距離制限パイプロード
ゴーーーーーーーー
気体が漏れ出しているような音が鳴り響いてるレベルへと来た
そこで橋村さんが持っていたレンズを俺に渡してきた
優駿
「せっかくだから使ってみて」
凛裕
「あ、わかりました」
俺は早速レンズを目にかざしてみた
―Level2―
パイプドリーム
サバイバルクラス:2
距離的に長い探索は控えた方が良い
距離的に長い?
とりあえずあんまり長く探索するなってことか
それより、クソ暑いな
あとなんだかジメジメする
俺は歩きながらこのレベルを見た
一本道で、左右に錆びているパイプがある
幅は大人二人が入るくらいだ
ところどころガス漏れが起こっているような感じがする
俺はそのガス漏れの気体に興味本位で触れようとし、手を近づけてみた
すると
凛裕
「あっっっつ!!」
馬鹿熱かった
中の温度が高いのはこのせいか!
優駿
「大丈夫か?!」
凛裕
「あぁ、はい、たぶん」
優駿
「ああごめん説明してなかった」
「俺が今までループしてたときもこのガスに触れた人がいたんだ」
「めっちゃ熱いって言ってた」
凛裕
「ガスに触れた人?」
「他にも彷徨った人がいたんですか?」
優駿
「あ、ああ、いるよ」
「凪原 佳澄っていう人」
凛裕
「佳澄?!」
優駿
「知ってるのか?」
凛裕
「高校の友達なんです」
「佳澄もバックルームに迷い込んだなんて、、」
優駿
「実は凪原も俺と一緒にループしてる人でさ、」
凛裕
「そうなんですか?」
「大変だなぁ」
優駿
「実はあともう一人いるんだ」
凛裕
「あともう一人?ってことは3人?」
優駿
「そうだね、」
「せっかくだからその人を一緒に探してくれないか?」
「お願いだ」
凛裕
「全然いいですよ」
「助け合うのは当たり前です」
優駿
「ありがとうほんとに」
じゃあ、その3人を同時に助けないと
またループにハマってしまうかもしれない
佳澄、絶対に助け出す
、
、
しばらく歩いた
さすがに汗が止まらんわ
日本の夏くらいの湿気と温度
一番俺が不快感を感じる時期だ
なんなら橋村さんも汗をダラダラと流している
そらそうだ
というより、なんだか道の幅が狭くなっている気が
いや、気のせいだ
気のせいじゃなかったら橋村さんが忠告してくるはず
橋村さんはこれで3回目だからな、もしそうなら知ってると思う
ふぅ、あっちぃ
この道、どれだけ続くんだと思っていたら
分かれ道にあたった
凛裕
「分かれ道だ!橋村さん、これどっちですか?」
優駿
「え?こんなのあったっけ?」
え?嘘でしょ
3回目じゃないの?
優駿
「俺が来たときにはそんなのなかった」
え、てことは?
ただ単に橋村さんが覚えてないか、
凛裕
「バックルームが変化を遂げている?」
優駿
「なにそれ?成長してるってこと?」
「それならバックルームにも自我があるのか?」
もしそうだと仮定するならば
橋村さんでも太刀打ちできない問題があるっていうことが起こるってことなのか?
それなら不可能じゃないか?
バックルーム未経験と、変化済バックルーム未経験の二人では、どうしようもないんじゃないか?
一体どうするのが正解なんだ
優駿
「ひだりか、みぎか、」
凛裕
「でも、別にどっちに行っても戻ってこれば、、、」
優駿
「それはバックルームをなめすぎだ」
凛裕
「え?」
優駿
「簡単に戻ってこれるということを言わないほうがいい」
「なぜなら、戻ってこれずに何らかの理由で死んでしまう可能性が無くはないからだ」
「バックルームでは、一つ一つの選択が生死を分ける」 「だから、ここは慎重に考えないと」
こんなに真剣な橋村さん、
どれほど俺が危うい考えをしてたのかがわかる
改めないと
ただ、慎重に考えたとてだ
ここにはヒントがない
周りを見たが、何も無、、、
あれ?俺の足元にマッチの箱がある
俺はそれを拾った
中身もある
3本だけだけど
ただ、これでも
どう考えるのが正解で、どう考えを生むのが正解かわからない
たぶん、同じ事で悩んでいるだろう
優駿
「右に行こう」
凛裕
「え?」
優駿
「正直、根拠はない」
「ただ、そう思っただけ」
「これは俺の選択だ」
「だから、凛裕が俺の選択に従うかどうかは任せる」
凛裕
「行きます」
優駿
「え?いいのか?」
凛裕
「行きます、」
「それに従わなくても結局は悩む」
「だから行きます」
優駿
「、、、、、、、、」
「分かった、後悔すんなよ」
、
、
右に進んでからしばらく経った
なかなかゴールにたどり着けない
さすがに体力が限界
もう涼しいところに行きたい、、、
あ、あれ、
もうすぐで左右のパイプがなくなる
もしかして!
俺は走る
左右のパイプの景色の束縛から逃れると
凛裕
「はぁーーー!くっそ涼しい!」
優駿
「ほんとだ!」
パイプが高音を作り出してる
つまり、パイプがなくなれば、暑くならない
この先も進むぞ
、
、
優駿
「結局行き止まりだったな」
凛裕
「はい、」
俺らは行き止まりの壁にあたって
今までの道を戻ってきてた
優駿
「でも、死ぬことなく戻れそうだし、よかったな」
凛裕
「そうですね!」
いやぁ本当に良かった
このくらいの長さなら、もう少しでパイプのところに戻るはずだ
もう少しで、
あれ
嘘だろ
優駿
「は、、」
パイプが
さっきまであった道はなく
パイプが巨大化して道を塞いでいる景色を俺らは目の当たりにした