英霊の日記
ガチャン!
凛裕
「はぁ、はぁ、ふぅ、」
俺はまだ存続している家たちのうちの一つに駆け込み、ドアを勢いよく閉めた
星森さんたちは無事なのだろうか
不安が募る
俺は息切れながらも家の中を探索し始めた
ギシ、、、
木でできている床板が軋む
外で吹いている風の音が家の中でも聞こえた
電気はない、家の中には分厚いテレビと古びたソファー、そして一昔前のキッチンがあった
あとは古時計と、机だ
机の上に本があった、本というより、日記と言ったほうがいい気がしなくもない
机の上にだけは電気があった、俺はそれを点けた
俺は「建国日記」と書かれた日記を開いてみた
―――――――――――――――――――――
Day 1
ラピンズ王国は新たな女王によって再統治された。
女王様は若い青年を片っ端から徴兵した。
俺もその一人となり、今日から仕えるというわけだ。
―――――――――――――――――――――
Day 2
兵士生活は思っていたほど悪くないものだった。
戦いに駆り出されることもほぼ無く、それでいて毎日の豪華な食事、寝床は欠かされない。
これほどの優遇で、経済が破綻しないのだろうか。
―――――――――――――――――――――
女王様に兵士として選ばれた青年の日記っぽいな
兵士の名前は今のところ不詳、そしてこの国の名前はラピンズ王国と言うらしい
この国の滅亡までの経緯が知れるかもしれない、あくまで俺の予想だが、
Day 3からDay 27までパラパラめくった
大きな異変はないままだった
―――――――――――――――――――――
Day 28
女王様の宮殿が完成した。
この国の中心に位置する。
―――――――――――――――――――――
Day 29
遂に俺の親友が戦いに駆り出されてしまった。
戦いに駆り出されることは名誉であると教え込まれるが、中々その考えには至れなかった。
俺には一つ心配がある。
戦いに駆り出された兵士は、今までに例外なく帰ってこないのだ。
英霊となった、と教えられるが、そんなことあるのか?
戦いに勝ったのなら帰ってくるはず。
負けたのならこの国はピンチになるはず。
だがどちらもない。
何かあるのか、?
―――――――――――――――――――――
Day 30
忙しい
―――――――――――――――――――――
Day 31
遂に俺も戦いに征くことになった。
明々後日の朝に出発だ。
―――――――――――――――――――――
Day 32
怖い
―――――――――――――――――――――
Day 32-2
あまりにも怖くて女王様に心を落ち着かせてもらおうと宮殿内を探していると、死体が積まれている部屋を見つけた
その中に親友もいた、、
奇妙なことに、目だけが抜き取られていた
俺は逃げて今に至る
明日は通常勤務
女王様に聞きたいと思う
―――――――――――――――――――――
Day 33
朝だ。
明日には行かなければならない
今気づいた
何かがおかしい
今やっと気づいた
この荒廃した国に
―――――――――――――――――――――
最後らへん、何か様子がおかしい
その後、日記は続いてなかった
俺はこの日記を持ち出そうと、机の上の電気を消した
その時だった
凛裕
「、、は、」
一部の文字が光り出した
横に小さく番号も振ってある
俺は他のページも開いた
一部の文字が光っていた
番号順に、読むのか、?
―――――――――――――――――――――
この荒廃した国に正常な住人などいない。
戦いもない。
兵士は洗脳され、女王に屈し、
目が覚めた者は嬲り殺された。
いつから錯覚していたのだろう
なぜ住人がいなくなっていっていることに気づかなかったのだろう
兵士が目玉だけなくなって死体で帰ってきた理由を知りたい
明日の朝までが猶予
それまでに手を打たなければならない
洗脳されていないものに告ぐ
すぐに、宮殿に来るのだ
これ以上ない敬意を英霊に払う
復讐の時だ
―――――――――――――――――――――
凛裕
「今日って、この日記ではいつだ、、」
「いつのことなんだ!!」
必ずしも今の時間と、この日記の時間が一致するわけではない、
もしかするとこの日記は、何年も前のものかもしれない
実際悩んでいる暇なんてないのかもしれない
空が明るくなる前に
俺は日記をカバンに仕舞い、家を出た
さっきよりも冷たくなった空気が肺を満たした
洗脳、
時間で洗脳されるのか、女王によってなのか
なぜか取られている目玉
一体誰が
滅亡の国、裏側が深そうだ
俺は周りを見た
確かに、綺麗に残っている宮殿が見える、大きい
凛裕
「行くしかない」
俺は宮殿に向かって走り出した
風に逆らうことは無かった