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凪原 佳澄編【チュートリアル】

   ズーーーーーーー


佳澄

「あれ、うそ、」


 黄色い空間

 相変わらず蛍光灯の音が響いている

 3回目、

 またもや二人とはぐれてしまった

 私はこの回で確信がついた

 たぶん、ループしてる

 何を中心に、何を原因にして、

 それはわからない

 そしてたぶん月島くんはまた記憶をなくしてる

 喪失感が襲ったその時だった

 微かに甘い匂いがした

 私は足元に目線を向けた


佳澄

「カーペット」


 いやいや、これは絶対、舐めちゃだめ

 私の尊厳がなくなる

 はあ、

 とりあえず最初は、今まで通り歩くだけ

 体力なんて考えたら終わり

 だいたい、なんで月島くんは覚えてないんだろう

 人は覚えてるのに

 いや、橋村さんのことは覚えてなかった

 ますますおかしいでしょ

 なんだかあの感じだと、今回もカーペットを舐めてそう

 いける!舐めれる!うまい!みたいなこと言って

 面白おかしいわあの人、


   クシャ、


佳澄

「うん、?」


 足元でその音がした

 私は足を見た

 すると、一切れの紙を踏んでいることに気づいた

 私はその紙を拾って見る


佳澄

「日記?」


 そこには、4日目と書かれていた


―――――――――――――――――――――

4日目

この空間についてわかったことが

このくうかんにまよいこんたりゆ

ほしもりゆい

―――――――――――――――――――――


 雑と言っちゃ雑だけど、

 多分急いでるんだと思う

 ほしもりゆい

 誰なのかさっぱりだけど

 でも、この空間に迷い込んだ理由、すごく今知りたいことが書いてある

 多分この続き、5日目かな、

 そしてこれは4日目

 つまり何処かに1、2、3があるはず

 それも探しながら行こう

 私はそう決め、また歩き出した

 なんとなーくぼーっと歩いてる方が疲れない気がして

 そのまま歩いたことを後悔した

 気づかないうちに部屋に閉じ込められているからだ

 壁紙が違う

 入り口もない

 まじで、

 でも、椅子と机、そして、狭めの空間

 アーモンドウォーターの出るウォーターサーバー

 蛍光灯のうるささもない

 私にとったらすごく居心地のいい空間だった

 私は椅子に座った

 今までの疲れを吹き飛ばそうとする

 そしてウォーターサーバーに常備してある紙コップを取り、アーモンドウォーターを注ぐ

 そしてそれを一気に飲み干す

 ほのかな甘みがやっぱり好き

 ふぅ、とため息をついて目を閉じた

 そして目を開けた

 驚愕という言葉しか浮かばなかった

 空間が変わっていたからだ


佳澄

「え、なんで、」


 いつの間にか私は立っていて、下半身は水浸しだった


佳澄

「うわ、最悪なんだけど、」


 真っ白いタイルにプール、私はプールになぜかつかっていた

 なるはやでプールから抜け出そうとする

 やっぱり濡れた衣服は重いし、体にひっついてきてすごく鬱陶しい

 なんとか私はプールから上がった


佳澄

「スカートも、その中も、、、うう、」


 私が彷徨い始めたのは覚えている限りだと学校の校内だ

 だからもちろん制服

 濡れてしまったものはしょうがない、そう割り切って進むことにした

 しばらく結構歩いたら分岐点に当たった

 右に赤スライダー、左に青スライダー

 今までこのレベルを探索したけど、だいぶ広いからここらで決断しないといけない

 なんとか合理的に決める方法はないか

 そして私は思いついた

 私は制服の上着を脱ぎ、赤スライダー入り口の取っ手に袖の部分を強く結んだ

 そしてもう片方の袖を掴みながら降りれるところまで降りようという作戦

 これで出口を確認するということだ

 私は早速降りてみた

 が、出口は見えない

 無理か、と思い、入口に戻ろうとした

 その時だった


佳澄

「ひっ!、」


 袖が取ってから外れたのだろう、私は滑り落ちてしまった

 まずい、まずい

 そう思っていると


佳澄

「うっ」


 地面に尻餅をついた

 無事についたみたい

 よかった、と安心して私は周りを見渡した


佳澄

「都市?」


 高いビル、建物がたくさんあった

 アメリカ風の都市のような場所に着いたらしい


佳澄

「なにここ、」


 私は歩き始めた

 さすがに疲れた

 人気も少ないし、狂いそうだ

 私は一つのカフェに目が留まった

 私はすかさず入ってみる

 すると、そこに人がいた

 待望の人だ!と思いながら私はこんにちはと言ってみた

 店員さんらしき人は顔をこちらに向けた

 今まで見えていなかったからわからなかったけど見えた瞬間私はびっくりした


佳澄

「のっぺらぼう、?」


 え、のっぺらぼうって、髪あるんだ、

 その人はおそらく女性、なのかな?

 長髪の黒髪で、きれいな雰囲気だったから

 余計のっぺらぼうでびっくりした

 その人は私に向かって言葉の代わりに手を振る

 その仕草が意外に可愛かった

 私は軽く会釈をして、適当な席に座った

 ここのカフェの雰囲気、好きだな

 そう思いながら周りを見渡すと、キッズスペースのようなところがあった

 数人ののっぺらぼうの子供がいる

 え、意外にかわいい

 ちょこちょこしてるみたいでいいなと思った

 すると一人の子供が私の方に来る

 片手を背中に隠しながら

 なんだろう、と思って待っていると

 その子が隠していた手をあらわにした


佳澄

「へっ、!」


 私は本能的に体がのけぞった

 ナイフ、刃渡りの長いナイフ、

 鋭いナイフ、

 そしてナイフを私に向けてくる

 子供たちは私を見つめた

 私は急いで席を立ち、店から出る

 怖い怖い怖すぎる

 そう思った時だった

 子供達が凶器を持ちながら走ってくる

 しかもゴリ速い


佳澄

「だれか!!」


 そう叫びながら無我夢中に走った

 時々後ろを確認しながら走っていると

 一つの飛んできた小石が子どもに命中した

 なんだ?と思っていると


??

「フェイスリング!こっちだ!!」


 聞き覚えのある声が聞こえた

 子供たちはその声の方向へと行った

 私は今だと思い、また逃げた

 誰だかわからなかったけど、感謝の思いが溢れた

 そのまま路地のところに隠れた

 一安心して、一息ついていると

 突然背中に痛みを感じた

 鋭い

 感じたことない

 燃え上がるような痛み

 そして何かが私の体の中から抜けていく感覚がした

 いたい、いたい、いたい

 私は後ろを向いた

 するとそこには、子供が血に濡れたナイフを持っていたのがわかった

 あまりの痛みに、私は気絶した

 体が揺れる

 いや、誰かに揺さぶられているような感じ

 その感覚で目を覚ました

 そしてそこにいたのは

 月島くんだった


END

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