新境地
なんだろう
いつもよりもカーペットが湿っている気がする
俺はしゃがんでカーペットに人差し指を押し付けてみた
今までよりも明らかに多くなった水分量がこの指先だけでわかる、
俺はとあることを思い出した
前回迷い込んだとき、確か、優駿さんが、、、?言ったのかな、バックルームが成長を遂げているかもしれない、もしくは遂げていると言っていた気がしなくもない
完全に抜き出せているか、怪しいが、これだけの内容は言っていただろう
俺は通信機越しに風間さんに報告をする
凛裕
「バックルームは変化し続けている可能性が高いです」
風間
「なるほど、ちなみにどの状況から判断を?」
凛裕
「それについて他の二人にも確認を取りたいです」
風間
「了解した、3人の通信をつなぐ」
「OK、通信つなげました」
凛裕
「ありがとうございます」
「優駿さん、佳澄」
優駿
「なんだ?」
佳澄
「はい」
凛裕
「カーペットを触ってくれないか?」
佳澄
「また舐めた?」
凛裕
「舐めてないわ」
「前よりも湿ってる気がする」
優駿
「たしかに、」
佳澄
「ってことは、やっぱり?」
優駿
「変化か、」
凛裕
「ありがとう、事実確認取れました風間さん」
風間
「了解した、結論を求める」
凛裕
「前回迷い込んだ時と今回のカーペットの湿り具合から、バックルームが変化し続けている可能性が高い」
風間
「なるほど?」
優駿
「壁抜けなどが通用しなくなってしまう可能性も懸念していただきたい」
風間
「了解した、各セクションにも伝え、放出するエネルギー量の調節をする」
凛裕
「ありがとうございます」
風間
「しばらく通信はそのままにする、また情報があれば伝えてください」
凛裕
「はい」
やっぱり懸念点、脱出できなくなることがあるかもしれない
そして、捜索範囲も限られてる、紐の長さに限りがあるし、その直径と少し、あと視界でしか捜索できない
あと、星森さんがLevel0にいるとも限らない
そんなこと言ったらって感じはするが、うん、、
優駿
「二人とも」
凛裕
「はい!」
佳澄
「はい」
あっかんくっそビビった今
急に来るから、、
優駿
「よかった、二人とも急に静かになるから」
佳澄
「全然無事です!」
凛裕
「いやいや、優駿さんは心配性ですね、ははは」
優駿
「まあ、な」
「俺が二人を誘ったんだ」
「俺が見捨てるわけにもいかないし、二人がいなくなっちまったら俺が全責任を負う、つまり」
「二人を誘った俺が悪いからな、」
「何としてでも守りきらないといけない」
優駿さん、
そこまで考えてたんだ、、
優駿
「まあでも、こんだけ安全網が敷かれてる」
「ここは政府の人たちを信じて動こう」
凛裕
「わかりました」
佳澄
「了解しました!」
恐怖心も何も考えるな、安心だ、命は保証されてる
今は、優駿さんの望みどおりに星森 優依を探すのみ、ただそれだけ考えればいい
風間
「すまない、記者の方々が来てる、一度退出する」
「その代わり、副代表の一条くんに交代する」
優駿
「わかりました」
一条
「ただいま交代しました一条 智実と申しますよろしく、えーおねがい、いーします」
佳澄
「よろしくお願いします」
すごい、体がごつそうな感じの声と名前だ
一条
「一応、筋トレはしてるんですよ」
凛裕
「ん?」
優駿
「急にどうしましたか?」
そう笑いながら優駿さんが言う
俺、たしかにごつそうだとは思ったけど、
声に出てたか?
一条
「印象付けというか、そんな感じだ」
佳澄
「なるほど、おかげでめちゃめちゃ今脳裏に声がこびりついてます!」
褒め言葉なんかそれ?
一条
「あはは、これはどうも」
褒め言葉なんか
なんだ、偶然心の中と一致した答えが返ってきただけか
たまにそういうこともあるよな
例えば、最近初めて知った言葉があって、へぇ〜ってなった言葉が次の日からは普通にテレビで聞くようになるっていう
その一種かな
凛裕
「ふっっっっ、、、、」
急に紐がお腹を縛り付けるほどきつくなった
気にせず進もうとする
ただ、気にする気にしないの話じゃ無かった
凛裕
「紐が足りなくなった」
優駿
「え?早くないか?」
佳澄
「私はまだ、」
一条
「それだと、、」
「もう紐はない」
優駿
「凛裕、一度戻って他の道を探索してくれないか」
凛裕
「わかりました」
俺は少しずつ引き返して、違う道に進もうとした
その時だった
人がいる
背中だけだったが、たしかに人だ
ただ、男の人な感じはする
星森さんではないと思う
凛裕
「男性がいる、接触してみます」
優駿
「気をつけて凛裕」
一条
「了解した」
「各セクション、緊急時に備えて準備を」
俺は早速話しかけてみた
凛裕
「すみません」
??
「、、、、、、、」
凛裕
「あのー」
??
「、、、」
男は背中を向けたまま、無言だ
優駿
「返事は?」
凛裕
「ないです」
俺はゆっくり近づきながらそう言った
その瞬間だった
凛裕
「ぐっ!、」
ドゴオオオォォォォーーーン
優駿
「凛裕!」
佳澄
「月島くん?!何があったの」
いきなり殴り飛ばされ、壁に強く打ち付けられた
体が痛くて動かない
明らかに、人間ではない
力がおかしい
おかしい
凛裕
「たすけ、エンティティだ!」
一条
「エンティティ!エンティティ!」
「至急、ロープを引く!」
壁の破壊による砂ぼこりで、視界が遮られてる
奴がどこにいるのか、わからない
ズズズズズ
紐が引っ張られ始めた
よかった、これで取り敢えず安心、、
凛裕
「あ?」
引っ張られる動きが止まった
なんでだ
すると視界がひらけてくる
そこに、思いも寄らない景色があった
奴が、紐を掴んで
太い紐を、
ちぎった
凛裕
「い、いい!一条さん!」
「紐が!紐か」
「ぐっ、!」
今度は蹴り飛ばされ、遠くの地面に背中をぶつけた
ちぎられた紐は俺の腰に巻き付いたままだ
一条
「紐がなんですか?ひ、、、、も、、」
通信が切れる音がする
凛裕
「嘘ですよね」
「皆!」
その声は届かなかった
ただ、Level0に響いただけ
奴は近づいてくる
俺は、俺は
俺は腕で視界を隠し、どっか行ってくれと願った
次に目を開けた時には
俺は立ち上がっていて、奴はよろめいていた
凛裕
「は?」
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一条
「くそ、、通信が!」
「ロープを、引き上げろおおおおおぉぉぉ!!!」
隊員
「はい!」
お願いだ3人とも、
理人は何をやってるんだ!
くそ、、ロープの引き上げが遅い!
隊員
「隊長!これじゃあ!」
一条
「うおおおおおあああああ!」
俺は隊員のもとへ行き、三本のうち真ん中のロープを選んで引っ張った
月島 凛裕のロープ、ロープがどうなったんだ
自衛隊長、副代表として!責務を!
だが、おかしかった
ロープが軽い
なぜだ
なぜ
だ
俺は引っ張り終えて目の当たりにした
乱暴に千切られた
ロープの先端
一条
「、、これは、、」
心の内が見えた、
彼は、彼は、
俺は直ぐに他のロープに切り替えた
右隣、これは重い!
一条
「ひっぱれえええええええ!!」
すると、
橋村
「はあ!」
橋村さんが出てきた
一条
「最後のロープだ!食いしばれ!!」
技術士
「エネルギーがなぜか抑えられてます!」
一条
「尚更時間はない!」
俺はロープを握りしめ、引っ張り始めた
だが、
技術士
「だめです!」
ロープは壁の間際で千切れた
その反動で俺たちは後ろに倒れ込んだ
技術士
「エネルギー放出不可!放出不可!」
一条
「はぁ、はぁ、」
腰を地面に下ろしたまま壁を見つめる
だめだった、のか、?
橋村
「うそだ、、うそだ!!!!!」
嘆き、彼の感情の痛みが伝わる
俺は立ち上がって
静かになったその場から出ようとした
隊員
「どこへ行くんですか!」
その声が響く
振り返らなくとも、橋村さんの視線がわかった
一条
「全て、、、私の責任だ」
隊員
「そんな」
「隊長!そんなことありません!隊員一同の責任でございます!」
橋村
「一条さん、」
一条
「私は、やるべきことをしに行く」
そしてもう一言加えた
一条
「やるべきことをやってくれ、それがやるべきことだ」
と、
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なーぜ渡り合えてるんだ
こんなバケモンと
こんなヒョロヒョロが!
頭から汗が流れ出て、頬を伝って顎から落ちていく感覚を感じた
俺はその液体を右手の甲で拭く
そして見る
あーら不思議
血、じゃあないか
すると奴も同じような行動をする
よく見ると、奴の頭から汗が流れ出ていた
そして奴も拭く
そして見る
あーら不思議、
奴は俺と同じような反応を見せた
要は、驚愕
なんでだ?ただの汗じゃないか
いや、よく見ると、傷口からも透明な液体が出ている
こいつは、あれか?
こいつにとっての透明な液体、体液が、人間で言う血液なのか?
なるほど、でも、ああ、俺が無意識のうちに傷つけたのか
ただ、そのつけた傷が無意識で、というのならば
??
「グゥ゙ーーーーーーー、、、、」
俺は瓦礫まみれのその場から急いで走り始めた
まぁ意識が取り戻されてしまったのなら奴を圧倒するのは無理ーー、不可能でしょうねーー!!
ドンドンドンドン
後ろから足音が聞こえてくるわあ
かーなりごつい、音が
しかも?怒り狂ったような息遣いが聞こえるし、?俺知らないうちに何やってんだよ全く!
まーーー逃げるしかない
扉だ
扉を探せ
そう思った瞬間
凛裕
「いーーーたーーーー!!!」
扉みーつけた
開けてる暇なんてないさ!
なんて美しい解を導き出したんだろうか
うう、脳筋プレイこそ正義だ!
突き破れ!タックルーー!
俺は右半身を犠牲にしてタックルした
が、
ゴンッ
凛裕
「があっ、くっそったれうんこが、、」
あっかん、こいつ、鋼鉄の木製扉だということを忘れていた
お陰様で体全体、超骨身に沁みてきた
馬鹿野郎、額とかいう次元じゃない
音がものすっごく鈍かった、あと、体の中心からなってはいけない音が聞こえた
そのせいで立ち上がれない
凛裕
「ああああぁ゙ぁ゙っっ、、、」
すると、突然体が持ち上がった
凛裕
「へ」
俺は首だけ後ろに動かす
まじか
??
「グゥ゙ーーーーーーー、、、」
今からでも入れる保険、、いやいや
古い古い、、かも?
凛裕
「ちょっとー、あのーお前もエンティティにならないか?っていうオチにしてくださいませんかn、、、」
ドッ!!
凛裕
「ぐっ、、!」
蹴り飛ばされるってこんなにも痛いのか
時間がゆっくり進む
空中を進んでいる、
このまま扉に当たっちまう
だが、この扉は鋼鉄
俺は終わる
あはは、なんで受け入れちゃったんだろうな
後悔しかないや
まずい!もう扉に!!
その時だった
バゴッ
凛裕
「は?」
そのまま扉を突き破った
お陰様で痛みが伝わってこないわけでもない!!
バカ痛いに決まっとるやろうが!
巨大な暗闇の穴がある空間の空中をそのまま通過
俺は向こう岸に落とされた
奴が向こう側から見てくる、
凛裕
「はは!ざ、ざざざんねんだったな!」
俺は目の前にあるダクトをほふく前進で進んでいった
凛裕
「背中半壊だなこれは、」