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転生令嬢(♂)は腐らない  作者: 三月鼠
セントラルの二人の聖女編
48/86

その後のメアリ②

「あ、あの…、さっきから、私の嫁ぎ先の話でしょうか? く、クリスティーナ様の側妻? 女性同士ですよね? え、え~と… あれれ?」


 情報過多で目を回しているメアリ。この上、私の性別の事を知ったら、さらに混乱するのは間違いない。


「め、メアリ、こ、これは、その~、お母様の冗談だから…」

「いいえ、冗談ではないわ!」

「お母様!?」

「クリスの専属になるのですから、いずれは知ることです。メアリ、こちらにいらっしゃい」

「お、お母様! ちょっと待って!」


 私が慌てて止めに入るも、時すでに遅く、お母様はメアリの耳元に小声で囁いた。

 "あの子は男です"


 瞬間、固まるメアリ。


 ぎりぎりと重い首を動かし、信じ難いものを見るような顔を私に向けたメアリが、ひゅっ と息を吸い込んだ次ぎの瞬間―――


「く、くく、クリスティーナ様が、おっ、おと…」

「はい、そこまでです!」


 メアリが男と口にする前に、マチルダが素早く彼女の口を塞ぐ。たとえ他者が口にした事でも、光の精霊によって何が起こるか分からないのだ。


 観念した私は、ため息をつくと、メアリに向き直る。


「今まで騙していてごめんなさい。いわゆる()()ではありませんが、私は精霊の愛し子です。その力を抑えるために、貴族令嬢として育てられました。あの…、信じてもらえるかしら…?」

「無理です! 信じられませんっ!!」


 その悲鳴のような言葉に、ユフィとマチルダが、無理もないと深くうなずいた。

 なかなか衝撃から立ち直れないメアリは、私の頭から爪先まで、じっと見つめてくる。私の見た目から、少しでも男らしさを探そうとしているようだ。

 なんとなく恥ずかしくなった私は、思わず身をよじる。


「そ、そんなにじっと見つめられると、恥ずかしいです…」

「しっ、失礼しました!」

「クリス、そんな悩ましいポーズをとったら、説得力が無いわよ」


 ユフィからダメ出しが入る。これって、悩ましい?


「美少女が普通に恥じらっているようにしか見えないわ」


 お母様もマチルダも、頭を抱えてため息をつく始末。男の私はそんなにいただけないのだろうか?

 

「あの…、女性じゃなきゃ、ダメですか?」

「いっ、いえ! そんな事はありません! むしろ……」

「むしろ?」

「―――な、ななな、何でもありませんっ!」


 メアリは、顔を真っ赤にして座り込んだ。顔を手で隠しながらも小声で、あり得ない、信じられないを繰り返し呟いている。


 ここで私は、ある事に気がついた。


「お母様。お父様の女性専属は皆その扱いと言いましたよね? まさかマチルダも?」

「あら、学院入学前に言ったでしょう? あなた達に何があっても大丈夫だと」

「私も、お嬢様が何をなさっても問題無いと言いました。」

「問題だらけですっ!」


 私の専属侍女がみんな側妻候補って、聞いてません!


「お義母様、分かりました」

「ゆ、ユフィ?」

「側妻はもちろん、家内を取り仕切るのが私の仕事と言うわけですね? マチルダ、メアリ、後で3人で話をしましょう」

「かしこまりました。望むところにございます」

「はい! よろしくお願いします!」


 へ? 何で三人とも前のめりなの?


「三人だけなんてずるいです。私も仲間に入れてください!」

「クリスはダメ!」

「お嬢様はご遠慮ください」

「クリスティーナ様は、ちょっと……」


 にべもなく断られた。この小さな差別と仲間外れに私の心はいたく傷ついた。

 理不尽である。




 その後の休みは、ユフィとマチルダ、それにメアリを加えた三人にもみくちゃにされながら賑やかに、それでも平穏に過ぎていった。


 そうして長い休みも終わり、お母様がメアリを伴って公爵領へと帰って行くと、私とユフィも女子寮に帰ることになる。

 相変わらずの仰々しい護衛に囲まれての移動にはうんざりしたが、聖女ブームにわく皇都は平和そのもので、馬車の中から柄にもなく手を振れば、街中には人々の笑顔があふれた。


 程なくして帰宅した女子寮では一つの再会が待っていた。


「プリシラ、あなた…」

「お久しぶりです。() () ()!」


 自室の前では、変わらぬ笑顔の自国の第一王女、私の初めての友達、プリシラが立っていた。

すみません。諸々の諸事情で執筆ペースが

落ちています。m(。≧Д≦。)m

気長にお待ちいただけると助かります。

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