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エスケープ_ザ バックルームズ  作者: るんば
―第二章―《update》
47/50

決裂

凛裕

「おいしょっと、」


 俺は折れた剣を地面において女王を背負った

 さっき女王に対してそれっぽく言ったけど、、

 乗り切ったーーー!

 別に殺すつもりはないけど殺してなんて言われて

 俺にそんなことできるはずがないもんな

 まあでも自分で言ってて気づいた

 女王の目に対する知識は半端じゃない

 仲間に頂戴した時、恐怖の目とやら、なんか知らない新事実があるみたいだから

 敵にそういった目の能力を持つ奴がいたら、女王に聞いて対策する

 完璧だ

 本当に必要になったよ、女王の目の知識が

 こんな心の裏気づかれちゃまずい

 平然だ、、平然を装え!


凛裕

「ああ、」


 女王の足を持って固定してたけど流石にきついな

 俺は少し女王を持ち上げ直した

 うし、行けるだろ

 また歩き始めた時


クイーンミー

「んん、」


凛裕

「、、は、」


 はぁ?!

 俺の肩の上を通って胸の前まで来てる女王の腕がもっと締まった

 つまり、え、いやほぼハグか?

 いやいやいや、俺は佳澄が好きで!


凛裕

「くそ、」


 思いの外体は正直みたいだ

 心臓の速度超過が止まらない

 そうだよな、いくらなんでもこれは

 耐えろ俺!佳澄を思い浮かばせるんだ!

 そして佳澄の目を見るんだ!

 目を、目を!

 ん?この色


凛裕

(あ、ああ、あああ)


 女王と同じかーーー

 丸かぶり

 佳澄の顔が女王に置き換わっちまった

 クソが俺!やめろ!


琥珀

「凛裕!」


凛裕

「ああ、琥珀さん」


 俺は琥珀さんの下まで早歩きで行った

 瓦礫があって歩きづらいのは置いといてね


   ガンガンガンガン、、


 さっきからこの音、剣で手錠を壊してるのか


   ガン!


マスマティクサー

「ありがとう」


琥珀

「いえ」


星森

「じゃああとは、あのー背が高い人」


琥珀

「柏堵?」


星森

「そう多分そのひ、」


柏堵

「よう」


俺達

「は、」


 ビビった、、ただでさえドキドキしてんのに驚かせんなって

 死ぬかと思った


柏堵

「こんな状態になるまでやって、勝ったんだ」

「やるな」


凛裕

「みんながいたから」

「できたんです」


柏堵

「そっか、じゃあよかった」

「これであとは殺すだけだね」


マスマティクサー

「、、、はい?」


星森

「ころす?」


柏堵

「凛裕、」

「その女王を俺に差し出せ」


 俺に手を出しながら柏堵はそう言った

 いや、え?そんなの


凛裕

「おい、そんなの交渉の時に約束してない」


柏堵

「は?破るつもりか?」


凛裕

「破る?なにを」


柏堵

「女王を制圧する、という同じ目標に対して」

「俺達は手を組んだんだ、違うか?」


凛裕

「ちがくない、」


柏堵

「なら渡せ、殺すまでが制圧だろ?」


凛裕

「いや、違う」


 まずい、、そういうことか

 制圧という言葉の定義の違いが!


柏堵

「何が違う」

「琥珀の安全を確保できない限り、制圧とは言わない!」

「気を失ってる今のうちに殺させろ」


 気を失ってる?

 俺は上下に女王を揺さぶってみた

 たしかに、反応がない


凛裕

「琥珀さんの安全はもう守られてる!」

「だから渡さ、、」


柏堵

「渡せ」


 重すぎる威圧、これから武力で対抗しても勝てない

 すると


星森

「ふん!」


柏堵

「ほーん?」


 横目で状況を確認した

 星森さんが、目玉を突き出してる


柏堵

「紅い目ねー、」

「あいにく、効かないんだ」


凛裕

「な、、」


 突然柏堵が俺に向かって目を開いてきた

 柏堵の紅い目が光った、女王が言うには、恐怖の目!

 まずい、見てしまった


柏堵

「安全?、どこがだ」

「渡せ」


凛裕

「すーーーーっすーーーーっ、」


 柏堵の目をみたまま動くな

 目を逸らした瞬間に奪い取られる

 俺は歯を食いしばりながら過呼吸を制しようとした

 その時


琥珀

「柏堵」


柏堵

「、、、、、、」


 琥珀さんが柏堵の首の前に剣を近づけた

 俺と柏堵の間に、一本の剣


琥珀

「核は壊した」


 核?いったい何を


柏堵

「だからなんだ?」


琥珀

「安全だ!」


柏堵

「、、、、、、」


 無言の空間

 今言葉を挟んでしまえば、火がついてしまう


柏堵

「ふっ、お前の望みはなんだ?琥珀」

「俺と一緒に元の暮らしに戻るか」

「凛裕たちと出るか」


琥珀

「、、、、、、」

「俺たちがここで危険にさらされたように」

「この外でも危険にさらされている人達がいるかも知れない」

「すべて無くしてこそ、本当の安全だ」

「俺は」

「凛裕たちと出る!」


 琥珀さんは柏堵を睨みながらそういった


柏堵

「、、、、、」

「ちっ」


 そして柏堵の睨み先は俺へと移った


柏堵

「それなら」

「凛裕、お前を」

「殺す!」


 そう言って柏堵は琥珀の腕を掴んで剣を動かせなくしてから折れた黒剣を俺に近づけてきた

 いつの間に拾ったんだ?俺が置き去りにした剣!

 もう刃が近い!首!いかれる!

 琥珀さんも剣が使えない、女王を背負ってる

 こんな状況で避けるなんて!

 その時


   ドン!


柏堵

「ごはっ、」


マスマティクサー

「逃げるぞ!!!!」


 なるほど、マスマティクサーがなぜが曲がった定規で柏堵のみぞおちを突いたんだ!

 今柏堵が腕を離してよろめいてる!


星森

「うん!」


 俺達は走り出した

 今最も奪われてはいけないのが女王!

 女王が殺されちまう!!


///////////////////////////////////////////////////////


理人

「なんだよ、言え」


智実

「、、、、」


 電話越しでそう答える理人の姿を想像した

 理人の、自分を守るためなら何だってするという性格を利用してこの作戦を決行したのだが、

 それにしても、理人のこの行動が腹立たしく思える

 橋村さんの父の友達の知り合いに記者がいた

 俺はその人とコンタクトを取り、理由を伝えずに、このような質問をしてくれと頼んだのだ

 お金を払って、な


智実

「条件は、」


…………………………………………………………………


《数日前》


智実

「よろしくお願いします」


大島

「よろしくお願いします」


香島

香島 美空(かしまみく)と申します」

「よろしくお願いします」


智実

「一条です」


 俺は大島さんからの連絡を受けて、この会議室に来た


大島

「一条さん、こちらが知り合いの脳外科医です」


香島

「月島さんのことですよね?」

「その方なら、一度うちで受診したことがあります」


智実

「、、、え?!」


大島

「まあまあ、一度座りましょう」


 そう促されたので、会議室の中の一つの席に座った

 大島さんと香島さんは俺の反対側の席に座った


香島

「実際に私が担当したわけじゃないんですけどね」

「あの、うちの病院で」

「それで、その記録があったんです」


 たしかに、香島さん本人が受診したとしたら、香島さんが若すぎる

 でも、受診の記録があるだけ良かった


香島

「これなんですけど」


…………………………………………………………………


 橋村さんの頼みでもある

 そして、俺の望みでもある

 英語ができる、理人に託したいことなのだ


智実

「理人」

「期限は一ヶ月だ」


理人

「、、、、、」


智実

「アメリカの、国立図書館に行け」


理人

「、、、、、は?」


///////////////////////////////////////////////////////


琥珀

「地下道だ!」


 琥珀さんはそう叫んで地下道につながるマンホールをこじ開けた

 ハシゴを伝ってマスマティクサーと佳澄と星森さんが下りた

 そして


マスマティクサー

「凛裕!女王を下ろして!」


凛裕

「わかった!」


 俺は女王を穴の中にいるマスマティクサーに託した

 そして俺も入ろうとする

 その時


柏堵

「琥珀!!」


 マスマティクサーの定規の一発でだいぶ距離を離したはずの柏堵の声が聞こえた

 俺はハシゴの途中で地面に跳んだ

 着地をすると、琥珀さんも中に入った

 そして琥珀さんはマンホールの内側にある取っ手を掴み、穴を塞いだ


琥珀

「マンホールが上に引っ張られてる!」

「ロープ!」


 琥珀さんがそう指示した

 すると星森さんがカバンを漁ってロープを手渡す

 そのロープを取っ手にくくりつけた

 琥珀さんは長いロープを脇に挟みながら両手で掴み、ハシゴの付いている壁に足裏をつけて体を下に傾けた

 琥珀さんの大きく傾いている体をロープで支えながら、マンホールを固定しているのだ


佳澄

「なんかドアがあった!」


 地下道にその声が響く

 俺は暗くて見えない中その声の方へ行く

 すぐ近くに佳澄がいた

 その後星森さんも駆けつけた、マスマティクサーは琥珀さんのもとに居るようだ

 鉄製の冷たい扉があるのは確実だが、今すぐにでも明るく照らしたい


凛裕

「星森さん、バッグを」


星森

「はい」


 俺は渡されたバッグの中を漁った

 その時


   ゴン、ゴン、ゴン!


琥珀

「まずい!マンホールが押されてる」


マスマティクサー

「押され、?」


凛裕

「は」


琥珀

「内側から引っ張ってることに気付いた!」

「体重と外からの力でマンホールが押される!」

「こっちから押し返すには力が足りない」


マスマティクサー

「やるしかないだろ!」


 そんな激しいやりとりが聞こえる

 急げ、この扉にかかってる

 俺は日記を出した

 そして本を開く

 ほのかに辺りが明るくなった

 少し錆びついた扉、ノブがない

 下から上へと照らす

 文字を確認できた


凛裕

「M.E.G.、、」


マスマティクサー

「もう無理だ!!」


 俺は急いで日記をしまった

 俺は思い出した

 神矢隊長からもらった、


琥珀

「すぐそっちの方に逃げる!」

「逃走経路を確保してくれ!」


 カードキーだ!

 俺はそれらしきものをバッグの中で掴んだ

 その時


   ゴン!


 破壊された音と、人が走ってくる音が聞こえる

 俺はカードキーを取り出して、タッチパネルらしいところに当てた

 ピッ、と音が鳴り、鉄扉がスライドする

 俺達はその先に見える景色に飛び込んだ

 琥珀さんが最後に入り、鉄扉が閉まった

 俺達はこの通路の少し先にある扉を見つけた

 ノブ付きだ

 すぐに開けてその先へと入った


   バタン!


凛裕

「はぁ、はぁ、はぁ、」


 オレンジ色に光るトンネル

 静かになった扉を琥珀さんが少し開けた

 その先に鉄扉はなく、

 ただの虚空と化していた

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