紅い瞳と黒の剣
ゴゴゴゴゴゴゴゴ、、、、
クイーンミー
「、、、は?」
何?地鳴り?
なんでこんなに揺れて
私はあの青眼の男を見るために仮面を外した
手錠のついた腕が宮殿の床にめり込み、周辺の床が割れているのが分かる
できたヒビが地響きでバキバキと音を立てて広がっていく
奴、腕を振り下ろした?でもこんな威力になんてならないはず、、
私は青眼の男を見ながら考えた
奴のこめかみに力が入っているのが分かる、血管が強く浮き出ている、つまり、怒り
そんな事を考えていると青眼は顔を上げた
私は驚愕した
クイーンミー
「緑眼?なんで」
青眼だったはずの目は、緑眼に変わっていた
緑眼の光り方、あの光の反射、魅惑だ
吸い込まれるような美しさを放ってる
生涯茶色の私にはない!
エメラルドグリーンの瞳、
欲しい、あの瞳が、いや、何もかもが、欲しい!
彼のすべてが欲しい!
、、、、、、、、
ドガン!
クイーンミー
「はっ!」
奴がこの宮殿の柱を手錠のついた腕を振り回して破壊し始めた
このままじゃ崩れる!
騙されるな私!あの緑眼が綺麗だからって
彼は、いや、奴が不細工なことに変わりはないんだから、ははは
さあその瞳だけを頂戴しようか?
立ち止まれ、青眼
私は青眼を止めに動き出した
しかし
佳澄
「うううっ!!」
クイーンミー
「だっ!」
さっきまで目をつけていた女に足を掴まれた
そのせいで転んでしまった
その間も青眼は柱を壊している
佳澄
「月島くんのところには、行かせないから!」
クイーンミー
「ちっ、」
その赤墨色の目、私と同じ
汚い、憎い
嫌いだ、死んでしまえばいい
私はその女の顔をめがけて蹴りを入れようとした
その時だった
ゴゴゴゴゴゴゴゴ、、、、
クイーンミー
「は、」
天井が近づいてくるのが見える
私が高貴すぎて空に近づこうとまでしてるのか!
いや、違う
クイーンミー
「くふふ、青眼め、」
この宮殿が、すべて
今、崩れかかっているのだ
私はまた仮面をつけた
ゴゴゴゴゴゴゴゴ、、、、
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凛裕
「ぁ゙、いってぇ、」
「は、、はぁ?」
目を覚ました
一体どのくらい時間が経ったのだろうと考える暇もなく、景色の変わりようを目の当たりにした
俺は瓦礫に埋もれていた、
だが幸いなことに、瓦礫の上層部に埋もれていたため、比較的容易に体を起こすことに成功した
それと同時に、手錠が割れて地面に落ちた
凛裕
「やっと自由に、」
そして肩についている砂や瓦礫を落とした
凛裕
「いったい誰が」
「誰が」
瓦礫のほとんどが白い
大理石だ
つまり、、この崩れたものすべて、宮殿だったものだ
女王か?こんなに、建物を壊すほど強いのは女王しか考えられない
俺は瓦礫の上に立った
みんなは、!
俺は歩き回った
凛裕
「佳澄!!」
「柏堵!!」
返事がない
何度周りを見回しても気配がない
どこだよ、、みんな!
その時だった
ガガガガガガ、、
凛裕
「?!」
俺は瓦礫の音のする方である、後ろを見た
瓦礫がゆっくり動いている
俺は警戒した
すると
クイーンミー
「あっははははは!」
「お勤めご苦労」
凛裕
「お前!」
鉄の塊に包まれた女王が瓦礫の中から出てきた
無傷だ
クイーンミー
「あなたのおかげて、わたしとあなた以外は全滅、」
「おめでたいね」
凛裕
「は?俺の、、?」
「お前が全部壊したんじゃねーのかよ!」
「勝手になすりつけるな、」
クイーンミー
「なすりつけるなって、、、」
「ぜーーーんぶブーメランすぎて笑える」
「正真正銘、お前が壊したんだよ」
凛裕
「でも、俺の力が!」
「俺の力でできるわけ無い」
クイーンミー
「そう?」
「私には私の家を壊す勇気なんて無いけどね」
そう言いながら鉄の仮面を少し上にめくって俺を見た
クイーンミー
「ふーーん、青眼、戻ったね」
凛裕
「戻った?何が」
クイーンミー
「さーね、死んでもらうことには変わりないから」
「ふふ、」
そしてまた鉄の仮面を戻した
くっそ、俺が今するべきことを考えろ
鉄仮面はなんのため、それは柏堵の恐怖の目を防ぐため、らしい
つまり俺がするべきことはまず、柏堵を起こすことと、、
鉄仮面を外させること、もしくは、壊す
でも、壊す手段なんてありゃしない
大体、鉄を砕くなんで不可能だろうが
クイーンミー
「はあっ!」
ごたごた考えているうちに女王が襲いかかってきた
鉄拳が来るぞ
腕で防げ
ゴン!ゴンゴン、
重い!一発一発が重い、、硬い
このままじゃ腕が折れる
真っ向から対抗しようとして腕で女王を殴ろうとした暁には腕が正面から鉄拳で粉砕されてしまうだろう
つまり今の女王は、守ることを考えなくていい
攻撃特化だ
ゴン!
凛裕
「どはあっ!」
横腹を殴られた
くそ、よろめいちまった
このままじゃ上が防げない
ドン!
凛裕
「があっ!」
ズザザザザ、、
左の頬を殴られた
そのまま飛ばされて、受け身も取れぬまま右肩から瓦礫の上に倒れた
右肩、絶対怪我してる
クイーンミー
「あっはははは!」
「宮殿を破壊したのは夢だったのかな?」
「今じゃネズミより弱いわ」
ふ、お前は忘れてる
地下道にいる仲間たちを!
確実にお前を制圧する、確実に!
つまり俺のやるべきことは
俺は瓦礫周りを見た
そして、、一つ目に留まった
剣、柏堵の、
思い出した
柏堵は、この剣で鉄を斬ってた
俺に可能かはわからないが!
俺はその剣を瓦礫の中から取り出した
そして立ち上がり、女王に向かって構える
クイーンミー
「笑わせんな」
「気休めにもならないだろ!」
ガチン!
この剣、強度が強い
行ける、反撃だ
俺は剣を女王の鉄の腕に向かって振った
だが、そのボディービルダーの太ももよりも大きい鉄の拳を切ることはできなかった
ガチン!
危ない、剣だ
いくら強くたって、前からじゃなくて横から剣に力を入れてしまえばすぐに壊れる
だから、気をつけ、、
バチン!
凛裕
「は!」
そう考えた直後に、剣が目の前で砕け散った
破片が俺の頬をかすめる
クイーンミー
「騎士気取りめ、調子に乗るなよ!」
剣の刃の長さはもう5センチ程度しか無かった
ああ、、なんで
なんでこんなに弱いんだ!俺は
くそったれが
なんでだ
あとは何を
勝ち筋は地下道のメンバーしか無い、
本当にそれだけか?
思い返せ
宮殿が破壊される前、、もしくは
破壊する前、
俺の意識が飛んだトリガーになったのは?
佳澄だ、佳澄が襲われて?
感情?
俺が破壊したとするなら
意識が飛んでいる間のほうが強いということになる
ほんの少しの時間だけでもいい
感情の激しい起伏がトリガーになるなら
自分の情けなさに怒りを覚えろ
今だけでいい
今だけ
俳優になれ
凛裕
「なんでこんなに!!!」
クイーンミー
「っ!」
凛裕
「弱いんだああああああーーーー!!」
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クイーンミー
「っ!」
凛裕
「弱いんだああああああーーーー!!」
クイーンミー
「は、」
感じる、絶対!
私は左手で仮面を上に少しめくった
彼の瞳を見る
緑眼に変わった、、!
美しい、吸い込まれるような光
ああ、これだけ洗脳してきて、一番欲しい瞳を探してた
今までわからなかったけど
緑の瞳だ、、
これだ
欲しい!欲しい!
私は右手の鉄を無くした
私が緑の瞳に右手を伸ばした
その時だった
ズン
クイーンミー
「へ?」
彼が急にしゃがんだ
一体何?
考える暇もなく、理由が分かった
長い縄に繋がれたバールが、速い速度で飛んでくる
私の顔めがけて
だが、避けるにはどうしてももう
距離が足りなかった
バチン!!!バキバキ、、
クイーンミー
「いっ、、、、」
鉄の仮面が破壊される
時間がスローモーションのように流れる
再生成まで時間がかかるのに、
私はバールに繋がれた縄を目線で辿った
操っているのは琥珀だ
そしてその近くでしゃがんでいるのが数学男
私より下の階級のくせに!調子乗りやがって
そして横にいる女が何かを投げてくる
空中を進むそれを見た
そして、目が合った
目玉は紅く光った
光を私の目が吸収した瞬間
クイーンミー
「はっ!はぁ、はぁ、はぁはあはぁはあはぁはあはあはあはあはあはぁはぁはあはあはぁ」
恐怖、死への恐怖
柏堵の、、瞳と同じ!
私は過呼吸をしながら倒れ込んだ
そしてこれ以上目を見ないように地面に伏せながら這ってこの場から逃げようとした
1秒でも早く!
その時
マスマティクサー
「凛裕!心臓と左右反対側を刺せ!!!」
クイーンミー
「ひゃっ!」
そういえばあいつも前まで同じ組織だった!
体の仕組みがわかってる
私は顔を動かして後ろを見た
すぐ後ろには異様に短くなった煤だらけの黒剣をむけてくる
緑眼がいた
グサッ
右胸を、背中から突き刺された
その瞬間に
ガラスが割れるような音が宙を舞った




