宮殿破壊者
ポチャ
優依
「、、、、」
地下道につながりそうなハッチを見つけて、開けた
ハッチの裏側についていた水滴が地下道に垂れた
私はあらかじめバールを取り出し、ハッチを閉めながら鉄のハシゴを降りた
腐った臭いが空気を漂うのが分かった、私は口呼吸に切り替えた
音を立てずに、薄暗い地下道を進む
きっとこの奥に、このレベルのボスがいるのね、
私は唾を飲み込んで一歩ずつ慎重に進んだ
手が震える、でも、私にはバールがある
行ける
曲がり角付近まで来た
ぶっつけ本番、一気に駆け込んで!
私は走った
しかし
優依
「あれ、」
鍵のかかっていない鉄格子と、その奥にある死体の山、目がない
そしてその山の左隣に、縄でぐるぐる巻きにされている男性がいた
私は格子扉を開けて中に入った
私は男性の縄をほどいた
優依
「あのー、大丈夫ですか?」
その瞬間
目を閉じていた男性が剣を抜いて襲いかかってきた
ガチン!
優依
「うっ!」
私は咄嗟にバールで防いだ
だが、力の強さで地面に押し倒されてしまった
バールと剣のこすれあう音が響く
優依
「な、なんなの!」
女王
「あっははははははは!」
「かかったな女あ!!」
私の来た方向から声が聞こえる
腕に力を集中させながらそっちを向いた
女だ、女が立っているのが分かる
けど、薄暗くて集中しづらい
女王
「柏堵どものバレバレの小賢しい猿芝居で、琥珀の洗脳の時間が作れたわ!」
「ありがたーーく時間を頂戴した」
優依
「おのれっ!」
女王
「あっははははは!」
「暗くても分かるわあ、その瞳、汚いでしょ?」
奥義だ
廃学校のときに苦しめられた、紅い瞳!
今出せ、これがうちにできることだ
私は片腕で琥珀と呼ばれる男性の力を受けながら、右手をポケットに突っ込んだ
そして目玉を取り出す
優依
「くらええっっ!!」
私は女に目玉を突き出した
女王
「ふっ、ふふふふふふはははは」
「残念ね、ここ、暗いから意味ないのよ」
優依
「ぐっ!!、」
私はすぐに目玉をポケットに戻して、両腕でバールを持った
こうなるなら、ハッチを開けておけば、
女王
「意味ないよ」
「鉄仮面のおかげで目を合わせることは不可能だよ」
「ふっ!私より頭のいいやつなんていないんだからさ!降伏するんだね」
優依
「、、、、、、、、嫌だ!」
女王
「、、、あーーっそ」
「琥珀、しばらくその状態で固定してから、もう一つの剣でやっちゃって」
そう言って女は地下道から去った
まずい、、このままじゃ
凛裕くんたちが
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柏堵
「落ち着いたか?」
凛裕
「、、、、はい、」
柏堵
「これより死刑を執行する」
お願いだ星森さん、時間は稼いだ、あとはなんとか
コン、コン、
足音!
扉の外からだ
俺達はみんな音の方向を向いた
やっと、勝利だ!!
誰もがそう思った、、が
ギィーーー
扉が開けられた瞬間、声が出なかった
柏堵
「お前、!」
佳澄
「嘘でしょ」
マスマティクサー
「、、、、」
凛裕
「クイーンミー!!」
クイーンミー
「あっはははは!お芝居ご苦労」
「琥珀ならもう洗脳済みだよ」
「柏堵ちゃん」
柏堵
「」
柏堵の形相が変わった
本気だ
柏堵
「立て、お前ら」
俺達は立った
でも、手錠は
柏堵
「その鉄でできたゴツくて重い手錠は凶器になる」
「多少動きづらくても我慢しろ」
「奴は、目を隠してる」
凛裕
「は?」
確かに、鉄仮面をつけている
でも、相手にとっても不利なんじゃ
クイーンミー
「私はね、目が汚い代わりに、耳が良く生まれたんだよ」
「だからこそ綺麗な瞳を欲しがった!自分の目が醜かった」
「毎日隠して生きてる、そして」
「だからこそ目の汚いやつが大嫌いになった」
「柏堵、お前の瞳は紅い、恐怖の目だ」
「だが、鉄仮面じゃ通らないね」
柏堵
「っ!」
柏堵が剣を女王の鉄仮面に向けて振った
が
ガチン
凛裕
「ダメ、か」
ドン!
剣が防がれた直後、柏堵は鉄で纏われた拳をぶつけられた
その瞬間血を吐く
そして蹴り飛ばされ、動かなくなってしまった
佳澄
「嘘、、兵長でさえ」
クイーンミー
「馬鹿だねあんたら」
「勝てるわけがないの」
そう言って女王が俺の方へ走ってきた
来る、手錠で攻撃を防げ!
佳澄
「月島くん!」
ガチン!ガチン
俺が注目を浴びる
この鉄拳も、重いだろうに、速いスピードで攻撃が繰り出される
星森さんは地下道に確実に行ったとして、琥珀さんは?
クイーンミーの言う通り、洗脳されたなら、今星森さんが攻撃を受けているはずだ
なら今出すべき指示は
凛裕
「地下道に行け!マスマティクサー!!!」
マスマティクサー
「は、、、わかった!!!」
そう言ってマスマティクサーは走り出した
その瞬間クイーンミーからの重い攻撃が絶えた
マスマティクサーを襲うつもりだ
俺はクイーンミーに蹴りを入れた
凛裕
「行かせるかよ」
クイーンミー
「はは」
この余裕、クイーンミーはマスマティクサーでは琥珀さんを突破できないと考えてる
琥珀さんは強い、けど
マスマティクサーがやってくれるはずだ
クイーンミー
「琥珀!!もう一つの剣で!殺れ!!!」
急に大声を出した
琥珀さんへの指示だ
もう一つの剣?なんだよそれ
それなら、
少しまずいかもしれない
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女王
「琥珀!!もう一つの剣で!殺れ!!!」
優依
「は、!」
遠くから女の声が聞こえた
この指示、、まずい
ほんとに、殺されちゃう
琥珀
「、、、、、、」
男性が無言で左手を男性の背中から伸びる剣の持ち手に向かわせる
優依
「だ、だめ!」
私は右手で彼の腕を掴んで止めた
が
バシン!
優依
「痛、」
右手を弾き飛ばされた
そして同時に私の左手の力が緩んでしまった
バールが傾き、彼の右手の拳がズルズルとバールを滑って私の体に向かってくる
私は咄嗟に弾き飛ばされた右手で剣の刃を止めた
痛い、おそらく右手のひらは血まみれ
左手のバールと、右手のひらで抑えながらギリギリだ
彼の左手は何もなかったかのように持ち手に伸びる
本当に、、
終わる
優依
「やだ!うち、死にとうなか!」
琥珀
「、、、、、」
優依
「お願い!目ば覚まして!」
「お願い!」
彼の手はついに持ち手をつかんだ
剣を抜くと思った、でも
彼は持ち手をつかむと左手を震わせて動かなかった
優依
「な、んで」
頬に水が垂れてくる
暗闇に目が慣れてきた頃、水の正体がわかった
彼は、泣いていた
その時
ゴン!
琥珀
「ぅ゙っ、」
何者かが先の曲がった鉄の定規で彼の首の裏を叩いた
鉄の定規、てことは
マスマティクサー
「はぁ、はぁ、」
優依
「良かった!うち、死ぬかて思うた!」
うちは涙を流しながらそう言った
マスマティクサー
「ごめん、そんな暇はないんだ」
「かなり長い縄とバール」
「用意できる?」
私はほどかれた長い縄と、バッグの中の縄を見た
優依
「、、、、うん」
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凛裕
「ぐあっ!」
女王に突き飛ばされ、柱に背中を打った
体が動かない
クイーンミー
「あっはははは!すごい必死な顔で戦って」
「面白」
凛裕
「くそ、」
マスマティクサー、行けたかよ?そっちは
俺はもう、無理そうだ
視界が朦朧としてく
景色がぐるぐる混ざってくように見えてくる
そうだ、佳澄、佳澄は、
クイーンミー
「最後に取っておいて良かった」
「男を嬲り殺したことはあるけど」
「女はないのよね」
佳澄
「い、いや!」
ドン!
あ?今、佳澄を、蹴りやがったか?
倒れた佳澄を何度も殴る
佳澄は何度も手錠で防いだ
くっそ、、守れないのか俺!
いや、情けねえ、、
そして
そんで!
凛裕
「佳澄に手ぇ出すのは」
俺は立ち上がった
怒りを物理的に体の中から感じた
そして手錠のついた重い腕を上にあげる
凛裕
「ちげぇやろ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ、、、