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エスケープ_ザ バックルームズ  作者: るんば
―第二章―《update》
34/50

七枚の絵と黒塗り絵画

大島(おおしま)

「よろしくお願いします大島 和哉(かずや)と申します」


智実

「一条 智実です」

「よろしくお願いします」


 俺は大島と名乗る医師と名刺を交換した

 そして、月島さんが意識を取り戻すまで入院していた大病院の会議室に案内してもらった

 色々と、その事故についてだとかを聞くことにした

 これは橋村さんの提案でもあるのだが、これを調べると何か役に立つのではないか、と

 そこから生存可能時間だとか、推測できるのではないか、と

 俺はあまりそういう事に詳しい訳では無いから、よく分からないが

 理人もグレちまって、これ以外に術はないと判断した


大島

「一条さん、月島 凛裕さんでしたっけ?」


智実

「はい」


大島

「少々お待ち下さい」

「資料を持ってきます」


 一分ほど待つと、会議室に戻ってきた

 いくつかのファイルにしまわれた紙が見える

 とてつもない文量だ


大島

「月島さんなんですけれども」

「この記録によると、交通事故で脳に大きな損傷を受けて、しばらく昏睡状態だったのですが」

「目覚めた時には人が変わっていました」


智実

「変わっていた?」


大島

「亡くなられたご両親の方を調べた結果、月島さんの昔の写真がありまして」

「目が緑色、そして、関西住まいだったということがわかりまして、」

「東京を旅行している時に事故に遭ったみたいで」

「それから、奇跡的に一命を取り留めましたが」

「目の色が青色、そして関西弁を話しませんでした」


智実

「目の色が変わるなんてことがあるんですか?」


大島

「それが、詳しくわかってないんです」

「目の色が変わる事はこれまでにもたくさん事例があったのですが」

「それが単なる損傷、衝撃によってなのか、」

「私の研究分野は外傷からなるものなので、その他に干渉するものがあるのかは分からないです」

「知り合いの、脳外科医の人にも相談してみます」

「その時にまた」

「お電話かけますね」


///////////////////////////////////////////////////////


凛裕

「翔琉、、いや」


 俺は道路脇にあるベンチに座りながら軍病院での出来事を思い返していた

 あの白衣は翔琉なのか、自我はもっていないにしろ翔琉だ、いや、きっと翔琉ではない、と

 翔琉だと信じたくなかったが、翔琉であったとしても色々と合点がいく

 翔琉が行方不明になったのは現実世界の時間で一年前、俺が高三の時か?

 そこから一年間、バックルーム内だと一年間より短い、長いの変域はあるだろうけど

 それだけ長くバックルームにいたら精神が狂い、あんなふうになってしまうのも理解できる

 精神が狂ってしまった人の末路

 生きるか死ぬか

 でも、希望を持つことにする

 翔琉はまだ生きている

 きっと俺がアクションすれば、また本来の翔琉が戻ってくるだろう

 そのためには、軍病院に行かないと

 俺はベンチから立った

 自分でも馬鹿らしい考えだと思ったが、翔琉を助けるためなら、と自分を騙すようにして動いた

 軍病院に戻るならさっきのダクトだ

 歩道の端っこにむき出しになっていたダクト

 俺は必死になって探した

 だが、


凛裕

「ははは、ないや」


 そこにあったはずのダクトは消えていた

 悔しさが込み上げていながらも、軍病院に戻らなくてもよくなったという安心感が襲った

 これが俺にとって良かったのか、悪かったのかはよく分からない

 俺は切り替え、アーモンドウォーターなどの物資を探すことにした



 探索中に目についたものがある

 喫茶店のようなお店だ

 佳澄が好きそうな感じだ

 雰囲気も良く、この町が現実世界のもので、栄えていたら俺は入っていただろう

 ただ、ここはバックルームで、しかもお店の中を覗いてみると、顔のないエンティティが居ることがわかった

 心底びっくりした、普通に怖いし

 そののっぺらぼうは店員さんで、子供ののっぺらぼうはキッズスペースのようなところで遊んでいた

 だから何って感じだが、このレベルの紹介がてらだ

 次に行こう

 今俺は、でっけえ美術館の中にいる

 芸術を楽しむスペースで"でっけえ"という言葉を使うのが正解なのかはわからないが、"現代アート"として受け取ってもらうことにしよう

 下の階から見ていくと、七枚の絵が横に並んでいるところがあった

 その区間だけなぜか雰囲気が違う

 タイトルは左から

 【戦地】

 【廃学校】

 【滅亡の国】

 【モノクロと嘘】

 【盲目線路跡】

 【静寂の街】

 【力で支配されし神殿】

 俺はふと足元を見た

 そこには日記があった


凛裕

「おん?」


 日記、、?日記、

 日記?!

 俺は爆速でその紙を拾い上げた

 目をかっぴらいてその文字列を読み始めた


―――――――――――――――――――――

7


最初の頃は、この美術館について良くわからなかった

上の階にある完全に塗りつぶされた一枚の絵

そして、ここにある七枚の絵

私は七枚のうち一番左の絵を触ってみた

すると吸い込まれるように絵の中に入っていった

私はそのレベルのボス的存在と戦い、勝った

そしてこのレベルに戻ってくると、黒く塗りつぶされていた絵の一部分があらわになっていた

そして、文字も一文字、見えるようになっていた

七枚の絵を制覇して、一枚の絵を完成させる

そういうことをするんだなと確信した

黒く塗りつぶされた題名は七文字

ここの絵は七枚

偶然とは思えない

私は今から廃学校に入ろうと思う

―――――――――――――――――――――


凛裕

「は、」


 色々と気になる部分はあるが、この日記

 ()()()()()()()()

 誰か断定できない

 まじか、と思いながら俺は一枚の絵を確認しに行くことにした

 上の階に来た、俺はすぐにその一枚の絵がどれのことかわかった

 一部分だけ黒塗りがなくなっている絵

 そして、題名

 【●●●●っ●●】

 紙の通りだ

 黒塗りが無くなった部分から白黒のような背景が少しだけ伺えた

 なるほど

 つまり俺のやるべきことは

 俺は下の階へ戻り、日記の中の人が入ったであろう絵画を触った

 指がすり抜ける

 俺はそのまま

 廃学校に侵入していった

・「、」

…縦に並べて時間の経過を表す。

多いほど時間の経過は長くなる。


・「///////////////////////////////////////////////////////」

…一人称視点の人物変化時に使用する。


・「―――――――――――――――――――――」

…データ、省略。


・「……………………………………………………………………」

…回想シーンと現実の切り替え時に使用する。

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