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エスケープ_ザ バックルームズ  作者: るんば
―第二章―《update》
46/50

汚された過去と、誘われし瞳の光

《少し(さかのぼ)る》


   ゴゴゴゴゴゴゴゴ、、、、


マスマティクサー

「なんだ、?」


星森

「なになに?!」


 地面が強く揺れてる、そしてこの轟音

 、、、、、、

 崩落?

 だとしたら!


マスマティクサー

「ハッチを!」


星森

「え!ちょっと待って」


 俺は走り出した

 崩落だとしたら、建物の崩落だとしたら

 ハッチを開けないと閉じ込められてしまう

 暗闇だけど走れ!急げ


マスマティクサー

「間に合え!」


 俺はハシゴを飛ぶように登り、ハッチを押して開けた

 すると


マスマティクサー

「な、天井が」


 迫って、くる!

 このままだと地下道に流れ込んでくる瓦礫に飲まれる、確実にやられる

 でも、間に合わな、


星森

「ふんっ!」


マスマティクサー

「うおっ!」


   ゴゴゴゴゴゴゴゴ、、、、


マスマティクサー

「助かった、」


星森

「ふぅ、」


 星森さんが体を掴んで引っ張ってくれたおかげて助かった

 本気で飲まれるところだった


マスマティクサー

「ありがとう」


 助かったのはいいけど

 結局瓦礫で出口が塞がっちまった

 違う出口を探す?でもそんなの時間がかかりすぎる、というか本当にあるのかすらも!


星森

「掘り出そう!」


   ガラッ、ガサッ、ガタッ


 そう言って星森さんは必死に瓦礫を後方に投げている

 実際、こっちのほうが確実性があって

 いいのかもな

 俺も立ち上がり、瓦礫を掻き出す作業を始めた



 必死に掻き出していると、出口の穴が開いてきているのが見えた

 これなら通れる!

 だが、気絶している琥珀さんを運ぶのは難しいだろう

 時間がない、それなら

 俺は瓦礫でできた坂を登ってギリギリの隙間から外に出た


マスマティクサー

「星森さん、縄とバールのやつを!」


 すると星森さんはさっき作った長い縄に繋がれたバールを俺に渡した

 その後すぐに星森さんも上がってきた

 少し遠くで女王と凛裕が戦ってる

 女王の両腕は鋼鉄、顔には鉄仮面


マスマティクサー

「女王の弱点、、おそらく目」


星森

「もしかして」


マスマティクサー

「出さなくても大丈夫、俺も食らうし、食らったことあるし」

「俺が思いついた作戦を言う」

「まず、その目を見せるために、相手の鉄仮面を破壊しないとダメ」

「鉄仮面は剣じゃ壊れなかった、だから、縄とバールで遠心力を使う」

「そして破壊した後、それを投げる」

「行ける?」


星森

「この距離結構遠いけど、」


マスマティクサー

「、、、、、、」

「やるしか無いんだ」


星森

「、、、、、」


 星森さんが静かに頷いた

 作戦決行

 だが今二人が戦ってて動いている

 動いている状態じゃやりづらい

 まて、、よく考えると俺の身体能力が理想に追いつくのか?

 この距離、、、、無理な気がしてきた

 遠心力を使ったとて、相手に気づかれてはいけない

 それなら、回せるのはせいぜい5周?か、それ未満

 完璧にコントロールできる運動能力があるとは思えない

 投射角は自分の腰から相手の顔まで、、距離との概算で5〜10度

 それ超過でも未満でもだめだ、当たらない

 時間も限られてる、考えろ、、最適な、完璧な策を


   ガサガサガサ


琥珀

「ごめんみんな」

「迷惑かけたかも、」


マスマティクサー

「琥珀、!」


星森

「良かった」


 琥珀さんが地下から這い上がってきた

 行ける

 琥珀さんの運動能力なら


マスマティクサー

「琥珀さん、」

「頼みがある」



琥珀

「ふぅ、」


マスマティクサー

「投射角5度」

「猶予は5周」

「右回りの遠心力で飛ばす」

「両手で縄を固定して、その5周で距離を調整する」

「最後の1周目は、琥珀さんと女王を直線でつなげたときの線から左に75度のところで手を離す」

「あとは力の加減、そして、おれのこれもガッツリ概算で、本当は練習とかもしたい」


琥珀

「しかも相手二人は動いてる」

「、、、、、わかった」

「しゃがんで」


星森

「うん」


 俺たち二人はしゃがんだ

 琥珀さんを捕らえていたこの長い縄と、バッグの中にあった縄をつなげた

 今投げるバールで運命が変わる


凛裕

「弱いんだああああああーーーー!!」


 ここまで聞こえるほどの大声、一体何が、


琥珀

「あれ、」

「二人ともの動きが止まった」


マスマティクサー

「ほんとうだ、」


 女王が凛裕の目を見つめているように見える

 見惚れてるんだ、今のうちだ!


マスマティクサー

「琥珀さん!」


琥珀

「うん」


 そう言って琥珀さんは

 体を右に回し始めた

 1周目、

 2周目

 3

 4

 5!!


マスマティクサー

「飛ばせ!」


   ブオン!


 角度、完璧だ

 これなら、女王に

 俺はバールの飛ぶ軌道の先を見た

 は、

 致命的な見落とし、

 凛裕

 女王よりも左側にいる彼

 場所的に凛裕に当たってしまう!

 なんで見落としてた!

 くそ、


マスマティクサー

「凛、!」


 叫ぼうとしたその時だった


   バチン!!


星森

「え、、」


琥珀

「凛、裕、」


マスマティクサー

「すげぇ、」


 一瞬でしゃがんで避けた

 バールの気配を察知したのか?

 だとしても判断と行動が速すぎる

 すごい、

 そして、


星森

「ふんっ!!!」


 目玉が投げられた

 そして無事に、女王の目の前まで飛んだ


星森

「やった!」


マスマティクサー

「二人ともナイス!」


 女王は恐怖で地を這っている

 あとは、

 俺がホワイトに作られた、能力の核を壊すだけ

 そうしたら、制圧ができる

 多分俺と同じ場所だ、


琥珀

「核、右、胸」


マスマティクサー

「、、、、え?」

「分かるのか?」


琥珀

「見えるだけ」


 謎だが、この話はあとだ

 俺は今、凛裕に最後の指示を出す!


マスマティクサー

「凛裕!心臓と左右反対側を刺せ!!!」


///////////////////////////////////////////////////////


   ガンガンガンガン、、


凛裕

「ああ、」


 仰向けの状態で目を覚ました

 なんだっけ、、そうだ

 そういえば、俺、意図的に意識を飛ばしていたな

 右手には黒い剣、柏堵のだ

 そして近くにうつ伏せになって倒れた女王


凛裕

「は、、」


 背中の右半分にある深い傷が塞がってゆくのが見えた

 そして俺は右手の黒い剣を見た


凛裕

「まさか、俺が」


 俺はすぐに女王を揺さぶった


凛裕

「起きてくれ、お願いだ!起きて、、」


クイーンミー

「はやく」


凛裕

「、、、?」


クイーンミー

「はやく、殺してくれ」


凛裕

「殺すって、それは」


クイーンミー

「反論できるはずがない」


 女王はうつ伏せのまま話し続けた


クイーンミー

「ホワイト様は!失敗したら殺すと、殺されるものだと教え続けてきた」

「それが常識じゃないのか」


凛裕

「な、、、、、」


クイーンミー

「私は今、あなたたちを抑え込むことに失敗した」

「殺されるんじゃないのか、、?」


凛裕

「、、、、、、」


 今にも泣き出しそうな声だった

 ホワイト、ホワイトの洗脳能力も伊達じゃないのか


クイーンミー

「私の目は汚い、、何もかも汚い上に!何も成せなかった私を今すぐ殺して!」

「はやく!今すぐに、殺し、、」


凛裕

「ええー、でも殺しちゃったらさ、」

「女王が持ってる目の色の知識、知りたかったのにな」


クイーンミー

「え、」


 女王は俺の方を向いた

 俺はしゃがんで女王に背中を向けて、空を見ながら話した


凛裕

「こんなに澄んでるのに、星の一つもないでしょ?」

「月もない、、夜なのにね」

「でもそんな中、女王の目の知識とか、女王の瞳が輝いて見えるんじゃないかな」


 ホワイトによる洗脳で、人殺しという愚行に走ったのなら

 更生の余地は、無いわけがない

 ゆっくり洗脳を解いていこう


凛裕

「あなたが瞳を欲しがるように」

「俺は女王が欲しい」


クイーンミー

「あっ、」


///////////////////////////////////////////////////////


凛裕

「俺は女王が欲しい」


クイーンミー

「あっ、」


 ほ、しい

 思い返してみれば、、こんなに必要とされたことはなかったなあ


…………………………………………………………………


ホワイト

「素晴らしい、また兵士を葬ったのか?」


クイーンミー

「はい!」


ホワイト

「どんどん俺の役に立て、俺の望み通りになるんだ」


 このときは、ホワイト様に褒められるのが嬉しかったし、

 ホワイト様の望みに沿うことが私の望みだった

 でも

 ある日聞いてしまった


ホワイト

「クイーンミーのもとに最強兵士がいるみたいだ」


 ホワイト様が組織の私より上の人を集めてそう話していた


??

「裏切りの可能性は?」


ホワイト

「ふっ、そんなの想定済みだ」

「あいつが殺されるのなんて目に見えているからな」

「はははは!」


クイーンミー

「う、、そ」


 必要としているのは表面上で、裏では全く必要とされていないことが分かった

 だから私は用心深くなった

 だから私は洗脳を続けた

 ホワイト様にもっと必要とされたかった!

 だから私は、、


ホワイト

「あ?最近頑張ってるから褒めろ?」

「ああーだるいだるいいらん」

「だいたいそんなかわいくない眼差しで言われてもね」

「はやくどっかいけ、忙しいんだわかってるだろ?」


クイーンミー

「ホワイト様、なんで、」


 私の目が嫌いになった

 赤墨色は汚い色、そうに決まってる

 そうに決まっていた、けど


…………………………………………………………………


凛裕

「俺は女王が欲しい」


クイーンミー

「あっ、」


 私はホワイトのもとにいるより

 こっちのほうが心地良いみたい


凛裕

「どんな瞳でも」

「愛されないといけない」


クイーンミー

「、、、、、、」


凛裕

「はは!今の俺かっこよくない?」


クイーンミー

「ふふ、」


 かっこいいよ、十分

 こんなに欲されて、欲したいと思ったことはない


凛裕

「歩けるか?」

「ほら」


 そう言いながら青眼は私を背中に誘導した

 背中に近づこうとしたが、今までしたことに気が引けて少しためらった

 最低だ、

 それでも


凛裕

「いいんだよ」

「みんな味方約束する」


クイーンミー

「、、、うん」


 私はその言葉を信じて

 青眼を背中から抱きしめた

 そのままおぶさってもらった


凛裕

「行こう」


 肌寒いはずなのに

 こんなに温かい背中を感じたことはなかった

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