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国王との謁見

 ディアナ王国王城、謁見の間。さる高貴な来客を迎える為、王国内の登城可能な貴族達のほとんどが顔を揃えている。


 王国の重臣として、常であれば重臣の列に並び、迎える側であるはずのラピス公ジルクは、今回は自身の夫人と令嬢を伴い、賓客として国王との謁見に臨んでいた。


 しかも今回は、王国一の貴族であるラピス公爵が、掌中の玉として大切にしている愛娘の初めてのお披露目であり、美男美女として有名な公爵夫妻が溺愛し、自慢して止まないほどの令嬢である。

 どれほどの美少女かと人々は興味をかきたてられ、さらに国王が王太子妃に望んでいるとの噂さえもまことしやかに流れたとあって、人々の視線は自然とその令嬢へと注がれる事になった。



 ディアナ国王エメロード11世。歳の頃は30歳程であろうか、実際にはまだ若いのかも知れない。お父様とは違うタイプのイケメンだ。少し線の細い理知的な印象を与えるお父様とは違い、武人のような迫力がある。


 豪華な玉座には王権の象徴であるエメラルドがふんだんに使われ、纏っている衣装も贅を凝らしたものである。国王は、それらの中にあって自然に佇み、静かな威厳をたたえてその玉座にあった。


 両隣の小玉座にはそれぞれ王妃と王太子が。更に小さな椅子に第一王女が座っている。私の興味は俄然、王女と王太子に注がれるが、この距離ではなんとも言えない。あの小さな王女は転生後の彼女なのだろうか?



「陛下。ラピス公ジルク、御前に参上いたしました」


 お父様が慇懃にその頭を下げる。貴族としての最高位。公爵であるお父様にとって唯一絶対の君主に対して。


「久しいなジルクよ。長旅ご苦労…と言いたいところだが…………長く王都を空けすぎだ愚か者めっ、そなたの不在があまりにも長いおかげで、文官どもが悲鳴を上げておったわ。とにかくうるさくて堪らん、しばらく所領には帰れぬと思えっ!」


 いきなりお父様が叱られた。とは言え陛下の口調は、叱責と言うのもおこがましいほどに茶目っ気たっぷりのもので、普段の気安い主従関係が伺えた。


「はっ!面目次第もありません。不肖このラピス公ジルク。明日より粉骨砕身仕事に励み、陛下のお力になる所存であります。今日のところは、わが愛娘の愛らしさに免じてお許しくださいますよう」


 あれ? いきなり話をこっちに振ってくれても困るんですけどお父様? 

 お父様に促されるままにこちらを見た陛下は、まんざらでもなさそうに優しく目を細める。


「ふむ、確かに美しい娘だなジルクよ。おお、それにマリアよ。そなたも相変わらず美しい。息災であったか?」


 お父様に対する茶目っ気たっぷりな口調と違い、慈愛に満ちた穏やかな声が、私とお母様にかけられた


「お久しぶりにございます陛下。おかげをもちまして我が公爵領もつつがなく。娘ともども元気に暮らしております。さあ、クリスティーナ。陛下にご挨拶を」


 お母様の視線が私に向けられる。陛下にお声をかけていただいた以上はお応えしないわけにもいかない。私はその場でうやうやしくカーテシー(淑女の礼)をすると、挨拶を始めた。


「お初にお目にかかります。ラピス公ジルクが娘、クリスティーナ・ラピスにございます。陛下におかれましてはご機嫌麗しゅう」


 自分も鏡で見たし、お母様とマチルダのお墨付きも貰ったが、クリスティーナの姿勢と所作は本当に美しい。謁見の間が少しざわついているが、悪い印象を与えたわけではないと思う。


 今日の私の装いは、白に近い淡いパステルブルーのドレスに、王族と高位貴族の女性にしか着用の許されていない、ティアラを頭に飾っている。清楚で愛らしい、非の打ち所ない美少女っぷりに自分でひいた。


「これはこれは、公爵が領地に引き篭もるのもうなずけるな。なんとも美しい愛らしいご令嬢だ。アレクシスもそう思わんか?」


 陛下が隣に立つ、アレクシス王太子に話を向ける。

 アレクシス王太子は確か今年で10歳。少し幼い顔立ちには見覚えがある。間違いなくあのゲームの攻略対象者だ。BLルートを避けるために絶対に折らなければいけないフラグの一つ。


「……まことに父上、花の妖精と見間違うほどです」


 ヤバい、王太子の顔が赤い。何となく私を見つめる瞳も熱をはらんで見える。7歳の幼女、しかも男の娘相手になにときめいちゃってるの!?


「花の妖精か、なるほど。そなたもずい分と気に入ったと見える。ところでクリスティーナ嬢よ。王都に来たのは初めてと聞いたが、感想はどうだ? これでなかなか良いところであろう?」


 王太子の赤面に触れずに世間話で終始するのであればありがたい。私は思ったままを口にする事にした。


「この王城の見事な眺めには、言葉も出ぬほど感動いたしました。城下町もよく整備され人々の笑顔が満ちております」

「ほう、民の暮らし向きがきになるか?」

 

 陛下が少し以外そうな顔で私を見る。


「国は民があってのものでございます。昨日、馬車の中から眺めた限りでは、人々は皆清潔な衣服を着て、露店には品物が満ちていました」

「して、そなたはそれをどう見た?」


 何故か陛下の目が細められ、言葉には私を試すような含みがうかがえる。


「皆が清潔な衣服を着ているのは、貧富の格差の少ない証拠にございます。また、露店に品が多ければ、その分安く売ることができます。安く大量に品を売れば、商人逹は儲かりましょう。安く品が手に入れば民は飢える心配がありません。王国にとって誠に喜ばしい事と存じます」

「…………………」


 あれ? 陛下が黙りこんでしまった。周りもざわついておかしな雰囲気が漂ってる。


「クリスティーナ嬢よ。そなた歳は幾つであったかな?」

「…七歳にございます。陛下」


 私は口に出しながら、自分のうかつさを悔やんだ。

 しまった! どう考えても七歳の幼女の話す内容ではない!


「七歳にして、宰相も舌を巻くほどの見識を語るとはな。末恐ろしいとは思わぬか? のう、トルマリン侯?」

「はっ、仰せの通りかと。クリスティーナ嬢の利発ぶりを見ますれば、いっそ行政府にて私の補佐を頼みたい程にございます」


 王国宰相のトルマリン侯爵にまで、飛び火してしまった。まずいっ、急いで鎮火しなければ!


「小娘が生意気な事を申しました。これらは全て陛下の治政の賜物にございます」

「よいよい。そなたは予の質問に答えただけの事」


 陛下の機嫌は良さそうだが、私の心中は冷や汗が止まらない。この流れはひょっとすると……


「のう、クリスティーナ嬢よ。すでに公爵からも王太子妃の話は聞いておろう」

「………はい」


 来た。お父様が聞いたのは、おそらく内々の事。公の場で王太子妃の話が決まってしまえば、ほぼ決定事項になってしまう。ここは何としても断らなければ。


「そなたを王太子妃の候補にと考えていたが、実際にそなたと話をして気が変わった。候補ではない。いっそのこと、将来の王太子妃として正式に婚約させてはと思うが、どうだ?」

「――!?」


 いきなりすんごいカードが出て来たんですけど!? やばいっ、展開が早過ぎてさすがに言葉に詰まる………


「陛下! それはあまりに急なお話にございます! 我が娘はまだ幼く……」

「ジルクよ。これ程の見識、これ程の利発ぶりを見れば、幼い云々は関係がなかろう。そもそも我ら王侯貴族の婚姻など元来こうゆうものだ。そなたも普段より娘の優秀さを自慢しておったではないか?」


 たまらず口を挟んだお父様だったが、あえなく一蹴されてしまった。親バカが裏目に出るなんて!


「おそれながら陛下。父と同じく、私もこの婚姻には乗り気ではありません。理由をお聞きいただいてもよろしいでしょうか?」

「おお、勿論いいとも。何なりと話すがよい」


 起死回生を狙っての発言だったが、陛下は私との会話を好ましく思っているようだ。今もいたって優しい笑顔で私を見つめている。玩具を見つけた子供のような顔に見えるのは気のせいだろうか?


「お許しいただきありがとうございます。先ず理由の最たるものとして、我が公爵家の跡取り問題にございます。我が公爵家には、今のところ私一人しか子がいません。私が婿を取るか、女だてらに跡を継ぐかしなければ、公爵家が絶えてしまいます」


 この理由は至極真っ当な言い分である。実際問題。国の重鎮であるラピス公爵家の断絶は、王家の望むところでもないはずだ。


「そなたの言い分はもっともだ。しかしクリスティーナ嬢よ。そなたの両親はまだ若く、これから弟や妹の増える可能性は高かろう? 王国中を探してもそなたの両親ほど仲睦まじい夫婦は滅多におらぬのだからな」


 それはもう、よ―――く知っていますとも! 今すでにお母様が妊娠していたって驚きませんとも!


「陛下の仰せの通りにございます。それに、私ほど父母の仲の良さを知っている者もいません。正直申しますと、私も弟妹の誕生を待ち遠しく思っています」

「であれば、問題なかろう?」


 たたみかけると言うより、問いかける様に尋ねる陛下に私は密かに安堵する。この方は無理を通すお方ではない。おかげで少し気が楽になった。


「お言葉ですが、将来のまだ見ぬ弟妹に対して、私は良い姉でありたいと考えています。」


 まあ、姉では無いんだけどね……


「まだ見ぬ弟妹を担保に、王太子妃の座を手にしたとされるのは、私の我慢の及ぶ所ではありません」

「ほう、なるほどな。誰しも家族には良い格好をしたいものだ」


 侯爵家の家庭の事情の次は、情に訴えてみた。以外と納得してもらえそう? 陛下の顔は相変わらずニヤニヤしている。この人、絶対面白がっているよね!


「最後の理由ですが、先ほど王侯貴族に婚姻の自由は無いとのお言葉にございました。」

「ふむ、確かに言った。例外も無いわけではないがな」

「私の父母は、その幸運な例外にございます」


 お父様とお母様の結婚は、当時ずいぶんと話題になったらしい。貴族には珍しい恋愛結婚で、しかもかなりの熱愛だったとか。


「その件はよ~く覚えておる。当時、氷の貴公子と呼ばれておった公爵家の跡取りが、社交界デビューしたてのマリア嬢を見たとたん、顔を真っ赤にしおってな。」

「へっ、陛下! その話は関係が…」

「ずいぶん溶けやすい氷であったものよ」

「陛下~!」


 初恋をこじらせたまま、返事も貰えずに死んでしまった前世の私にしてみれば、とても羨ましい話だけど、お父様には、たまらないらしい。

 ちらりとお母様の方を向いてみれば、おもいっきり目線を逸らされた。

 帰ったら詳しく話を聞いてみよう。

 

「さて話が逸れたか。そなたの父母は確かに政略結婚ではない。それでそなたは何とする?」


 私は大きく息を吸い込むと、軽くうつむいて両手指を前に組み、顎の下に添えて、そのまま玉座を見上げた。玉座から見れば上目づかいに見えることだろう。

 陛下は少し驚き、王太子は顔を赤らめ、王妃と王女はまあっ!っと驚くと、目をキラキラさせなから私を見つめてくる。

 不本意極まりないが、ここは女子力チート全開で行かせてもらう。


「私も父母のように恋がしとうございます」

「…………恋だと?」


 思いっきり意表を突かれたのか、陛下が目を大きく見開いて固まってしまった。ややあって――


「ふっ、ふふふ…………ふっ、は、はあ――――――はっはははぁ――――はっ!!」


 それはもう盛大に笑われた。え――と、これってどう反応すれば良いのだろう?


「す、すまんな、いや、まっ、まさか恋とくるとは…。あれだけ賢しい事を言ってのけた癖に、年相応の夢見る少女のような事を言うとは… あ、いや、確かに少女よのう… うむ。すまんすまん」


 男の娘なんです。逆にごめんなさい。


「とにかくクリスティーナ嬢よ。そなたは政略結婚では無く、自分の好きになった相手と婚姻を結びたいのだな?」

「はい。その通りにございます」

「それでは聞くが、その相手こそ王太子ではだめなのか? 見ての通りなかなかの美男子ぞ、我がアレクシスは」


 突然話を振られて、王太子が目に見えて動揺し始めた。しかし私は気にしない。このフラグはここで叩き折る!


「申し訳ありませんが、私は王太子殿下の人となりを存じあげません。私にとって美男子云々は関係が無いのです」

「ふむ、それは性格的な相性のことかな?」

「はい! 殿方は顔ではないのです!」

「ぷっ、!」

 

 私がいっそ清々しいほどに言い切った直後、誰かが吹き出した。ふと見ると、今まで沈黙を守っていた王妃殿下が、こらえきれないと言わんばかりにクスクスと笑い始め…

 

「うふふふっ、ああ、ごめんなさいね。私ったらつい。クリスティーナさん、私からもいいかしら?」

「もちろんでございます。王妃殿下」


 私は自分のお母様程の美人を見たことが無かったが、王妃殿下はそれに匹敵するとんでもない美人だ。これで2児の母なのだから恐れいる。


「それではあなたの理想の殿方と言うのは、どんな方かしら?」


 優しく尋ねられたものの、私は少し考え込む。この場合、自分のなりたい理想の男性像を答えるのがベストなのだろう。決してヘタレではない。


「そうですね。優しくて、頼りがいのあると言うのはありきたりですが、女性が一番大変な時、例えば出産や育児の時に寄り添ってくれるような殿方がいいです」

「まあ!」


 満面に笑みを浮かべた王妃殿下が、大きく賛同してくれている。これは現在日本でのスタンダードだ。

 逆に国王陛下や、列席貴族の結構な数の男性がばつの悪そうな顔をしている。


「仕事が忙しい時でも、できる限りで良いのです。私の話を決して上の空でなく聞いてくれる。そんな方と連れ添いたいと思います」


 夫婦の会話って大事だよね。そうだっ、男に戻ったらイクメンをめざそう!


「まあ、まあ、まあ! 陛下、聞きましたか? そうですとも。それでこそ世の女性は安らげると言うものです!」


 私が提唱した理想の男性像は、王妃殿下がお気に召されただけでなく、列席した貴族女性の心も掴んだようで、まばらに拍手まで聞こえてきた。今日はこの後に夜会が控えているため、女性の参列者も多い。

 貴族女性には乳母の助けがあるとは言え、悩みそのものは、前世の世界と変わらないようだ。国王陛下がいくぶん疲れた顔で場を静めると…


「ふむ、そなたの言い分は分かった。理想の恋愛も大いに結構。しかし、王太子妃の候補には残しておく」

「陛下、それでは前と変わりません!」

 

 最悪の事態は避けれたが、フラグが残ったままだ。私は思わず不満を洩らす。


「そなたは、アレクシスの人となりをまだ知らぬと申した。であれば知った後に、そなたの言う恋とやらに発展するやもしれんからな」


 国王の言い分は正しい。私は、恋愛がしたいと主張しただけで、その恋愛対象はまだ定まっていない。


「それとも、他に想い人でもいるのか?」


 陛下にとっては何気ない問いでも、私にとっては、とんでもない不意打ちで――

 

「――――っ!!」


 スッと頭に浮かんだのは、前世の彼女の事。条件反射で顔が赤くなるのはどうしようもない。思わずうつむいて黙りこんでしまう。


「なんと! まさか本当におるのか?」

「クリス!?」

「まあ!」


 私の予想外の反応で、謁見の間が大きくどよめいた。なぜ幼女(♂)の色恋でここまで盛り上がれるのか!? ちなみに一番分かりやすく騒いでいるのは、私の父だ……


 ああっもう! お父様、お願いだからすっとんきょうな声を出さないでぇ! 王妃殿下も絶対に面白がってるし! これ、絶対に後でめんどくさくなるやつだ―――っ!!


 私は俯いた状態のまま、呼吸を落ち着けると、ゆっくりと顔を上げた。まだ若干頬が染まっているがかまってなどいられない。

 私は柔らかく微笑むと――


「乙女の秘密にございます」


 しゃあしゃあと言い放った。

 あれだけ混沌としていた謁見の間は、しんっと静まり返り、皆一様に私の方を見ている。王太子殿下だけうつむいて、胸の辺りを押さえているけど、ご病気かな?

 幾分ばつの悪さは感じつつも、私は笑顔を崩さず玉座に向かって微笑み続けた。


 意外と長く続いた沈黙の中、国王陛下が軽く咳払いをして口を開く。


「……ふむ、ならば致し方あるまい」


 あえて何がとは言わずにスルーしてくれるようだ。ありがたい。


「そして安心するが良い。アレクシスに望みが無くば、早々に婚約の話も白紙に戻そう」


 おお、以外とあっさり言質が取れたよ? 


「お聞き入れ頂きありがとうございます」

「なあに、予想外に楽しい問答だったゆえ、その礼だ。別に予の懐が痛むわけでもない。それにこの後は夜会が控えておる。そこでアレクシスの奮闘に期待するとしよう」


 そうだ。私はこの後の夜会で、王太子と第一王女のお相手を務めなくてはいけない。もうすっかり終わった気でいたけど、王太子本人との接触は避けられそうにない。


「王太子殿下、並びに王女殿下のお相手、つつしんでお受けいたします」


 私は恭しくお辞儀をして、了承の意を伝える。

 

「公爵令嬢、私からもいいだろうか?」


 突然、王太子殿下からお声がかかった。私がすぐにうなずくと。


「今宵の夜会、お相手出来るのを楽しみにしている。出来るだけあなたのお眼鏡に叶うように努めよう」


 あっ、これ、宣戦布告だ。

 あれだけ好き勝手言い放題だった私に、思う所は多いだろう。こんな大勢の前で、貴方との婚約はごめんこうむると宣言されたも同然だ。

 むしろ怒ってくれれば好都合だけど、頬を赤らめて、まともに私の顔を見ることが出来ないこの症状にはとても覚えがある。フラグが折れてない……


「光栄です王太子殿下。精一杯、お相手を努めさせていただきます」

「あっ、お兄様だけズルイ! クリスティーナ様。私もお話し出来るのを楽しみにしてますね!」


 可愛らしい声で会話に割り込んで来たのは、プリシラ第一王女殿下だ。王妃に似た顔立ちで美少女っぷりが半端無い。


「私こそ楽しみにしています。王女殿下」


 私が微笑みなから言葉を返すと、何やら興奮冷めやらぬ様子の王妃殿下からお声がかかる。


「もう婚姻話抜きで、娘にしてしまいたいわ。マリアが羨ましい! クリスティーナさん、夜会ではさっきのお話しの続きをしましょうね!」

「ありがとうございます王妃殿下。私からもぜひ」


 いつの間にか完璧に敷かれた王室包囲網に敵うはずもなく、私はただうなずく事しかできない。もう、断れるわけ無いでしょうが!!

 私はこの後の夜会で起こり得る厄介ごとの数々を想像して頭を抱えた。なんでこうなった―?


 私の長い一日はまだ終わりそうにない。

長くなったので2回に分けようかと思いましたが、

中途半端だったのでこのまま投稿しちゃいました。

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