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実話怪談

【最恐実話怪談】タオルの中に⋯⋯

作者: 七宝

 当時高校生だった私は、毎日40分くらいかけて自転車で通学していた。40分も漕いでいれば夏なんかは当然汗をかくので、ちゃんとタオルを持っていっていた。


 特に私は遅起きをして遅刻ギリギリに滑り込むということを毎日やっていたので、全力で自転車を漕いでいた。なので私は夏の朝はいつも汗だくだったのだ。


 その日も私はいつものようにギリギリに家を出て、立ち漕ぎで学校に向かっていた。全力で漕いだおかげで30分ほどで学校まで来ることが出来た。駐輪場に自転車を置き、重いカバンを持って4階まで駆け上がる。


 教室の戸を開け、自分の席に転がり込む。その時私は1番前の席だった。担任が来るまでの数分の間に汗を拭き、お茶を飲み、授業の準備をするのが日課なのだが、その日は違った。


 高校生といえばコレ! というような四角くてデカくて黒いカバンを机の上に置き、その中からタオルを取り出す。そしてすぐに顔を拭いた。タオルがひんやりしていて気持ちいい。そう思ったその時だった。


 タオルから何かが落ちた。カバンの上に落ちたそれは細長い白い糸のような見た目をしていた。私は目が悪いので、もう少し近づいて確認をしようとした。


 ポロリ


 また落ちる。


 ポロリ


 よく見ると5つか6つほどおちていた。近くで見てみると、それらはうねうねとゆっくりうごめいていた。体長1cmほどの何かの幼虫が私のカバンの上を這い回っている。


 ぎゃああああ!


 と声が出そうになったが、こんな幼虫を持ち込んだと知られる訳にはいかないと思った私は必死に声を抑えた。


 さっき顔を拭いたタオルを見てみると、カバンの上にいたヤツらが何十匹もうじゃうじゃと動いていた。


 私はすぐにタオルを折りたたみ、カバンの中に放り込んだ。その日はそれ以降カバンを開けることが出来なかった。置き勉していた数学と国語以外の教科書は全て忘れたと言ってその都度先生に怒られ、昼食の時間も弁当を取り出すことが出来ず、校内を散歩していた。


 学校が終わり、家に帰った私はすぐにカバンを開け、タオルをゴミ箱に捨てた。弁当を開けると、ご飯のふちのほうが緑色に変色していた。夏は怖い。


 調べてみたところ、あの幼虫はコクゾウムシという虫の幼虫であることが判明した。米の中に現れることがあり、どんどん繁殖して、米俵や袋を食い破ってその辺を歩き回るらしい。


 父に米農家の知り合いがおり、いつも安く米を買わせてもらっていたのだが、だいたいいつも30kgずつ買っていた。米の入った紙のようなものでできた袋を見ると、そこらじゅうに穴が空いていた。袋を開けて中を見てみると、コクゾウムシとその幼虫が大量にうごめいていた。


 私はシャワーを浴びてしばらく1人で泣いた。

 私が今まで生きてきた中でぶっちぎり1位の恐怖体験でした。イモムシで顔拭いたんだぞ。

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