【女声の出し方】・【両声類】メラニー法……男性でも出せる「女声」のアプローチ方法!【短編版】
先日インターネットで検索をかけてみたんですが、動画やブログはまだしも、小説家になろうのサイトでメラニー法の文章ってあまり無いんですね。びっくり仰天です。
一応私は自称男声発声法の発見者として恙なくやらせていただいていますが、この発見の過程でメラニー法が役に立った場面もしばしば…こちらのやり方も私なりの見解を文章で載せておこうと思います。一応私、精度は兎も角メラニー法も出来るっちゃ出来るので…なんかただの嫌な奴やなこれ。
まあ、ハッキリ言ってYouTube見た方が早いとは思います。ここでは無駄に長々と文章を書き連ねておきますので、補足説明としてご覧いただければと思います。役に立つかどうかは知らずもがな…
◎始めに
皆さんこんにちは、女性目線の男声発声法(仮名:ユージー法)の発見者(自称)です。もしかしたら私より前に発見されていた方がいらっしゃるかもしれませんが、現状そのような情報は飛び交っていないようなので、現時点では上記内容を自称させていただきます。(違っていたらすぐさま返却します。)
そんな私も、一応セクシャルマイノリティの当事者です。身体は男性。性自認がMtX(Xジェンダー)の無性タイプ、性的趣向がアセクシャル・アロマンティックに該当します。女性目線の男声を発見したとか謳っておいて、FtMどころか女性の「じ」の字にすら触れておりません。
そんな私ですが、ちゃんとユージー法発見以前にメラニー法についてもそれとなく齧っておりました。まあ、精度については目を瞑りましょう。と言うか瞑ってください(切実なお願い)。何と言ったって普段使いはしないので、本職の方々や普段使いしていらっしゃる方には到底敵いません。それに地声もどちらかと言えば低い方なので、そもそも高音を出すのが得意な方ではありません。精々辛うじて使えるレベルと言った所でしょうか。
とはいえ使えるだけなら使えるので、説明だけなら何とかなるはずッ!そんな淡い期待を抱きながら、バリバリ感覚派の私が駄文を書き連ねていこうと思います。暇な方や物好きな方はお付き合いいただけると幸いです。
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◎概要
端的に言えば、アメリカのトランス女性「メラニー=アン=フィリップス氏」によって発見された「男性が女声を出すための発声法」を指します。これは喉の手術を行わずして男性或いはトランス女性が女性の声に似た響きの声を出す為の発声法ですが、こちらに関しては、世間に情報が多く出回っているのでご存じの方も多い事でしょう。メラニー法の解説動画も数多く上がっていますし、そちらをご覧になれば習得も出来ると思います。かくいう私も動画には十分お世話になりました。
流石に発見者本人から話を聞くことは叶わないので伝え聞いた話にはなりますが、このメラニーさんも私と同様、喉を色々と弄っていた中で偶然発見されたようです。相当時間もかけたようですね。ただ私とは異なり、その動機も「トランスジェンダーとして自分の声にコンプレックスがあり、これを克服したかったから」と言う極めて真面目で真剣なものであったとか。
…何か、「健常時に風邪声を出して体調不良を演出しよう」と考えた私とは雲泥の差ですね。と言うか、こんなふざけた動機からユージー法を発見してしまった私って一体何なんでしょう?皆さんに本当申し訳ない気持ちでいっぱいです。
因みに発見者のメラニーさんは、メラニー法発見時から暫くの間、声を地声に戻す事が出来なかったとか何とか。この点においては、唯一私の方が勝っていると言っても過言でしかないでしょう(突然のマウント取り)。なんせ私は、ユージー法発見当初から地声と男声との行き来が自由に可能でしたから(ドヤァ)…なお、私の場合地声と男声に対して差が出ない事をここに補足しておきます。要するに、私はメラニーさんと比べても姑息で卑怯な小物であると言う事です。はい、誰得な情報の暴露でした。
…と話が大きく脱線してしまいましたが、要するに私よりも素晴らしく偉大なメラニーさんが発見された「メラニー法」もまた、これを必要としている方々からすれば非常に素晴らしい道具となってくれる筈です。但し習得自体は非常に難しく、不用意にやると妙な癖が着いてしまう危険性もある極めてリスキーな発声法でもあります。なので習得の際には動画による実演も参考にしつつ、無理のない範囲で取り組んで頂きたいと思います。あと念のため、万が一な事態になっても私はしっ歳の責任を負えませんので、くれぐれもご了承ください。
そしてここではその対の発声法(厳密には相違点が多いので対とは言い難いかもしれない)の発見者である私が、ユージー法発見者としての特有の視点から、基本は真面目に、時に多少の茶目っ気をブレンドしながらお送りしていこうと思います。勿論真面目にやるところは真面目にやります、メリハリはちゃんと付けます。なので興味のある方や時間に余裕のある方はお付き合いいただけると幸いです。
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◎用途
〇女性や地声の高い男性でも男声が出せる。
メラニー法に関してはズバリこれになります。この発声法を用いる事によって、どんな人でもある程度女性の声に近い響きの声を出せるようになります。これに関しては女性が男性の声に近い響の声を出す為の発声法「ユージー法」の真逆の用途であると認識して下さって構いません。
そしてその肝心の女声にアプローチする過程でも「ユージー法」に類似する点があり、「ユージー法」が“ダンディ声”→ナチュボ(ナチュラルボイス)とアプローチするのに対し、「メラニー法」は“アニメ声”→ナチュボとアプローチする形になります。ユージー法ではダンディ声を習得する直前に「風邪声」と言うプロセスを挟みますが、対してメラニー法ではアニメ声を習得する直前に「カエル声」と言うプロセスを挟みます。こう並べてみると相似点が多いように思えますが、相違点も多いように思うので、正直これらを対極に置くのは無理があるかなとうっすら感じています。特にコンセプトの違いは顕著ですね。特にユージー法のコンセプトが大分ぶっ飛んでいると言うか、相当変態的な見方をしてますので…だからこそ、メラニー法の方が百年以上も早く発見されたのかもしれませんね。
無論人によって声質や声帯の特徴等の違いはあるので確かな事は言えませんが、一応裏声さえ出せれば大半の人がアニメ声の段階まで辿り着ける可能性があると言えそうです。しかしそもそも裏声が出ない方や、扁桃腺の形状によって習得不可能なケースもあるようです。一応私は習得可能な条件をすべて満たしていたので何とかなりましたが、やはりどうしても悪条件により挫折してしまう人は出てきてしまう事でしょう。しかしそもそも習得に時間がかかる難易度の高い発声法と言う事もありますし、終着点をどこに設定するかは人それぞれだと思いますので、結局は一度諦めずに根気強く挑戦してみると思います(何の励ましにもなっていないですが…因みに私はアニメ声を出せるようになるまで三日、アニメ声が安定するまで十日程かかりました。私は比較的器用な方だと自負しているのでこの程度で済みましたが、人によっては何か月、はたまた何年もの長い時間がかかる恐れがあります。これはハッキリ言って一朝一夕でどうにかなるような発声法では無いと思いますので、くれぐれも十分覚悟の上で挑戦して頂ければと思います。)
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◎メラニー法の四大原則
このメラニー法を習得するにあたり、抑えておかねばならない点が四点存在します。これらは女声を出すにあたって基本的な要点ともなりますので、習得前にしっかりと把握しておくと良いでしょう。それが…
①ミックスボイスが出せる
②適度な水分補給
③羞恥心に打ち勝つ強靭なメンタル
④体調面
…となります。
また大前提として、メラニー法は「地声」→「カエル声(〇と〇尋の神隠しに出てくるカエルの神様みたいな声)」→「女声(アニメ声)」とアプローチして行きます。これに挑戦するにあたり、私なりに気を付けておいた方が良いかもしれない点を四つ程挙げてみました。他者からの請負もありますが、その場合は「はいはい、それ聞いた事があるよ」と読み飛ばしていただいても構いません。但し、だからこそ重要なポイントでもあるので、決して軽視だけはしないようにしましょう。
①ミックスボイス
……これが出来て居ないと、そもそもアニメ声を出す事が出来ません。
メラニー法を習得するに当たり、確実に出来るようになっておきたいポイントです。
そもそもメラニー法は「ミックスボイス」に特殊な響きを混ぜる事を前提とする発声法であり、ミックスボイスに関してはメラニー法の土台とも言える非常に基本となってくる要素の一つと言えます。これが出来ないと、女声を出せたつもりでも実際には変な裏声にしかなっていないというケースが多く見受けられがちです。
これは主に歌う際等で用いられる事が多く、特に高音域を奇麗に発声するのに向いた発声法であると言えます。逆に裏声を混ぜる関係上、低音域は苦手としている発声のやり方でもあります。だから歌う際に低音が難しいと言われたり、低音を苦手としている人が多かったりするのでしょう。
まあメラニー法はそもそも「高音」にフォーカスした発声法なので、今回は低音面にはあまり着目しなくていいかもしれません。寧ろメラニー法を習得するにあたって基本を押さえている発声でもあるので、これが肝要であることは目に見えて分かりやすいと思います。尚、仮に低音面を強化したいなら、それこそ「ユージー法」の方を習得するのが良いでしょう。
因みにミックスボイスに関してもこのメラニー法と同様、YouTubeに多く動画が上がっているのでそちらを参考にしていただければと思います。正直ミックスボイスだけで相当文字数と時間を食うのでここでは軽く触れるに留めますが、ミックスボイスにおけるチェックポイントは以下となります。
ミックスボイスはその名が示す通り、裏声と地声の中間に位置する発声となります。言い方を変えれば、「裏声の要素が混ざった地声」となるでしょうか。
こう聞くと難しく感じる方もいるかもしれませんが、割と無意識の内に普段の喋り声がミックスボイスになっている人は多いと思います。地声が低い人は喉声で喋っている事もあるかもしれませんが、大半の人は地声である喉声から若干音程を上げて喋っており、その音程を上げる際に意図せず裏声を用いているケースがあります。
勿論人によって喋り声の出し方は異なりますし、私も普段の喋り声に裏声はあまり混ぜないので、そういう人特に感覚が掴みにくいとは思います。しかし最初の段階で出来る人は無意識の内に出来ていたりするので、そういう人は変に気にしたりせず本題に取り掛かって頂ければと思います。
一応コツとしては、先ず腹式呼吸。これはボイストレーニングの基本中の基本になりますが、喉声のような「浅い声」ではなく、お腹の底或いは腰の付近から発せられる「深い声」を出せるようになると良いでしょう。自分の背骨を意識し、大体ズボンに通すベルト辺りを意識して発声すると良いそうです。すると自分の声の音程が若干下がり、より響きの強い重厚感のある声が出せるはずです。
またこれに加えて私が行っているアプローチが、「地声から裏声に近づけた声」と「裏声から地声に近づけた声」の二種類を確認し、それらを繋ぎ合わせる手法です。
しかしこの時、人によってはこれらに差異が殆ど生じなかったり、「どちらも地声と何ら変わりない」と仰せの方もいらっしゃるようです。対して私は「別の声」であると認識しています。と言うのも、先にも申し上げた通り、私の地声が低く、裏声と比べた際にどうしても声質に大きな違いが生じてしまうからです。
その反面、別の声とは言いながらもこれらを限りなく近づけるアプローチは可能でした。可能な限り両者を互いに近づけつつ、それらの繋ぎ方を工夫する事によって、声が切り替わる際の落差を極力小さくすることは出来るようなのです。
具体的なやり方ですが、実はどちらの声を出す際にも要領は大きく変わりません。
前者「地声から裏声に近づけた声」の場合は地声の音程のまま、若干裏声の成分を混ぜていきます。地声の時と比べて、同じように出そうとしても音程が高くなると思いますが、それで構いません。後者「裏声から地声に近づけた声」の場合は裏声のままで結構です。
この状態で喉周りの調整を行う事でミックスボイスを出していく訳ですが…私が刮目すべきと考えるのは二点だけです。
それはズバリ「軟口蓋の抑え」と「うなじの抑え」になります。
前者「軟口蓋の抑え」に関しては、ユージー法の習得に勤しんでいらっしゃる方々なら嫌と言う程試した事でしょう。口周りまたは喉周りの形が崩れないように上から蓋をするかの如く、軽く押さえるイメージです。もしこのイメージがしっくりこない人は、人中や上顎の前歯を突き出してみたり、上顎の奥歯を使って下顎を抑えるイメージで試してみて下さい。またこの時、軟口蓋の抑える向きを幾らか前方に向ける事で声が籠るのを防いだり、更に度合いを強める事でエッジボイスに切り替える事が出来ると言う側面も存在しています。
後者「うなじの抑え」に関してですが、これがミックスボイスにおける最重要項目であると考えています。ミックスボイスの調整で「喉は締めないんだけど実際には締まっている」なんてあやふやな表現も飛び交っていますが、私が思うに「うなじ周りの筋肉を使って喉を絞める」と表現したいのではないかなと推測しています。イメージとしてはうなじ付近、または首の後ろ側の付け根付近の筋肉に力を入れ、これを前方に押し出すようにして抑えます。感覚が良く分からない場合には、前方を向いた状態で(この時顔の向きが、上にも下にも向かないように気を付けます)、うなじ(僧帽筋に該当します)に両手を当てて押さえながら調整すると解り易いと思います。そして僧帽筋に力を入れながら、うなじ(手を抑えた中央付近、背骨の極端に骨が出っ張っている付近)を始点とし、鎖骨の中央付近を通りながら前方に息が通るイメージで発声するのです。こうする事によって喉が絞まる感覚を殆ど感じないまま、音程を上げていけると言う寸法です。
但し今回のメラニー法における活用の場合、少しだけ視点を改める必要があるでしょう。
メラニー法におけるミックスボイスの活用は、裏声と比べてかなり音程が近い声になり、且つ歌声のように高音域で出す(地声と同様の出し方と表現される事も多いですが、実際の音域は一オクターブ以上挙がっていると認識しています)事を前提とする事を踏まえる必要があるでしょう。この時、前者の「地声から裏声に近づけた声」を用いたアプローチが俗に言う「地声アプローチ」、後者の「裏声から地声に近づけた声」を用いたアプローチが俗に言う「裏声アプローチ」と呼称される訳ですね。
とは言いつつ、どちらにしても要領は殆ど変わりません、何れであれ、「裏声と地声に近づけつつ、女性特有の響きに寄せた声」こそが、メラニー法の習得に大きく近づくのではないかと私は考えます。
とこんな感じで、今回皆さんが挑戦されるであろう「メラニー法」を攻略するためには大前提としてこの「ミックスボイス」が必要不可欠となってきます。かならずこれを習得してから、強大なる敵に立ち向かっていくようにしてください。
②適度な水分補給
……これをしないと音が掠れて綺麗に出なくなります。
別にこの発生方法に限った話ではありませんが、喉は乾燥に非常に弱い器官です。今回紹介する方法は“発声法”なので正しく用いれば必要以上に喉を痛めると言う事はありませんが、それでも何れかの個所にそれ相応の負担はかけるものだと思っておいた方が宜しいと思います。そしてこのメラニー法の練習をする際にも、こまめな水分補給は欠かさないように気を付けてください。
特にメラニー法の女性に近い声の響きを奇麗に出すにあたって、掠れた声の成分は非常に邪魔なものとなってきます。故に地声がハスキーボイスの人はメラニー法が習得し辛い可能性もあります。とは言え絶対ではありませんので、くれぐれも喉をしっかりと潤しておき、なるだけ声が掠れないようにケアしてみて下さい。
③強靭なメンタル
……これが欠けていると声の違和感が抜けません。またその祖も習得に行き着かず費える可能性さえあります。
「おい著者、お前ふざけてるんとちゃうか?」と突っ込まれること覚悟の上で述べますが、割と本気で重要なポイントだと思います。
皆さんは普段からあまり意識していない事と思いますが、我々が喋る際には「男性特有の訛り」が生じています。この訛りのまま女声を出した所で、どうしても「男性が作った声」にしかなりません。例え声質は同じでも、中身の人間が違う事で無意識化で違和感を感じさせてしまうのですね。つまる事、リアリティの面でこの特有の訛りを克服する必要に迫られる訳です。
端的に言えば、「女性特有の訛りを身に着ける」事になるのですが…これがまぁ難しい。著者も心が女性な訳では無いので苦労しました、いざやるとなると羞恥心やらコレジャナイ感やら…習得とは関係ない邪念が込み上げてくるものです。しかし女声を奇麗に、自然に出したいならばこれを克服せねばなりません。その為に必要なのは「羞恥心に打ち勝つ強靭なメンタル」だと著者は考えているのです。
それだけではありません。メラニー法完全習得に至るまで、大半の人が月単位での長い道のりを強要されます。その間、上手く行かないまま悶々と日々を過ごす事となるでしょう。厳しい言い方にはなりますが、そこで早々に「もう無理だ」と諦めてしまうような人には、習得の可能性は用意されていないと言えるでしょう。そう、最後に大事なのは根性。「最後まで諦めない強靭なメンタル」も同様に必要不可欠なものであると言えそうです。
なので取り敢えず、結果が出なくても根気強く続けてみましょう。案外意外な所で気付きを得たり、思わぬタイミングでコツを掴める事だってあります。全員に等しく与えられるとは言い切れませんが、諦めさえしなければその可能性自体はゼロにはならないと断言出来ます。努力はくれぐれも大切にしていきましょう。
④体調面、身体の問題
実はこのメラニー法、どんなに頑張っても出せない人が存在しているようです。その理由は一部の御持病や身体的特徴によるもの、これに関しては医療機関を受診するでも無いと克服する事は難しいでしょう。
まず持病について。喉周りに炎症があったり、声帯にポリープ等のできものがある場合など、メラニー法で上手く発声出来ない事があります。また著者もそうなのですが、鼻炎持ちもメラニー法においては妨げになってしまいますね…(著者はメラニー法を使う時、鼻炎薬を服用するようにしています)。もしこれらの病気があるようなら、医療機関に行くなりしてある程度対処できるようになってから習得に臨むようにしてください。そうでないと折角の努力が報われないまま終わってしまいます。
また身体的特徴について。此方は私自身詳しくは知り得ないのですが、喉の形状等でメラニー法の発生に不向きな特徴があるようです。例えばリンパ節が発達し過ぎていたり、そもそも裏声が出せなかったりなど…割と本人の努力次第ではどうにもならない部分になってきます。こちらは著者以上に詳しい人が居ると思いますので、一度調べてみて、自分がこれらの特徴に当て嵌まっていないか確認した上で習得に励んで頂ければと思います。これらに関しては個人差があるとは思いますので、現状ここで著者が何かを言う事は出来ません。くれぐれもご理解とご協力の程を宜しくお願いします。
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◎アプローチ方法(主観)
※必ず、最後の”「習得完了」“の部分まで到達してから次のステップに進んで下さい。基本は大事なので、慌てずじっくり進めていきましょう。
余談ですが、メラニー法は「地声」⇒「カエル声」⇒「アニメ声」⇒「ナチュボ」とアプローチしていきます。
今回はSTEPを四つに分割し、各項目を詳しく見ていきたいと思います。最初に「地声アプローチ」の方を紹介し、「裏声アプローチ」に関しては先に記した内容に補足する形で紹介しようと思います。
〇STEP1……地声
さて、先ず確認すべきはメラニー法における出発地点「地声」です。
ここでは「地声」と呼称してはいますが、間違えても想像に易い「喉声」と認識してはいけません。厳密には「ミックスボイス」、もっと言うならば「メラニー法の土台となる喋り声」に該当し、人によっては普段の喋り方とは別種の声になる可能性もあります。私も喋り声から変えなければならず、そのせいで習得に時間がかかってしまいました(三日で出せるようになったとか言ってる奴が何ほざいてんねん⁉)。
ここでいう「地声」において抑えておくべき点は二つ。それは「鼻声」と「裏声」になります。一度自分の素の声「喉声」を「アー」と出してみて、以下の二点を確認しつつ「女声用の地声」を作ってみて下さい。
①「鼻声」
これは補足するまでも無いでしょう。喉声を鼻にかける、軟口蓋の部分に声を当てるようにして「鼻声」の要素を混ぜます。
この時、あまり籠ったような声にならないように極端にならないよう、ある程度加減を調整しましょう。喉声を”若干”鼻にかけるくらいの認識で良いと思います。
②「裏声」
これは先にも出した「ミックスボイス」に関連する要素で、喉声に裏声を混ぜる事を定義しています。
これはミックスボイスの時と要領は同じです。地声と同様の音程でミックスボイスの発声を行いましょう。この時、上の①の通り鼻にかける意識を持つことで、「女声のベースとなる地声」を作る事が出来ます。
〇STEP2……カエル声
メラニー法の第一関門、「カエル声」の習得にあたり押さえておきたい項目です。
これはYouTube等でも良く言われていますが、ジ〇リ映画「〇と〇尋の神隠し」に出てくるカエルの神様に酷似した声の出し方に該当します。この「カエル声」は言わば「メラニー法におけるジャンプ台」のようなもので、「カエル声」をベース(ジャンプ台)として「アニメ声」の習得(跳び箱を飛び越える事)を目指して行く為、入念に確認しておきましょう。
〇首を軽く絞める
これはカエル声における最も初歩的な部分となります。もっと正確に言い換えるならば「舌骨と呼ばれる、舌の付け根付近の位置を上に持ってくる」事を指します。
動画によっては「唾液を呑み込む寸前の状態を維持する」と表現する事もありますが、ハッキリ言って私には合いませんでした。単純に筋力不足と言うのもあるでしょうが、一時的には出来ても安定させる事が出来なかったのです。
そこで私が用いたのが「首絞め」になります。この「首絞め」のやり方が特殊で、これを間違うと喉を壊す事に繋がるので要注意です。
皆さん、「首絞め」と聞くとどういうイメージを為さるでしょうか?恐らく大半の人は「正面側から後ろ側に向かって喉を絞める」イメージを持たれるのではないかと思います。「首絞め」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは〇人でしょうしね…その映像から想像するとなると、どうしてもそうイメージが誘導されてしまう事でしょう。
しかし女声における「首絞め」は「首の後ろ両サイドから中央に向かって締める」事を指します。「声帯を前方から押さえる」のではなく、「首の後ろ半分における側面を両サイドから押さえつけ、その反動で舌骨を上昇させる」のです。力の向きも、前者が「前→後ろ」と力を加えるのに対し、後者は「後ろ側両側面→前側」に向かいます。左右のやや後ろ側面から発生した力が「首の中心部」を通り、そこで交差して集約され、そのまま前方に向かうように力を加えます。そうする事で、喉の締まりをあまり感じずとも舌骨を上げて声を出す事が出来るのです。
※図解、(☆→首の中心部)
NG例 OK例
力
↓ ↑
╭─喉 仏─╮ ╭─喉 仏─╮
│ │ │ ↑ │
│ ☆ │ │ ☆ │
│ │ │ ↗ ↖│
╰──骨──╯ ↗ ╰──骨──╯ ↖
力 力
カエル声の首絞めで留意すべき点は「頭板状筋」と「僧帽筋」を用いて力を入れる事です。「頭板状筋」は首の後ろ両側面に延びている筋肉で、「僧帽筋」は肩の後部を構成する筋肉なのですが、この二つの筋肉を用いて上記の力を加えます。
ミックスボイスの場合は「僧帽筋」にて前方向の力を加えて発声していましたが、この時比較的低い位置から力を加えており、これによって高音域の発声を安定させていたと思います。
ところが女声の場合は、もう少し加える力の始点を上方向に上げる事で、喉を締め上げる要素を追加する必要があります。この時に意識したいのが「頭板状筋」になります。頭と首の付け根付近、丁度耳の裏側付近にある硬い骨の出っ張り(でっぱりと言う程顕著ではありませんが、耳の裏側に硬くなっている箇所があると思います)の少し後ろ側付近の柔らかくなった箇所を始点にして、先にも触れた「後ろ側両側面→前側」の流れをイメージしながら抑えるようにして力を加えます。
この時「僧帽筋」はあまり意識しなくていいのですが、実はこの「僧帽筋」にも同様の力が加わっています。結果的に「頭板状筋」と「僧帽筋」を用いて、「首の後方」の広い範囲を使いながら力を加える事で適切な首絞めが出来るようになると言うメカニズムな訳ですね。
※図解(☆→力の始点)
ミックスボイス メラニー法(特に上の☆を意識)
│ 下顎 頭 │ │ 下顎 頭 │
╰──╮ ╯ 板 │ ╰──╮ ╯ 板 │ ←☆
│ 状 │ │ 状 │
│ 筋 │ │ ↙筋 │
│ │ ←│ ← │
← │ ← ╰╮ ←☆ │ ↖ ╰╮ ←☆
│ 僧帽筋 │ 僧帽筋
色々と言いましたが、ここで意識すべきは「力の始点は頭板状筋付近」とする事、そして「後ろ両側面から中心を通り前方に向かう力」の流れを意識する事です。これを比較的軽く行う事で自然と舌根が上昇し、カエル声を出す事が出来るようになる筈です。この時、軽く力を加えただけでは「舌の付け根を上から押さえつける力」が加わっており、極端に舌骨が挙がった感覚は得られていないと思います。しかし現時点では、ちゃんと首を絞める事が出来て、あのカエルの神様のような声が出てさえいれば現状はOK位の認識で構いません。その後の話は次のSTEPで解説します。
また、上の例えがもし分かりにくければ、顎の付け根付近、もしくは下顎の奥歯をイメージしてみましょう。エラが張っている付近を始点として、「う」と「い」の中間の口の形(若しくは歌う際の「い」の形)を作った上で、下顎の奥歯を通り前方に向かうように力を加えると感覚が掴める事と思います。不思議と首が独特な形で絞まり、声が絞られたような感覚を覚える筈です。そうして最終的に動画通りの特有の声が出せるようになったら「習得完了」となります。
※実はこの時に作る口周りのポジション、「う」と「い」の中間の形(先にも軽く述べた通り、歌う際の「い」の形の意識が近いかも)が地味と重要です。この形が女声を出す上での基本のポジションとなります。
これらがどのような意味を持って重要と言えるのかと言うと、まず「う」の形により。前歯に声を集める形を作ります。女声は基本的に声を前で響かせるのではなく、後ろで響かせることを前提とします(前で響かせようとすると、息が前方向に鋭く飛ぶことで喉が閉鎖し、カルグラに近い要領で声が低くなってしまいます。カエル声はこの「高い音域のカルグラ」と言って差し仕えない出し方になっていますが、現段階では気にしなくてもOK)。後ろで声を響かせようとするとどうしても声が籠るので、これを解消する為にも「息遣いは後ろ、声を集めるのは前」の状態を作る必要があるのです。これを実現する上で「う」のポジションは非常に相性が良く、故に重要なポジションとなります。
そして「い」の形ですが、これは「仮声帯外し」が関係してきます。実は男性諸君、無意識の内に地声(生体の振動)に「仮声帯の振動」を混ぜてしまっているケースがあります。実はこの仮声帯、振動させると低音が強化されてしまうのです(筆者もそうでした)。女声において仮声帯の振動は毒にしかならないので、何としてもこれを防止したい所。ここで役立つのが「い」のポジションで、口角を上げるでも下げるでもなく、両サイド後方に引き下げながら上顎と下顎を前方に突き出す事で、自然と仮声帯を外し、その振動を防ぐ事が出来ます。これが出来ていないと、どんなに上手く喉締めが行えていても女声になってくれないので、もし上手く行かない時には確認してみると良いかもしれません。
こんな感じで、これらのポイントは後々役立ってきますので、カエル声の段階から意識しておくと良いでしょう。実際カエル声習得の際にも役立つポジションなので、今一度試してみる事をお勧めします。
〇STEP3……アニメ声
さて、正しくカエル声が出せるようになったらいよいよ本命とも言える「アニメ声」の習得に進みましょう。そしてこれがメラニー法における第二関門であり、恐らく大半の人が躓いてしまう最難関ポイントでもある事でしょう。
そして何と言ってもこの「アニメ声」こそが女声の基本となる発声になります。両声類を目指したい人には必要不可欠と言って過言では無い、女声習得における最重要項目となっています。
そう言えば動画を見た感じでは「カエル声を作って、そこから喉仏を上げる」と紹介されていしまいましたが…私は声を大にして言いたい、そんな事をすれば折角作った形が崩れてしまうではありませんか!少なくとも私には上手く出来ませんでした、無茶にも程があります。
そこでここでは少し異なった視点からアプローチの考え方を紹介しようと思います。この時の方法が(地声アプローチにおいては)大きく分けて存在しそうなので、それぞれ詳しく見ていくとしましょう。
①裏声を混ぜる。
基本的に、「アニメ声」は「カエル声」の延長線上で発声する事を目標とします。その為「カエル声」の形を軸に、更なるアプローチを追加する事で「アニメ声」に変声させるように心がけるのです。
その更なるアプローチの一つが「裏声を混ぜる」と言うものです。考え方自体は単純明快、カエル声の形を保ったまま裏声の要素を加えるだけです…が、大半の人は「それが難しいんじゃい!」と内心憤慨していらっしゃる事でしょう。そこでもう少し掘り下げていきます。
この時に肝となるのが、先にも軽く触れた「舌の付け根を上から押さえつける力」を抜く事になります。極端に言えば「頭板状筋」と「僧帽筋」に加えた力を維持しながら、息遣いを柔らかくする事でこれをクリアするのです。
一度「カエル声」の息遣いを確認して頂きたいのですが、恐らくエッジの効いた尖った息を用いて発声している事と思います(ひそひそ声で息を発すると解り易いかな?)。この息と言うのは所謂「細くて強い息」に該当し、首を絞めると言うアプローチを加えて居たり、それによって息や力も一点に集約させる意識が強い事からこのような息遣いとなってしまっています。この息をより「太く」しつつ、これに合わせて息の強さも弱めるように調整する事で「太くて柔らかい息」に変え、これを前方に飛ばすのではなく後方(背骨のライン上)で響かせるように変えると、漸くアニメ声を出す事が出来るのです。
この時に使うのが「裏声」になります。ここで一度裏声を実際に出してみて頂きたいのですが、この時に全身が脱力している中で、舌の付け根だけが上方向に押し上げられている感覚がある事がお判りでしょうか?要領としては先に紹介した「カエル声」の首絞めの力を維持しつつ、裏声を出す時のこの「舌の付け根を上方向に押し上げる力」を加える事で「アニメ声」を出す事が出来ると言う寸法な訳です。
とは言え、いきなり「舌の付け根を上方向に押し上げる力」を強めようとしても形が崩れてしまうのが定石。この時に意識したいのが「息のベクトル」になります。「カエル声」の段階では「前方に尖った息を突き刺す」ような息遣いだったと思いますが、これを「頭(上方向)に幾らか息を逃がす」、若しくは「口から出ていた息を鼻からも出す」、或いは「息のベクトルを、声帯を中心とする上周りの軌道で後方に向ける」ようにアプローチすれば同様の効果が得られるようになっています。人によって感覚が違うと思うのでそれぞれ試して頂きたいのですが…原理としてはどちらも息遣い自体は同じものとなっています。「カエル声」の息の向きを若干上方向に逸らす事で前方に向かう力を弱め、「え」と「あ」の中間の口の形を作りつつ、鼻にかけるようにして息を分散する事で「太くて柔らかい息」を実現するのです。
この時、息の方向を極端に上方向に向け過ぎたり、前方向に向かう息のベクトルを弱めすぎたりすると途端に声が裏返ってしまいます。そうなると何もかも台無しです、泣くしかありません。なので「カエル声」を基準としつつ、各々でベストな力配分を模索して頂きたいと思います。
②更に喉を締め上げる
これは私が実際に試して成功した方法ですが、同時にリスクも同様に伴う危険なやり方でもあります。なのでくれぐれも無理して実行しないようにお願いします。
端的に言えば「カエル声」の時に加えた首絞めの力を更に強くすることで、反動を用いて舌を上げてしまおう、と言うアプローチになります。てこの原理に似た考え方で、場合によっては私のように上手く行く可能性もある事でしょう。
ここで一度、皆さんの周りにある「潰れても構わない柔らかい物体」を手に取って頂いても宜しいでしょうか?例えば「小麦を詰めた風船」や「おしぼり」、「握って遊べる柔らかいおもちゃ」等で対応できるでしょうか。これを全力で握ってみて下さい。
※図解
にぎにぎ すると…
╭──╮ ╭─────╮
│ │ │ ↖ ↗ │
│ │ ╰ ↑ ╯
╭╮╭──────╮ ╭─╭─────╮
╰╯╰───╮ ╰─│╭╮
╰───│ ⇒ ╰╰╯│ ギュッ
╰───╰── ╰─╰──
╰──╯───╯ ╰──╯──╯
│ │ ╭ ↓ ╮
│ │ │ ↙ ↘ │
╰──╯ ╰─────╯
すると上の図のように、握った付近から内容物が押し出されるように、両サイドに分布が偏る様が確認出来ると思います。これの原理を用いて喉締めを行う事で「つっかえていた喉仏若しくは舌を上方向に押し出す」アプローチを行えば、アニメ声を出せると言うのが基本的な考え方となっています。
しかしここで押し上げるべき「喉仏」或いは「舌」は固形物であり、上の図のように愚直に締め上げようものなら逃げ場を失って苦しくなってしまいます。残念ながら、同様に締めようものなら圧迫されるだけされて思わぬ事故に発展しかねません。ここで意図的に「逃げ場の誘導」を行う事で、一方向にしか押し出されないようにコントロールする必要が出てきます。
今回のメラニー法においては、我々としては喉を「上方向」に押し上げたい訳です。要するに「上方向にしか逃げ場が存在しない状態で喉を締め上げる」と、その反動で喉や舌が丸ごと上方向に押し上がってくれるのです。この時に「喉仏を押し上げる」感覚は一切ありません。本当に「カエル声の締め付けを強くする」だけで感覚を掴む事が出来る事でしょう。
※図解
にぎにぎ すると…
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│ │ │ ↖ ↗ │
│ │ │ ↑↑ │
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╰╯╰───╮ ╰─│╭╮
╰───│ ⇒ ╰╰╯│ ギュッ
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具体的には、「カエル声」の時に増して「僧帽筋」の力を強める事でこれに対応します。若しくは、首絞めの際に「鎖骨付近から首を絞め上げる」感覚を加えると良いでしょう。実際に首に手を当てて確認してみても良いかもしれません。とこのように首の付け根付近、下方向の締める力を強くする事で「上方向に逃げ場を作った状態」で首を締める力を強めれば、逃げ場を求めた喉全体が自然と押し上がってくれる筈です(ただしこの時、声帯が上に上昇する…と言うよりかは、声帯が自然な状態で真上を向いている面が、喉の締め上げによって前方に向く感覚があります。声帯を円柱に見立てた際の中心部に回転軸が存在し、喉の占め上げによって前方に回転するイメージです)。
※図解 ↑ ╭╮
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│ 声 帯 │ / \
│ │ │ 声 帯 \
│ │ ⇒ \ \
│ 軸 │ \ 軸 │
│ │ \ /
│ │ \ /
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この状態で「い」と「う」の中間の口の形をベースにし、口角を引き下げながら主に上顎を突き出した状態で、「カエル声」と同様に上顎の前歯に集めるイメージで声を出せば、一転して「アニメ声」に該当する女性らしい声の響きが得られるのではないでしょうか。
但しこの時、喉が閉鎖しないように息遣いは可能な限り柔らかくし、鼻声が強くなるとこれまた男性らしい響きが追加されてしまう(鼻に息が流れるとミックスボイスの出し方になる他、エッジボイスの要領で閉鎖が発生する事があります)ので、鼻に息が向かわないよう軟口蓋でせき止めるイメージで、殆どの息を口から柔らかく吐き出すようにしましょう。そうして地声の音程のまま、裏声みたく喉に引っ掛からない響きを出せるようになったら「習得完了」となります、お疲れさまでした。
余談ですが、慣れてくれば必要以上に喉を締め上げなくても安定してアニメ声を出す事が出来るようになります。これに関しては普段から「筋トレ」と称してアニメ声を出す習慣を作り、自分なりに試行錯誤した上で感覚を掴むようにしてください。
〇STEP3番外編……裏声アプローチ
ここで少々脱線します。もし先に紹介した「地声アプローチ」のやり方が上手く行かなかった人は、もう一つの道筋「裏声アプローチ」に挑戦してみましょう。
とは言っても、大筋は先に紹介した「地声アプローチ」と殆ど変わりません。飽くまでも手順に差異が生じるくらいの事です。そこで先に紹介した方法の補足的な内容でアプローチ方法を紹介していこうと思います。
①裏声を出す
この段階では特に何の捻りもありません。純粋に裏声を出してみて下さい。声質や息の向きなど何も気にしなくて構いません。純粋に裏声を出す事を意識しましょう。
一応確認として、息遣いは完全に上方向、裏声の段階では力を入れて発声出来ない事でしょう。でも大丈夫、それでOKです。
②鼻声を混ぜる
裏声を出せたら、これを鼻にかけるようにして「鼻声」のテイストを混ぜ合わせていきます。
するとこの段階では上手く発声する事が出来ないのではないでしょうか。声の質は裏声と殆ど大差はなく…しかし裏声の上方向に向かう息遣いと、鼻にかける事によって下方向に向かう息遣いが交差するものの、上手く噛み合わず力を入れて発声出来ない事でしょう。でも大丈夫、次のキモを抑える事で解決する事が出来ます。
③②の状態で「カエル声」を出す。
これが最終段階。②の状態を維持しつつ、先にも紹介した「カエル声」の喉締めを行っていきます。
ここで思い出して頂きたいのですが、「カエル声」の際の喉締めは一体どのように行っていたでしょうか?そう、「頭板状筋」と「僧帽筋」を用いて「首の後ろ両サイドから中央に向かって締める」のです。「後ろ側両側面→前側」の力を意識して、左右のやや後ろ側面から発生した力が「首の中心部」を通り、そこで交差して集約され、そのまま前方に向かうように首を絞めるんでしたね。これを②の状態で行います。
すると「地声アプローチ」の時とは異なり、既に舌根や舌全体が押し上がった状態で喉を絞めるので、スムーズに「アニメ声」の出し方に移行出来るのではないでしょうか?コツとしては、やはり顎のエラが張ったあたりから、下顎の奥歯を通じて前方向に力が加わるように首絞めを行う事でしょうか。
この時、上方向と下方向に交差して抜けていた息が集約され、前方向に出せている事を確認してみて下さい。但し力強く出てしまうと喉が閉鎖し低音が強くなってしまうので、先にも記した通り、豊富な息を柔らかく使う事に注力しましょう。また口角を引き下げ上顎を突き出すポジションを取る事、軟口蓋を用いて息をせき止め鼻声が強くならないように気を付けるのも忘れないようにして下さい。そうして上顎の前歯に声を集めるようにすれば、裏声に独特のパワーが乗るようになり、女声に行き着く事が出来ると思います。
ここだけの話、「地声アプローチ」の時と比べて変化が顕著では無い為判断し辛いと思いますが、そこは各自でお持ちの「録音機器」を用いて自分の声を聴きながら確認して頂きたいと思います。そんなこんなで女性らしい響きを作る事が出来るようになれば、「習得完了」となります。
〇STEP4……ナチュラルボイス
さぁ、アニメ声が出るようになれば最終段階、ナチュラルボイスことナチュボに挑んでいきましょう。女声のナチュボを出すにあたって、勿論「アニメ声」を始点とするのは言わずもがなですが、その応用方法である三つの女声を把握しておく必要があります。この三つの女声を上手く組み合わせる事によってナチュボが出せるようになると言う寸法です。
そこで一先ず、鍵となる三つの女声こと「萌えボイス」、「お姉さんボイス」、「ショタボ」の三種類を紹介するとしましょう。
①萌えボイス
「アニメ声」に更なる「裏声」のテイストを加えつつ、「う」と「い」の中間の口の形から「い」の割合を強め、より息を後方のやや上方向に向かって抜くようにして出す事が出来る女声の応用法の一つです。「アニメ声」の時と比べて音程が高く、裏声の成分が多めで、「アニメ声」と比べてもより顕著に、女性特有の訛りを加える事で出す事が出来ます。
声色自体は何とかなるのですが、男性特有の喋り方から最も遠く、声を出す際に抵抗が大きかったり感覚が掴みにくかったりと、それなりに難易度が高めな応用法となっています。また「地声アプローチ」よりも「裏声アプローチ」の方が上手く行くでしょう。コツに関しては、兎に角あざとく、現実ではあり得ない位の訛りを加える事。アニメキャラなどの喋り方を真似すると感覚が掴めてくると思います。
余談ですが、この「萌えボイス」がナチュボに関わってくるのは「高音域の上ずり」に該当します。十言うのも、女性の訛りと言うものは男性と比べて抑揚が大きい事が挙げられます。これは声の音程が高く、男性に比べて重心位置が上がりやすい事が関係してくると考えられます。我々でも気づかない内に地声の影響は大きく、地声の音程に引っ張られて重心の位置…(それも声とは関係ない所で影響を受けているようです)が変化する事により、声の抑揚にも変化が現れるようなのです。なので性差に拘わらず、地声の高い人ほど喋り方に抑揚が着くようになり、逆に声の低い人ほど平坦な喋り方をするものです。
しかしここで女性らしい喋り方をする際には、やはり「声が高い人」特有の抑揚の大きな話し方が必要。これに加えて性別による訛りも含まれますので、ここの練習と言う意味でも最適な応用法であると私は考えています。逆にこの「萌えボイス」しか出来ないと言う人も居らっしゃるでしょうし、そういう人は「カエル声」の成分を混ぜる練習をして「アニメ声」が出せるようにすると良いと思います。
②お姉さんボイス
「アニメ声」の出し方で、主に鼻腔の空間を大きく取る事で出せる女声の応用法の一つです。「アニメ声」を出せる人なら比較的簡単に出す事が出来ると思います。「アニメ声」のポジションの「い」の部分を「え」の形に変え、息遣いも下方向の成分が強まる事で出せる筈です。キーワードは「鼻にかかった女声」、「アニメ声」の形を維持しつつ、「え」と「う」の中間の口の形を作り、鼻の奥の部分や上顎の奥歯を強く意識すると上手く行くと思います。
③ショタボ
「アニメ声」の出し方で、主に喉の空間を大きく取る事で出せる女声の応用法の一つです。此方も前述した「お姉さんボイス」と同様、「アニメ声」を出せる人なら比較的簡単に出す事が出来ると思います。「アニメ声」に「欠伸」の要素を混ぜるように意識し、息遣いも息の始点をより下方向にする事で出せる筈です。キーワードは「欠伸混ざりの女声」、「アニメ声」の形を維持しつつ、「う」と「お」の中間の口の形を作り、鼻の奥の部分や上顎の奥歯を強く意識すると上手く行くと思います。
余談ですが、②と③がナチュボに関わってくるのは「女声における地声の音域」に該当します。ナチュボのベースとなる「地声音域」の出し方を調整するにあたって、「アニメ声」にこの「お姉さんボイス」と「ショタボ」の成分を幾らか混ぜ合わせる事を前提に置いておくと良いでしょう。この黄金比、具体的な比率に関しては個人差が生じる事でしょうし、万人に共通する正解は存在しないと自負しています。そこでこちらも各々で試行錯誤して頂き、自分なりのナチュボを模索して頂ければと思います。
〇イントネーションについて
大前提なのですが、ナチュボを出すにあたって最も肝心な項目と言えるのが「イントネーション」です。先にも軽くは触れましたが、このイントネーションこそが女声もといナチュボの出来を決めると言っても過言ではありません。
純粋な声質に関しては、上の三つの応用技法を駆使して調整しましょう。しかしそれだけでは自然な女声とならないのが我儘ならない部分でもあります。
しかしこれに関しては、実際に女性の喋り口調を真似したり、女性の喋り口調や独特の訛りを確認する事をお勧めするしかないでしょう。何度も申し上げている通り個人差が付き物ですから、やはり多種多様な喋り方を理解した上で、自分の声質に合った喋り方を模索する必要があると思われます。地道な努力と研究が要求される場面ではありますが、「アニメ声」さえ出せてしまえば後は些細な工夫でナチュボも出せてしまうはずです。そこに至るまでの道のりは千差万別だと思いますが、これに関しては各々に合った正解と言うものが異なると思いますので、各自で試行錯誤の上で見つけて頂きたいと思う次第です。
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◎注意点
・一応発声法なので、正しく出す事が出来さえすれば喉に異常な負担をかけるなんて事は起こらないと思われるものの、元々が「喉を絞める」アプローチを必須とする発声法となっています。やり方を間違えると大事故につながる可能性がありますので、くれぐれも無理のない範囲内で挑戦して頂きたいと思います。
・この女声ですが、喉が渇いた状態では声が掠れてしまい、上手く出す事が出来ません。こまめに水分補給を摂った上で挑戦するようにして下さい。
・先にも申し上げた通り、この発声法は「喉を絞める」アプローチをを前提としています。正しい発声法からは逸れた発生法であり、変な癖が着く可能性が高いです。ちゃんと正しい発声法や正しいミックスボイスを身に着けた上で、癖が着く可能性を考慮の上で挑戦するようにして下さい。もし後々で抗議されても、生憎とこの著者では対処が出来ません。くれぐれもご了承いただいた上で試して頂きますよう、宜しくお願いします。
・“女声”や“アニメ声”に挑戦する際は、必ず“ミックスボイス”を完全にマスターしてから行って下さい(ミックスボイスは地味と女声を出す上で基本となる発声法になっています、これを完全習得した方が安定した女声を出せるようになると思います)。
・“アニメ声”を出す際、その性質上多くの息を使いますので、周囲の環境に気を配りながら練習するようにしましょう。息の割に女声の声量は抑えられますが、それでもその過程で大声を出さざるを得ないと思いますので、これを加味した上で練習場所を選ぶように心がけて下さい。
・動画や録音音声が無くて大変申し訳ございません。これに関しては発見者のリアルが整い次第対策を打とうとは思いますので、随時続報をお待ち頂ければと思います。
・何か質問や意見等あれば、感想欄の部分からコメントして頂ければと思います。出来る限り返信していこうと思います。まだ分からない事も多い発声法なので、皆さんの意見はドシドシお待ちしています。
どうでしょう?ちゃんと女声は習得出来ましたか?
実践するのが一番分かりやすいとは思いますが、その場合はYouTube等を確認しながら、補足としてここに記した方法を試して頂きたいと思います。
もし判らない事や不明点、誤字脱字と言った根本的な所まで、遠慮なくコメント欄から書き込んで頂けると幸いです。此方も可能な限り答えていこうと思いますし、加筆修正も随時行っていこうと思いますので、くれぐれもよろしくお願いします。
ではまた。