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エスケープ_ザ バックルームズ  作者: るんば
―第二章―《update》
43/50

裏切りのクローン

琥珀

「女王様がお呼びだ」


凛裕

「、、、、、」


 柏堵と琥珀さんが一度地下牢から出ておそらく数時間後、今琥珀さんが戻ってきた

 俺達は牢屋から出た

 作戦通りなら、俺が前に処刑されそうになった場所、「女王の間」に柏堵が居るはずだ

 第一関門だ

 柏堵は最強兵士

 俺達の侵入によっても琥珀に危険が及んでしまうという考えに気づいているのならば、裏切られる可能性だってある

 ここで裏切られたらゲームオーバー

 打つ手はない、待つのは死だ

 一歩一歩その場所に近づくにつれて鼓動が激しくなる

 星森さんにもかかってる

 俺等が処刑されそうになるまでに、女王に奇襲を仕掛けられるか

 指示はしていないが、やってくれるはずだ

 もしも無理そうならば、柏堵が攻撃を仕掛ける

 そのタイミングで手錠を外してもらい、俺たちも


琥珀

「失礼のないように」


 そう言って琥珀さんは「女王の間」につながる大きな扉を開けた

 その中には、女王の座に足を組んで座っている女王と、女王の前方に立っている柏堵がいた

 柏堵が俺を見る

 俺は目を合わせて、唾を飲んだ

 俺達は柏堵の後ろにひざまずかれた


クイーンミー

「いいねー、醜いんだよね皆」

「勝手に、土足で、うちのこの素晴らしいところに入りやがって」


 美貌と口が反比例しているようだった


佳澄

「あ、あなたが、女王」

「綺麗、」


 な、佳澄?!


マスマティクサー

「さすが、、俺よりも上だ」


 マスマティクサーまで!


凛裕

「惑わされるな!あの女に」

「奴は悪女だ」


 俺がそう叫ぶが、女王はひじ掛けにひじをつけたまま固まっている


クイーンミー

「わたしのもとで仕えるなら、助けてあげようと思ったけど」

「そこの男、お前は無理だな」


 女王は俺を指差しながらそういった

 はは、だろうな


クイーンミー

「琥珀、やっちゃって」


琥珀

「、、、、」


クイーンミー

「最後に言い残す言葉は?」


 琥珀さんが剣を上に上げる音がする

 俺は合言葉を発す


凛裕

「これ以上ない敬意を英霊に払う」


クイーンミー

「ふ、」


佳澄

「いやだ!」


マスマティクサー

「凛裕!」


 迫真の演技だ、二人とも

 剣が空気を切り始める

 それじゃあ、柏堵、奇襲を、、


柏堵

「は、」


 柏堵は琥珀さんを見てすぐに走り始めた

 柏堵、一体何を!

 俺は口を開こうとした

 次の瞬間


   ズサズサズサ


凛裕

「え、」


佳澄

「なにを」


マスマティクサー

「、、、、は、」


 柏堵が琥珀さんを切り刻んだ

 理由はすぐに分かった

 断面が、金属

 この琥珀、本物じゃない!

 俺は本当に殺されかけたのか

 だとしたら!


柏堵

「、、、、」


 柏堵は俺の考えを汲んだかのように女王に向かって走り出した

 そして切り刻む

 断面は金属


柏堵

「全部鉄、」


凛裕

「て、つ、、、?」


クイーンミー

「ははははは、」

「あはははははははははは!!!」


マスマティクサー

「くっそ、、」


クイーンミー

「バカだねえあんたたちは!」

「私が柏堵という男をそのままにするわけないでしょ?」

「私はね、用心深いの」

「そして柏堵、あの時からお前の足枷はわかっている」


柏堵

「ぐっ、、、」


佳澄

「じゃあ!あなたたちはどこに?」


クイーンミー

「場所は教えられないわ」

「けどね、琥珀は私が預かってる」


 まてよ、この声はどこから!

 ああ、あの女王のクローンの中に、、スピーカー


凛裕

「ははは、(はか)られた」


クイーンミー

「柏堵、決定権はお前にある」

「貴様は強いからわかるだろ?私の場所も全部」

「今、私のことをもう一度裏切り、場所を教えるようなのであれば、琥珀を殺す」


柏堵

「、、、、、、」


 柏堵が俺等の方に体を向き直した

 俺はまわりを見る

 この場所は上まで吹き抜け、2階にあたる部分はこの空間を一周するような廊下になっている

 そして柵がある、

 は

 俺は見つけた

 俺たちにとって右側の柵からこちらを見続ける

 星森さんを


柏堵

「はは、おまえらを今から」

「ぶち殺す」


凛裕

「くそが」


 女王の居場所を割り出せ

 それしか方法がない、琥珀さんを預けられて、女王にとって都合のいい場所

 裏切られたと分かったらすぐに処理できる場所!

 すぐに処理できる、、場所?

 待て、、そんな場所

 俺の知ってるやつにある

 地下道だ!

 そこで琥珀さんを拘束して、柏堵の動向を何かしらで見ながら、裏切られたとわかったらすぐに処理できる!

 でも、どうやって星森さんに伝える?

 どうやって!


柏堵

「ふぅ、」


   グサ


 柏堵が地面に剣を突き刺し、持ち手の部分に両手を乗せた

 そして柏堵が、まわりを見る

 まて、それだと星森さんがバレ

 そしてそのまま俺らの方を見た

 あれ、俺は今確実に、柏堵が星森さんを認識したところを見た

 なのになぜ無視?


柏堵

「おまえらを」

()まみれにしてやる!」


凛裕

「は、」


 そういうことか

 柏堵!


///////////////////////////////////////////////////////


 し、しししししししよしよしょしょしょ処刑?!


星森

「え、、ええ、」


 話を聞く限り、うちが女王のところに行かないとだけど

 どこや、わかんない


柏堵

「はは、おまえらを今から」

「ぶち殺す」


凛裕

「くそが」


 やばいやばいやばいやばい

 本当に殺されちゃう、、、、、

 なんか知らない女の子も居るし、助けないと!

 (橋村先輩にも会いたいし、、、)

 でもどうやって、

 凛裕くんの荷物と思わしきものも回収したのに、

 これでどうやって


柏堵

「ふぅ、」


 ひっ!

 今、、あの兵士と目が合った

 え、、でも何も言わない

 なんで、なんで?


柏堵

「おまえらを」

()まみれにしてやる!」


星森

「ん?」


 今、血まみれにしてやる、の「ち」であの兵士の左足がトンって動いた、


柏堵

「最後の言葉を聞いてやろう!」

()澄、お前からだ!」


 かすみ、の「か」


凛裕

「まて柏堵!()うして俺たちを裏切るんだよ!」


 どうして、の「ど」


柏堵

「琥珀を救()ためなら何だってするな」


 琥珀を救う、の「う」

 まさか、「()()()()」地下道?!

 何あの連携、、すごすぎるでしょ

 いや、感心より行動!

 地下道なら侵入する時に入口がわかってる

 あの兵士と他の人達の長ったらしく引き伸ばされてる最後の言葉の時間内に行かないと

 今度こそ終わる

 行こう、、今すぐ!


///////////////////////////////////////////////////////


凛裕

「まて柏堵!()うして俺たちを裏切るんだよ!」


柏堵

「琥珀を救()ためなら何だってするな」


 これで伝えた、、地下道!

 あとは時間稼ぎときた!


柏堵

「佳澄、最後の言葉は?」


凛裕

「っぷ、」


 柏堵、喋るのめっちゃ遅くしてるのやべぇ、笑いを堪えないと


佳澄

「あれは確か、私が高校一年生だった時」


マスマティクサー

「っっっっ、、、、、」


凛裕

「っがあああ!」


柏堵

「黙れ!」


 黙るなんて無理だ、

 あれは確か、なんてもうクソ長話やないか


佳澄

「私、恋に落ちたんです、一人の、誠実な男性に」

「中学から気になってたんですけど、高校でいかれましたね」

「まっすぐで、一生懸命で、私、ずっとその人のことしか見てなかったんです」

「友達に協力もしてもらったりで、本気でしたね」

「でも結局告白もできないまま卒業、こうなるなら、告白しておけばよかったなって」

「思います」


凛裕

「、、、、」


 色々と思い出した、胸が痛い日、嬉しかった日

 そうか、俺、やっぱり、佳澄のこと好きなんだな


柏堵

「その、彼に告白するとしたら」

「なんて言う?」


佳澄

「、、、、そうですね、」

「好きですっていうのが理想ですけど」

「想いがあふれて、言葉じゃなくて行動で伝えるかもしれないですね」


柏堵

「ふっ!来世に期待するんだな」

「じゃあマスマティクサー、はいいか」


マスマティクサー

「なわ、なんでーーー!」


凛裕

「ぐっっっ、、、」


佳澄

「ふっっっ、」


 せっかく感情的になったのに、柏堵、そこでかますのは違う


柏堵

「わかった、マスマティクサー、言え」


マスマティクサー

「え、、、うーーーん、」

「なんだろうな」


凛裕

「な、、、、」


 言葉用意してないんかよ

 腹持ってかれる、腹


柏堵

「凛裕、最後の言葉は?」


凛裕

「ふぅーー、」

「これ以上ない敬意を英霊に払う」

「のは当たり前」

「こうなるくらいなら」

「好きな人に、好きって」


 言えるわけない、こんな状況になっても言えないなんて、佳澄に、

 俺は歯を食いしばった

 だが、それだけでは溢れ出る感情を止められなかった

 視界が滲む、幸せな日々を、思い返す


凛裕

「いいたかった、」


柏堵

「落ち着け、少し時間をくれてやる」


 これも、時間稼ぎになるのか

 それか、柏堵が俺の佳澄に対する気持ちに気づいて

 告白する時間をくれてるのか?

 いや、んなわけないか

 俺は滲む視界の先に映る佳澄を

 無意識に目に焼き付けた

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