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エスケープ_ザ バックルームズ  作者: るんば
―第二章―《update》
33/50

エンドレスコネクション

・「、」

…縦に並べて時間の経過を表す。

多いほど時間の経過は長くなる。


・「///////////////////////////////////////////////////////」

…一人称視点の人物変化時に使用する。


・「―――――――――――――――――――――」

…データ、省略。


・「……………………………………………………………………」

…回想シーンと現実の切り替え時に使用する。

神矢

「はあ、」


佐野

「、、、、、」


凛裕

「、、、、」


 さっきの悲惨な現場から少し移動し、少し広めのこのダクトで、俺達は座って背中を壁に寄りかからせていた

 谷さんも、井伊さんも犠牲になってしまった

 佐野さんがすべての荷物を受け取っていたようで、報告書を送ろうと思えば送れる状況だった


佐野

「谷さんは、?」


神矢

「英は、すぐ、るは」


凛裕

「奴に殺されました」


佐野

「そうなの、、」


神矢

「月島、」


 隊長が俺の方を向く

 俺はまぶたをパチパチさせて意思を伝えた

 俺は嘘をついた

 決して、隊長が悪いわけではない、

 あの緊張する瞬間で冷静に行動ができる方が珍しいのだ


佐野

「三人だけになったね、」

「でも、ツッキー、来てくれてありがとう」


凛裕

「つ、ツッキー?」


佐野

「私だけでしょ?そう言ってるの」

「だから、今からツッキーって言う」


 悪くはないけども、あまり慣れない感じだ


凛裕

「なんで、来てくれてありがとう?」


佐野

「ツッキーが来てくれなかったら、私たちは一生あそこにいたか、死んでたか」

「それしか無かった」


神矢

「、、、、」


 隊長は片膝を立てて、そこに腕を置き、下を向いたままだった


佐野

「ツッキーが生きててよかった」

「M.E.G.のモットーは、放浪者保護」

「だから、ツッキーだけは死なせたくなかったんだ」


凛裕

「ありがとうございます」


佐野

「さ、どうしようね」


凛裕

「ダクトは、どこかを押すとたまに開くところがあります」

「そこから安全なレベルに脱出できると思います」


佐野

「もしかして経験者?」


凛裕

「はい、これで二回目です」


佐野

「なんだか、私たちより詳しい気がするね」


凛裕

「いえ、友達がいて、その二人が詳しくて」

「それで助かりました」


佐野

「そうなんだ」


 ただ、一つ気になることはある

 佳澄が"楽園"と言ったあの軍病院、確かに、今は楽園になっているかもしれないが

 俺たちが彷徨ったのは高校二年生の時、楽園に切り替わったのは一年前くらい

 俺たちが初めてバックルームに来た時に、楽園に彷徨ったというのは考えづらい

 たしかに、現実世界とバックルームの時間軸が一定で同じというわけじゃないということを加味すれば

 ありえなくはないのかもしれないけど

 ああ、もう一度佳澄に確認したい

 俺は耳にはまっている通信機を触った

 やっぱりもう動作などしていない


佐野

「なに?それ」


凛裕

「これは、政府の放浪者救出作戦で、仲間と通信をつなげるために着けてたものです」

「もうつながらなくなってしまいましたが、」


 しばらく沈黙の時間があった

 そして、隊長が沈黙を破った


神矢

「もう行くぞ、このままここにいても、死んじまう」


 ガンガンと音を立てながらほふく前進で前へと進む

 俺と佐野さんは隊長について行った

 その最中に、いろいろと考えが巡った

 谷さんと井伊さんの死

 死をこれほど目の前で、感じたことはなかった


神矢

「あ、」


佐野

「おお!」


 暗いダクトに急に光が入ってきた

 隊長の方をよく見ると、ダクトの側面が開いていた

 その先からは地面が見える


佐野

「もしかしてここ」


 その言葉を合図にしたかのように、隊長はすぐに外に出た

 佐野さんも外へ、俺はその二人について行った

 出た先は、アメリカの都市から人だけがいなくなったかのような場所だった


神矢

「エンドレスコネクション、」


凛裕

「なんですかそれ」


佐野

「M.E.G.ではここのレベルのことをそう呼んでる」

「このレベルは他のレベルとのつながりが大量にあるから、経由地点としてかなり使われるんだよね」


 このレベルからトンネルへ帰ることも可能らしく、トンネルへつながる扉まで案内してもらった


佐野

「ここに入ればトンネルに戻れる」

「本部に保護される」


 一つの大きいビルのオフィスの中にある一つの扉だった

 ここに入れば、保護されるのだそうだ


佐野

「保護されたら、ほとんどの場合は隊員になる」

「そこから放浪者に戻るのは危険だから推奨されてない」

「どうする?」


 俺は少しの間迷った

 このまま脱出を望むのなら、放浪者のまま

 だけど、隊員になれば食料も困ることはない、安全と言えば安全だ

 俺は、俺は、


凛裕

「放浪者のままでいいです」


佐野

「そう」

「じゃあしばらくお別れだね」


凛裕

「はい」


佐野

「じゃあね、また今度!」


 そう言って佐野さんはドアノブに手をかけた

 佐野さんがトンネルに入り、扉が閉まった頃


凛裕

「隊長、入らないんですか?」


神矢

「、、、いや、入る」

「その前に」

「これ」


 そう言って隊員証のカードのようなものを手渡してきた

 そこには隊員No.324 谷 英と書かれてあった


神矢

「英の証明書」

「IDカードみたいなものだ」

「英が最後にころんだ時に落としたんだ」

「俺が殺しちまった、きっと()()()()

「でも、月島、月島にお世話になったところがあるはずだ」

「このカードを使えば、M.E.G.の管轄下にあるエリアの一部に入れる」

「きっと役に立つと思う」


凛裕

「、、、、、、」


 俺はそれをポケットの中にしまった


神矢

「ありがとう」

「無事でな」


 俺は隊長と握手をし、隊長はドアからトンネルへと入っていった

 俺は銃とバール、縄をバッグの中にしまったままであることを忘れていた

 エンドレスコネクション、きっと他の皆もここを経由してくる

 俺はそれを信じて、そのドアに背を向けた


EsCaPe_thE backroomS

〜ver.2.0〜《Update》

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