表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/50

別れを告ぐ

凛裕

「すっげぇ!」


 次のレベルは高級そのものだった

 暗い赤色にたくさんの装飾が施されたカーペットに

 黄金の柱、大理石の柱

 もう色々とやばい

 そんな空間に無料で入れてるのが怖い


優駿

「無料ではない、危険を代償にだけどな」


凛裕

「なんで心の中が」


―別れを告ぐ―


―Level5―

恐怖のホテル

サバイバルクラス:5

安全でなく、不安定

未確認エンティティの目撃情報


凛裕

「クラス5、、」


優駿

「ここは未確認の生物も目撃されている」

「今まで以上に気をつけないといけない」

「このレベル、あんまり好きじゃないんだ」


凛裕

「そういえば橋村さんは3回目でしたよね」


優駿

「うん、このレベルに来るたび、すごく緊張する」

「ループから抜け出すためにも、下手なアクションはせず、今まで通りの行動をして生存する」


 普通、ループから抜け出すうえでしなければいけないことは今まで通りのアクションはしないこと

 だけどこのレベルは危険だから違うアクションを下手に起こしたら死んでしまう可能性だってでてくる

 死んでしまったら元も子もないから、やむを得ずっていうことか

 橋村さんにとっての3回目のループには俺という足手まといがいる

 だから絶対に邪魔になるようなことはしては行けないのだ

 絶対死なせない

 絶対、


優駿

「あの奥に、エレベーターがあるだろ?」


 橋村さんはそう言いながら両開きドアのガラス越しのエレベーターを指さした

 ドアは鍵がかかっている


優駿

「あそこを目指す」

「クラス5だから油断はダメだ」


凛裕

「はい」


 ぶっちゃけ、難易度はどんなものなのだろうか

 3回目の橋村さんでもこんなに言うんだ

 想像できない、難しいって言われても

 どういう難しいなのかがわからない


優駿

「じゃあ、鍵探そう」


 俺達は鍵を探し始めた

 俺は受付のところ、橋村さんはその周りを探した

 作業をしている途中、少し気になることがあった

 「ほしもりゆい」の日記だ

 橋村さんはループにあっている

 そしてその被害にあっている人は橋村さん含め3人と言っている

 2人は橋村さんと佳澄だから、

 もしかしたら3人目が「ほしもりゆい」かもしれない

 聞いてみよう、文面からして女性か


凛裕

「橋村さん、ループにあっている3人目の人って男性ですか?女性ですか?」


優駿

「ああ、えーと、男性だな」

「急にどうした?」


凛裕

「いえ、なにも、」


 男性かぁ、じゃあ、「ほしもりゆい」は別の放浪者ってことになるか、

 んー、謎だなぁ

 俺はその間もカウンターの引き出しを開け続ける

 ないな、


優駿

「ある?」


凛裕

「今のところはないです、」


優駿

「じゃあ、他のところ行くか」


 それで、目標の扉がある廊下の右側に行くことにした

 両側の壁に個室がある

 左奥には左に向かって廊下が続いている

 俺達は右側の個室を全て確認してから左側の個室を奥から潰そうと話して決めた

 一部屋目


優駿

「ない」


凛裕

「まぁ、一部屋目ですしね、」


 二部屋目


優駿

「ないわ、」


凛裕

「まだ三部屋ありますよ」


 三〜五部屋目


優駿

「ない」


凛裕

「ここまで来るとさすがにまずいか?」


優駿

「まだ左側の部屋がある」

「そこになかったら他を当たるしかない」

「危険だからあんまり行きたくないねんな」


 そう言いながら橋村さんはドアノブに手をかけて扉を開けた

 すると


ジャリジャリ


 俺と橋村さんは唖然とする

 なにあいつ

 体の全てが毛で覆われたダークブラウンの色をしている謎の獣

 大きさは人間で言う下半身の半分くらいの長さの縦と横と高さ

 目がどこにあるのかも、口がどこにあるのかもわからん

 けど鍵を食ってるから、口は多分そこなんだろうな

 鍵?、鍵?!鍵食ってるやんあいつ

 いやでもあの鍵かはまだわからん


優駿

「あの鍵だ」

「あの鍵、」


凛裕

「え」


 終わったー

 橋村さんが言うなら間違いないんよ

 じゃあでられないってこと?


グルルルルル


 あいつ、俺らに気づいたっぽい

 唸りだした

 すると


優駿

「なっ!」


ガチャン


 こっちに走り出してきたので扉を閉めた


ドン、ドン、ドン


 力強い音が鳴る

 どうすれば、


優駿

「鍵をぶっ壊せ!」


凛裕

「え?」


優駿

「もうそれしか脱出方法がない!」


凛裕

「は、はい」


 俺は走って扉をぶち破れるものがないかを探した

 どこにある

 なにか、なにか!

 あっ、

 受付の近くに消火器があった

 あれだ!!

 俺はそれを手にとって

 消火器のそこを扉に打ち付けた

 もちろんガラス部分があるので


バリィィィン


 割れた!


凛裕

「橋村さん!こっちです!」


優駿

「わかった、、待っててくれ」


 そっかそうだ

 扉から手を離した瞬間やつが来るから

 全力で逃げないといけないんだ

 俺は消火器を強く握る


優駿

「いくぞ!」


ドン!

ダダダダダダ


 こっちに走ってくる

 一人と、一体

 俺は先にエレベーター前まで行く

 そしてエレベーターを呼び出して扉を開ける


優駿

「よし!」


 橋村さんが曲がってエレベーターまで来ようとした

 その時だった


優駿

「なっ、」


凛裕

「橋村さん!!」


 橋村さんが獣に飛びつかれた

 既に右腕が飲まれている

 くっそ、こうするしかねぇ!


凛裕

「うおおおおおお!」


 俺は橋村さんのところまで走って

 消火器で獣をぶっ叩こうとした

 だが


凛裕

「は?」


 消火器が触れた瞬間に獣に飲まれた

 くっそ、

 俺は必死に引き剥がそうとした

 が


ドン!


凛裕

「え、」


 エレベーターの中まで吹き飛ばされたかと思ったら

 橋村さんが俺のことを蹴ったのだと分かった

 なんで

 俺は動こうとしたが壁にぶつかった痛みで動けなかった


優駿

「俺の意志はお前が継げ」

「お願いだ」


 俺は涙が出た

 突然の別れ

 橋村さんは最後まで笑顔で

 優駿さんは最後まで優しかった

 絶対ループは途絶えさせる

 絶対、今度こそ

 この悲しい感情とは相反して

 エレベーター内の陽気な音楽は無感情に流れた

 そして無慈悲に扉が閉まり

 浮遊感を感じながら下降した

 流れている音楽は少しだけ不協和音で錆びていた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ