね」
「もちろん。なにせ、この世に生み出してくれたからね。そうだ、君たち名前を教えてくれよ。今までの呼び方じゃ、呼びづらくてさ」
「分かった。僕、エドガー」
「俺はジョブル」
「そっか。僕はそうだなぁ………、テアに似てるけど別に名前は与えらないからね。道具って名前は付けられることがないからね。こういう時に、不便だよね。ねっ、エドガー君?」
「………あぁ、そうだね」
何気なくなのか、確信犯なのかはエドガーには分からない。何気なくであってほしいと個人的には思うが。ただ、その言葉に思う事があったのでエドガーは少し暗い顔をしながらそう同意する。その反応にやや心配になったのか、ジョブルは心配げにエドガーの方を覗き込む。
「大丈夫か?」
「あぁ、はい。まぁ、はい」
「エドガー君の気も大丈夫になったようだし、じゃあ行こうか」
確信犯か分からない張本人は一切の気にも留めず、トロッコに乗っていく。トロッコは3人乗っても特に問題は無さそうだ。エドガーはジョブルの後に続き、そのまま乗った。
「じゃあ、行こうか」
テアの姿をしたゴーレムがそう言うと、トロッコが動き出す。ゆっくりとトロッコは穴へと、いや地底へと落ちて行った。
*****
「どうだい、トロッコの旅路は?」
「まぁ、普通ですね」
ずっと鉄の景色を眺めながら、エドガーはそう呟く。トロッコに乗った時からさすがに想像ついていたが、やはりかなり地下に行く。おそらく、かれこれ何時間も同じような景色だった。エドガーも見慣れて来た。
「あぁ、まっ同じような景色だしね」
「過去の人たちも同じように潜っていたんですか」
「いや? まっ、着けばわかるよ」
意味深げに微笑むゴーレムをエドガーは怪しげに覗いている。一応、エドガーもトロッコに乗っているが、このゴーレムを信用してはいない。色んな意味でゴーレムの話には証拠がないのだ。信用できる証拠が。
本当かどうかも確信もない。もちろん、歴史の話として知識に照らしても違和感はない。ただ、それでも信用できる証拠にはならないのだが。やばそうだったら、即時退散しよう。ジョブルとエドガーがこっそり決めていたことである。
「このままいけば、すぐに着くのか?」
「違うよ。まずは、別の場所。そこから、また下に行く」
「遠いんですね」
「目的達成って簡単に出来る物じゃないだろ」
「そうれはそうですね」
納得しながら頷いてると、また違った景色が見えてくる。透き通り透明な蒼のガラスのような物が壁になった。
「綺麗ですね」
「これは、碧光石だよ。僕の製作者時代はよく王とか好んでたね。魔術的にはそこまで使うことないだけどね」
「あぁ、宝石みたいなもんですか」
「そうそう」
エドガーは見たことなく、この光景に見とれていた。そんなエドガーをテアの姿をしたゴレームは面白そうに見つめている。
「着くまで、ほかも色違いのような物が見れるよ。楽しみにしていなよ」
「そうなんですか」
エドガーはその言葉を聞き、少しわくわくした。見たことがないものを見れるかもしれないという事は、冒険者であるエドガーにとっても楽しみであるのだ。
「おい、ゴーレム」
「何だい、ジョブル君」
「ここら辺、魔物とかは居ないのか?」
「あぁ、まぁ不安になるよね。そこは。まぁ、ここら辺あたりの負荷に耐えられる魔物ってそうそういないからね。基本はいないよ。通り道は。ただ、黄金財宝あたりにはいないとは言い切れないね」
「負荷? そんなの感じないですが?」
驚いたように声を上げるエドガーに対し、テアの姿をしたゴーレムはにやにやとした顔をエドガーに向けた。
「君は体質的にちょっとやそっとじゃ感じないだろ? まぁ、ここら辺で負荷がかかるのは魔物だけなんだけどね」
「そうなんですか?」
「うん。ほかの場所だとそうではないんだけどね。ここはまぁ、立地も特別なんだ」
「特別ならほかの魔術師は目をつけなかったのか?」
「ケイルはここには目を付けないよ。彼がここら辺にあるのに興味を持つわけないし」
ジョブルが聞きたかったのはちょっと違うと思うが。そう思いつつも、エドガーは触れないでおいた。何となく、聞いたら面倒になりそうだと判断したからだ。
「あぁ、ほかの魔術師も来てないよ。当時は不思議と来なかったようだ」
「そうなのか」
「まぁ、当時はほかにも貴重な物あったしね」
やっぱり、昔は色んな物があったんだなとエドガーは思う。そう思うと、昔にも少し行ってみたいがリネスさんがいないならいいや、エドガーはそう考えた。
そんな話をしていると、桃色、透明な白、紅、緑と様々な色の景色が見えてくる。どの色も綺麗だとエドガーは思う。
「じゃあ、そろそろこの景色も終わりだね」
「もう着くんですか?」
「あぁ。エドガー君、君にも見えるだろ?」
エドガーはテアの姿をしたゴーレムが見ている方向を見る。そこには、黄金で塗られた景色があった。




