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エスケープ_ザ バックルームズ  作者: るんば
―第二章―《update》
27/50

旧:Level14 軍病院

凛裕

「綺麗だわ」


佳澄

「でしょ?」

「私もたぶんそこに行った」

「橋と、雲と、空だけ」


凛裕

「そのとおりだ、よかった、ここのレベルの経験者がいれば安心だ」


 地面はない、空中に浮いた橋が無数にあって、雲と距離が近い、そして何より、澄んだ青空だ

 俺は少し気になることがあった


凛裕

「佳澄、橋のところどころで横たわってる人たちは?誰?」


佳澄

「ああその人たち?」

「私もよく分からなくて、その人に話しかけてみたんだけど」

「返事がなくて、というか、人間としての何かを感じないと言うか」


凛裕

「まあわかった、じゃあ、気にしないで探索するわ」

「これから、どうすればいい?」


佳澄

「私はその橋の横からしたに飛び降りたよ」


凛裕

「と、飛び降りた、よ?」

「なんで」


佳澄

「その時と私は精神的に狂ってたから、そうするしかなくて」

「そしたら、楽園ってところに着いた」


凛裕

「楽園、?」


佳澄

「うん」

「まず、飛び降りてみて」


凛裕

「え、でも」


佳澄

「それとも、ずっとそこにいたい?」

「そしたら月島くんもその人たちみたいに生気がなくなるかもしれない、それは嫌だ」


 こんなにはっきりと、

 俺はそれならと、橋の横の上に立ってつばを飲み込んだ


凛裕

「行くよ?」


佳澄

「うん」


 俺は足に力を込めて橋を蹴った

 そして空中に放り出された

 みるみる落ちていく、浮遊感に包まれる

 感じていた恐怖も増加していく

 するとそれに反応するように、空の色が変わっていった

 暗く、暗く、そして

 真っ黒になった

 ただ、それは景色が黒いのではなく、自分が瞼を閉じているだけだということに気づいた

 俺は無くなった浮遊感に安心し、ゆっくり瞼を開ける

 ベッドの上だった


凛裕

「佳澄、着いたよ?」

「なんか散らかってる」

「佳澄ー、着いたぞ」

「、、、、、佳澄?」


///////////////////////////////////////////////////////


理人

「話し合いの予定所要時間を過ぎましたので、最終決定に参りたいと思います」

「方法は投票制、前にあるボックスに賛成、反対が書かれた紙を入れてもらいます、そして過半数で決めます、異議は?」


智実

「、、、、、」


 この話し合い、俺なりに頑張った

 この大失敗、これによって生まれてしまった犠牲を覆い隠すなど人間として良くない

 皆、正義のために、動いてくれ

 この広い空間に約500人が入っている

 誘惑に、負けるな


理人

「それでは始めます」

「まず、こちらの列から、、、、」


   《30分後》


理人

「集計が終わりましたので発表します」


 お願いだ


理人

「情報を開示するべき、こちらは24票」


智実

「え、?」


理人

「もう一方、情報を隠すべき、こちらは476票」


智実

「、、、は?」


理人

「これにより、情報は公に出さないということが決定いたしました」

「本日の会議はこれにて、、、」


智実

「まて!おかしい」


理人

「なにがだ?」


智実

「そんなの、おかしいだろう!」

「皆!良心を忘れたのか!」


 俺の声はこの広い空間に響いた

 24人、私含めた隊員の数のみら他の人達は皆、この理人という男を慕っているからなのか?


理人

「時間の無駄になりますので本日はこれにて終了です、皆様、お疲れ様でした」


智実

「理人!!」


 俺のこの一言に皆がざわついた

 俺は構わず理人に掴みかかろうとした、しかし


ガード

「何をしているんだ!」


 複数人のガードに取り押さえられた


理人

「、、、」


 理人は無表情で俺を見た


智実

「これが多数派なのか?!」

「正しさを覆い隠し、自分に嘘をつき、大衆にも嘘をつき!」

「これが正しさなのか!!」


 俺の声は何故か響かなかった

 続々と人は私を睨みながら空間を出た

 私は正しさを覆い隠す複数人の力に抗えなくなっていった


///////////////////////////////////////////////////////


凛裕

「、、、、か、すみ、、」


 これで何回目だろうか

 病院の独特な香りが漂うこの場所で俺は聞こえなくなった佳澄の声を求め続けた

 しかし、佳澄の声はおろか、通信がつながりそうな音すらもしなくなった

 俺はこの場所を見渡す

 複数のベッドは荒れていて、点滴の袋が破れて液体がポタポタと垂れていた

 荒れきった空間の所々に血痕が残っている、壁の抉れた傷も生々しく見える

 天井の蛍光灯は割られていて、破片が床に散らばっている

 そしてふと、深く呼吸をしてみる

 するともろに嗅覚に気持ちの悪い刺激臭が突き刺した

 人間の生気を感じられない空間だ、そう感じた

 窓際を見ると、カーテンがところどころ破れていることに気づいた

 そのカーテンも薄く、頼りない

 やつれきったカーテンは開いていて、そこから外の景色が見える

 見える範囲もそう遠くなく、少し先で灰色の壁が遮っていた

 空色は灰、今の時間が明るいのか、暗いのかの判断がつかなかった

 暗い部屋を明るくするのは窓から差し込む灰色の光だけ、それが太陽の光かも、月の光かもわからない


凛裕

「かすみ」


 俺はもう一度問いかける

 それでも返事はない


凛裕

「まあ、佳澄もここに着いたのかもしれない」


 見た目は病院っぽいが、佳澄が言っている楽園なのかもしれない

 佳澄が出れたということは俺も出れるということだ、きっとね

 俺はベッドから起き上がった


   パリ、シャリ、


 歩くたびにこの音が鳴る、割れた蛍光灯が地面と擦れ、割れる音だ


凛裕

「、、、、」


 恐ろしいくらいの静寂、何者かがいるということはあまり考えられないほどだ

 俺は病室の部屋のドアを開けた

 すると病院の廊下らしきところに出た

 依然として、廃病院に近いような見た目をしていた


凛裕

「誰かいますかー?」


 声は響くだけ

 誰もいなそうだ

 こんな場所に孤独でずっといたら気が狂っちまう、そう思い俺は足早(あしばや)に動き始めた

 少し肌寒い、この病院の何処かに穴が空いているように思える

 聞こえるのは自分の息だけ

 吸うたびに異臭が突き刺してくる

 歩いていると、一つのヘルメットを見つけた

 緑色、軍隊のものだろうか

 だとすると、軍の病院な気がしてきた

 これが、楽園なのか?

 佳澄はこんなに静かな空間で一人で?

 ああくそ、なんで脱出経路を聞かなかったんだ俺、ばかたれが、

 その時だった


   コン、コン、コン、


凛裕

「はっ、」


 何処かから足音が聞こえた

 その瞬間に俺の鼓動は早まった

 苦しい、痛い

 俺は音のする方を向いた、廊下の向こう側まだ姿はない

 突き当りの分かれ道の方にいる

 そして確実にこちらに来ている

 俺は近くの部屋の中に隠れた

 この部屋も俺がさっきまでいた部屋ににていた

 少しばかり崩壊して、いたるところについている血痕、暴れたあとのような形跡

 俺は気にせず部屋の中で扉の前にいた


  コン、コン、


 しばらく経つとすぐ前にいるかのような音の大きさにまでなった

 俺は静かに唾を飲む

 そして、興味本位で扉を少し開いた

 その隙間から音の正体が見えた

 白衣を着ている、俺と同じくらいの身長で、特徴といえばそれだけか?

 服が汚れている様子もない

 俺は離れていく彼の姿を見続けていた

 すると


   ゴン


凛裕

「は」


 俺は突然鳴った音にびっくりして後ろを向いた

 確実に部屋の中で鳴った

 そしてそれが何なのかすぐに分かった

 移動式のベッドが少しずつ動いていた

 一体なんでだ、?そんなこと、あり得


   ゴン!


凛裕

「うっ!」


 いや、気のせいじゃなかった

 ベッドが独りでに動いて暴れている

 幽霊か?なんなんだ?!

 俺はあまりの怖さに気づかないうちに声を出していた

 ふと我に返って扉の外を見る

 するとそこには


凛裕

「うああああ!!」


 扉の隙間でちょうど俺と同じ高さのところに彼の顔があった


??

「ふふ、」


 黒い仮面をかぶっていて誰かわからないが、確実にやばいだろうこれは

 俺はかれから離れるように後退りした

 しかし、


   ドッ、


凛裕

「いたっ!」


 足が激しく動くベッドに当たり、俺は転んだ

 尻餅をつき、あまりの痛みに動けないでいた

 すると彼がこちらへ近づいてきた


凛裕

「やめてくれ、やめろ」


??

「具体的に、どこを?」


 そう言いながら彼は注射器を取り出した

 透明な液体、捕まったら


??

「動くなよ?」


凛裕

「うおおおお!」


 終わる!

 俺は奴に対してタックルをかました、そしてそのまま扉を突き破った

 奴は床に転び、俺は奴に背を向けて廊下を走った

 絶対に追いつかれてはいけない、奴は只者じゃない、殺される

 一体ここは危険度いくつなんだ?レベルいくつなんだ?佳澄はどうやって脱出したんだ?

 俺はそう考えながら階段を駆け下りた

 正面玄関から出れば逃げれるだろう

 そういう考えだ

 長い廊下を人生で一番早い速度で走った、そんなような気がした

 後ろからは追いかけてくる足音が聞こえる

 コンコンコンコンと、

 決して遠くはない

 俺はついに正面玄関を見つけ出した

 その玄関のガラスから外の景色が見える

 良いとはいえないが、奴に捕まるよりマシだ

 俺は玄関を開けた

 が、絶望しか待っていなかった

 さっきまで見えていた景色が無かった

 玄関を開いた瞬間、真っ黒い闇しか見えなくなった


凛裕

「嘘だろ」


 しかし俺は勢いのまま開けたがために

 そのまま暗闇に体が入っていった

 その時だった


   パシン


 何者かによって手を掴まれた

 俺は肝一発で助かった

 いま、俺の体はちゅうぶらりん、命綱はこの手だけだ

 俺は手の先を見た、その人は白衣の、奴だった


??

「逃さねえよ」


凛裕

「やめろ!」


 奴は注射器を俺の掴まれた手の甲に思い切り刺した

 あまりの痛みに俺は叫んだ


??

「ふふふ、ふははははは、」

「面白いね、君」


凛裕

「ふぅーーー、ふぅー、」


 不思議と痛みは引いてきた

 いや、痛みだけじゃない、身体中の感覚が鈍くなっていった、

 奴は俺を病院の中に引っ張り上げた

 病院の天井が視界に広がる、体の感覚はほぼ無い

 俺は奴に足を掴まれ、病院の中を引っ張るように運んだ、痛みはないが、そのせいで破片が体に突き刺さってくるような感覚がした

 感覚がなくなっていく末に、眠気が来た

 麻酔だ、絶対に、

 寝ては、だめだ

 絶対、ねては、だ、、、

 め、


??

Military(ミリタリー)、君の心臓が」

「軍を強くしてくれるよ」

「なんて誉れなことなんだ」

「君は、、選ばれたんだよ」

()にね」

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