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エスケープ_ザ バックルームズ  作者: るんば
―第二章―《update》
26/50

Level0.125 ダクト

記者

「現在バックルームの調査中ということですが進捗は?」


理人

「だいぶスムーズに進められております」


記者

「あとどれくらい行う予定でしょうか」


理人

「あと一時間ほどで撤収という予定になっております」


智実

「代表!」


理人

「智実、どうし」


智実

「とにかく急いでこっちに」


理人

「すみませんこれで失礼します」


記者

「もし計画が失敗したらどのような対応を取るのでしょうか!」


 記者のカメラのシャッター音が激しい

 フラッシュも同様だ

 俺は智実に呼ばれ、その場所を離れた

 バックルーム調査の実行場所である地下の通路に向かいながら智実から用件を聞く


理人

「どうしたんだ智実」

「今忙しいんだ」


智実

「失敗した」


理人

「、、、、、、は?」


智実

「失敗したんだ!」


理人

「ど、、ういう?」


智実

「月島が襲われた」


理人

「嘘だろ、、?」


 責任、、責任、、どうするんだ俺


智実

「お前の思惑は見えてる」

「どうせ理人のことだ、自分のことしか考えられてない!」


 そういうと突然掴みかかってきた


理人

「ちょっと待て智実!」

「それは早まりすぎだ!」


智実

「そんなんじゃない!」

「俺は、俺なら、自分なら自分のせいにして、責任を負う、お前は違うのか!?」


理人

「責任から逃れられない!どうしても」

「そもそも心が読めすぎだ!」


智実

「知らねぇよ!」


理人

「たしかに月島さんのことは残念だけども、」

「それでも、科学というのは犠牲の上に成り立つものだ」


智実

「なんだ?言いたいことは、犠牲はしょうがないってことか?」


理人

「そうだ、そして、お前はいくら学生時代の友達だったとは言え、今は俺のほうが立場が上だ、身をわきまえてくれ」


智実

「さっきまでそんなこと思っていなかった」

「それも犠牲の話と一緒だ、俺から逃げるための口実でしかない!」


理人

「ならどうしろって言ってんだよ!!」

「なんだ?責任をしっかり負えってか?あ?」


智実

「責任論に固定されてしまっているうちは無理だ、」

「俺は最初からそう見えてた、彼が、月島が内心本当は調査に関わりたくなかったということが!」


理人

「だからなんだ、それは彼の選択だろう?俺には関係ない」


智実

「立場を理解していないのはお前だ」

「実際、二人が犠牲になった、月島だけじゃない!凪原もだ!」

「まだ若い二人を!お前が提示した計画でなくし!そのうえお前は逃げようとしてる」

「恥ずかしいと思わないのか?なあ!」

「俺は、責任者の一人だ、正直に、人々に情報を開示する」


理人

「まってくれ!それは、お前は自分のことを考えなさすぎだ!」


智実

「お前は!、人のことを考えなさすぎだ」


理人

「わかった、わかったから、明日までにこの調査の関係者を会議室に集める、というか、講義室だ、そっちの方が広い」

「そこで情報開示の取り決めをする」


智実

「、、、受けて立とうじゃないか」


 そして智実は手を離した

 俺に背中を向け、一人で地下を進んでいった


///////////////////////////////////////////////////////


 あのーいつ終わるんこれ

 あまりにもダクトが長過ぎる

 しかも体が痛いという足枷つき

 終わってるも同然


   グゥーーーーー


凛裕

「ああ、」


 お腹は空腹であるということを必死に叫んでる

 アーモンドウォーターもない、

 このまま暗闇の中進むのは精神的に狂わされる

 どうにか、

 お願いだ、もう少しで出口があってくれ


   ガンガンガン


 ほふく前進で、しょっちゅう腕や足がダクトの床に当たり、音が鳴る

 はじめは気にならなかったが、暗闇で何も見えない分、音に敏感になってきた

 ダクトは広くない、人ひとりが真っ直ぐ入ったらスペースは限界

 そのせいで思うように身動きが取れない、可動域が人為的というか、環境で制限されてしまっている

 だめだ、このまま進んだらきりがない

 一度仰向けで休むか、

 俺は感覚を頼りに、地面に背中を向けるように体を捻った

 だが、


凛裕

「は、どうなってんだこれ、」


 いくら体を反対向きにしても体は胸の方向に引っ張られる

 見えないから失敗してるのか?

 次から、失敗しないようにダクトの壁を触りながら反対向きにすることにした

 すると、


凛裕

「おえ、まってきっしょ、」


 しっかり上に向こうとしてるはずなのに、重力の向きが変わらない

 どうなってんだ

 もしかして、と思い、俺は横向きになろうとした

 すると、案の定


凛裕

「蜘蛛かよ、」


 横向きでも胸の方向に引っ張られ続けた

 このダクト、四方に重力が働いてる

 しかもダクトの中にいる人の向きを認識して重力を一つの方向に絞ってる

 意味がわからない

 仰向けでは休憩できない

 うつ伏せだ、それがいい


凛裕

「ふう、」


 俺はうつ伏せで休むことにした

 だが、ダクトの狭さとうつ伏せによる肺の圧迫、内臓の圧迫が息苦しさを助長させてきた

 くそったれだ

 なんで同意したんだ俺

 星森 優依がほんとにまだ生きてるかもわからないこの状況で

 生きていても、この紐の長さで捜索範囲が足りるわけがない

 合理的じゃない


凛裕

「はぁ、」


 疲れが来た

 奴との戦いでの疲弊か、

 無意識のうち、俺は何やってたんだろうな

 奴とどう戦ってたんだろうな

 もう十分だ、そろそろ動こう

 俺は腕を立てて体を起こそうとしたが、

 ああ、体が動かない

 体力がつきそうな状態で動きを止めたのが凶と出た

 マラソンでずっと走っていたのに途中で疲れて歩いたら足に疲れが余計にたまってしまった、のようなものだ

 俺は頬をダクトに当てた

 ダクトのこの金属のひんやり感が気持ち良い

 このままでもいいかもしれない

 通信も途切れた

 二人は助かったのかな

 何も考えるな、何か考えると生きたくなっちまう

 これが成り行きだ、逃れられない

 このまま、このまま

 俺は目を閉じた

 眠りにつこう

 時に、諦めたほうが良いことがある

 深く、深く潜れ

 それが正しい道だ

 きっと、きっと

 きっと


男1

「きっと、きっと!」


 あ?

 誰かの声が聞こえてくる


男2

「なんだ?負け犬が」


 もう一人だ、誰だ、


男1

「復活ですら及ばない、永遠の力を無秩序のお前が得ようとするな!」

「いずれその力は全てを破壊し、お前をも破滅させるだろう!」


 怒り狂ったような声で男がもう一人に対して叫ぶ

 一体どんなシチュエーションなんだ?


男2

「それが最期の言葉か?」


男1

「秩序の破滅を続けるのなら、俺が復活され、そして復活させ、お前を消すだろう!」


男2

「命乞いご苦労さん」

「じゃーね」


 不思議と、情景が浮かんでくる

 月が見えない夜空の下、一人の男が今


男1

「そのつもりなんだな?、覚悟しとけ、ブラン、、、」


 言葉の途中で、息絶えた

 息、絶やされた

 何を見せられてるんだ、俺

 映像は妙にリアルだし、でも、台詞の一つ一つは現実味がないと言うか、

 ああ、目が覚めた

 その男は、最後まで死に足掻いた

 いや、死じゃない、その男だ

 ここで死ぬことを選ぶのは違うのかもな、

 ああ、どうすれば、

 その時だった


   ズズズ、、、


凛裕

「え、嘘!」


 通信音がする


凛裕

「お願いだ!繋がれ!!」


 俺は強く願った

 眠りを耐えてこぎつけた最後の希望だ


凛裕

「繋がれ、、繋がれ」

「お願いだ」


 すると、


佳澄

「月島くん聞こえる?」


///////////////////////////////////////////////////////


一条

「お願いだ!通信機の接続を切らないでくれ」


 理人との口論のあと、私は現場に戻った

 明らかに皆の気が落ちていることが空気からわかる


技術士

「ですが、つなげても我々のところまで通信は来ないと思われます、」


一条

「なんでだ?遠いからか?」


技術士

「まったくその通りです」


一条

「もし、凪原と月島の位置が近かったら、その通信はつながる可能性はあるか?」


技術士

「そういう条件ですと、繋がるかと」


一条

「それじゃあ通信の切断は控えてくれ」


技術士

「でも可能性は低い、一体なぜ」


一条

「おそらくバックルームで一番怖いのは孤独だ」

「人間の精神が狂うと簡単に死に追いやられる」

「そんな時に仲間同士で通信がつながったら気が楽になるだろう」

「確率が低いのは重々承知、だが少しの希望があればやるに越したことはない」


技術士

「わかりました、各セクションにも指示しておきます」


一条

「ありがとう」


///////////////////////////////////////////////////////


凛裕

「が、ガチ?」

「マジモンの佳澄?」


佳澄

「そうだよ、マジモンの佳澄」


 それ、がーーーちーーーー?!

 ちょーーー安心したんですけど


佳澄

「今どこ?私はまだLevel0なんだけどさ」


凛裕

「俺はよくわからん」

「Level0にから繋がってたダクト進んでる今」

「さっきから進んでるのに出口につかなくて」


佳澄

「まって私そこ行ったことあるかも」


凛裕

「まてまて有能すぎやしないか?」


佳澄

「ループしてるからね」

「たぶん、ダクトの横とか開くところがあるはず」


凛裕

「おっけーやってみる!」


 俺は言われた通り、横の壁を触りながら進んでいった

 それでも中々見つからない

 まあ、だいぶ進んじまったからな

 その時だった


   んーーー、んーーーー!


 通信機から声が聞こえた

 女性?佳澄の声っぽいけど、


凛裕

「佳澄ー、なんかあるのか?」


   、、、、、


 返事がない


凛裕

「佳澄ー!何があった!」


   、、、、、


凛裕

「佳澄ー!そこに誰かいるのか?!」


佳澄

「ああごめんごめん、ちょっといろいろあって」


凛裕

「いろいろって?」


佳澄

「そのー、人がいたから」


 なるほど、だからさっき、んーーー!って声があったのか、佳澄じゃなかったな

 取り敢えず安心したと同時に、


   ギギギ、、、


 ダクトが開いた


凛裕

「よっしゃ!、」


佳澄

「開いた?」


凛裕

「うん、なんかね、青空が見えるわ、んで足元に地面」


佳澄

「そうそこ!私もそこに行った」


凛裕

「じゃあ安心だな」

「行くわ」


佳澄

「うん、気をつけてね」


 俺はその空間に足を入れた

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