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ドラゴンの使者・ドラコメサ伯爵家物語 ドラゴンの聖女は本日も運命にあらがいます!  作者: 栗栖 龍


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閑話 お嬢様たちの護衛陣

ドラコメサの領主にも護衛を付ける許可が下りた週末、有事の際には連携が必要という観点から『王族・準王族・ドラコメサ領主の護衛達の顔合わせ』という名の食事会が、近衛騎士団御用達のパブを貸し切りにして行われた。

特に王太子婚約者のマリエラの警護とリュド達は行動を共にする機会が多いので必須だった。

今夜の護衛は他の者たちに任せ、各人5~6名のメインで警護に着く者たちで集まった。

その内訳はリュドの同級生が中心になっており、学生時代にすでに顔見知りになっているものがほとんどだった。


実はドラコメサの子供たちと王子たちの年齢が近いと分かった時点、つまりリュドが学園に入った時点で、ドラコミリの年齢を中心に殿下やその婚約者たちの護衛を選ぶと決定していた。

護衛はリュドの前後2年の者たちで4年の学園生活を終え近衛騎士団入った者と、その当時すでに近衛の任に就き、臨時講師として騎士科に教えに来ていた数人で固められていた。

と言うことで2年下のシアやトリアの同級生も含まれていて、この会合は顔見せと言うよりも久々の同窓会ののりに近く、店内ではすでに和気藹々とした飲み会が始まっていた。


「夜も大変だったんだって?」

「ああ。シアとトリアの二人を初晩の護衛にしておいて正解だった」

「それで同じことをさせたのか」

「さすが」


そうリュドの同級生たちで盛り上がっていると、リュドの言葉に反応したシアの同級生たちが質問してきた。


「同じこととは何ですか?」

「馬鹿な侵入者を逆さ吊りにすることだ」

「あれってドラコミリ殿の入れ知恵だったのですか?」

「リュドでいい。その通りだ」

「こいつらも学生時代に夜這いをされて……」


酒を飲みながら話すリュドと同級生の言葉からすると、詳細は以下の通りだった。


リュドは平民として入寮したため、同じくバルセロノから来た3人と同室になった。

一人はユルで、もう一人はセティオ。そしてもう一人は未来の司祭候補でユルたちと同じ孤児院で育ったマリオで、ユルと同じく華奢で可愛い感じの男子学生だった。

入学以来、リュドとセティオには男女問わずラブレターが送られ、時に迫られたりしていたが『聖竜様』を盾に全てをはねつけていた。

それでも諦めないバカは各学年におり、そいつらが4人、それぞれの目当ての人間が重なっていないのをいいことに共闘し、リュドたちの部屋に忍び込んで各人のお目当てに襲いかかるという事件が発生した。

その時、4人が一度に襲われていると分かったリュドは生活魔法なら学園の監視網に引っかからないのを逆手に取り、4つの水球を生み出した。

襲撃者の頭を包み込むように。


「『殺戮の水球』は、今でも語り草になっているぞ」

「早く風化してくれ」


いきなり頭全体を水で覆われ、もがいても暴れても剥がれない水に溺れ、4人はそのまま床に倒れ伏した。

リュドは“男たちの肺と気管から水を抜いてから、殴って気絶させる”を繰り返し、セティオが手慣れた手つきで男たちをロープで簀巻きにしていった。

そして魔力を使わずに襲撃者たちを外に運んで寮の前の木に逆さ吊りで括り、木の板に「私たちは男子学生を襲って返り討ちに遭った愚か者です」と書いてそれぞれの体に貼り付けて放置した。

翌朝、4人が貴族の息子で一人は侯爵家の次男だったことで大騒ぎになったが、騒がれて気が済んだリュドによってロープがほどかれ、脅されたことで終結した。

リュドの「次は殺す」だけでなく、セティオの「次は聖竜様の御下(みもと)に送って差し上げましょう」と言う穏やかな脅しに、被害者は誰も二人を訴えなかった。

その後、教師たちも知らぬところで終わったこの騒ぎは学生の間では有名になり、襲撃した4人は学園を2年休学し、リュドとセティオが卒業してから復学したものの肩身が狭く、4人とも未だに領地に引きこもっているという話だった。


「だから今回も木に吊るされていたのか」

「はい。括り方もリュドさんから教えていただいていたので」

「敵には一切容赦はするなとも教えてあるしな」


入学式の夜にフィオラを襲おうとした男は2人もおり、2人とも幼いながらに伯爵家の放蕩者で有名だった。

防御魔法をかいくぐりフィオラの部屋に侵入することはできたものの、フォルトとリュドを中心に開発した魔道具『一網打尽ベルト』――普段は十数本のベルトが玄関マットのように平らになっていて、登録のない魔力を感知すると網状になって広がり捕らえる防犯用魔道具――の試作品によって捕えられてしまった。

その後シア達により物理的に眠らされ、縄で簀巻きにされ、胸元に『私は女子生徒の部屋に忍び込んだ強姦魔です』と書かれた木の板が括られ、女子寮の目の前の木に吊るされてしまった。

翌朝、女子寮の玄関前で醜態をさらした上に女子生徒から様々な罵倒を受けて、高慢だった彼らもさすがにしおれていたそうだ。

蛇足だが、彼らは『学園の防御魔法をかいくぐれるほど魔法操作が優れている』実力の持ち主なので、真面目に学生生活を送っていれば将来は安泰だったはずだった。

しかし、学園からだけでなく『聖竜様の使徒であるドラコメサ領主からの直々の手紙』も生家に送られてしまい、2人は廃嫡され、領地の屋敷に一生閉じ込められることになったそうだ。

この(のち)、この件で聖竜の使徒を襲うとどうなるかが貴族の間に浸透するのだった。


閑話休題。

本来、寮には許可を得ていない異性が侵入できないように防御魔法がかけられているが、それをかいくぐってくる馬鹿は毎年何人か現れるし、年に一度は部屋の前で待ち伏せする事件が起きるので、学園側にとって頭の痛い問題だった。

この10年は殺戮の水球の話が浸透していたおかげで部屋に侵入する事件は起きていなかったが、警備体制を何度見直しても“どこからか情報が漏れてしまうため”に、寮生活における最たる問題になっていた。

この事もあって、リュドたちが学園内においてもフィオラの護衛につくことを了承させることができたのだった。

おかげでこうして皆で飲めると同級生同士で笑いあっていたら、シアとトリアが小さな声でリュドに進言した。それはもう、かなり言いにくそうに。


「この件についてですが、リュドさん。フィオラ様の危機管理というか、その、性的な考え方がおかしいと言いますか」

「性的というか、男女間の問題と言いますか……」

「……まさか、フィオラ様は夜這いと判断しなかったのか?」

「はい。『何を盗もうとしたのかしら』とのんきに聞かれたときにはどうしようかと思いました」

「狙いはフィオラ様の貞操ですとも言えず……」

「エリサさんには伝えたのか?」

「はい」

「じゃあ、すでにエリサさんから説明を受けていると思うから大丈夫だと……思いたいな」

「そうですね。ところでリュドさんも夜這いのターゲットだったんですか?」

「ああ……そうまでしてドラコミリを手に入れたかったんだろうが」

「違う違うw お前、入学したころユル並みに小さくて可愛かったから、それだけでそっちの趣味の男に狙われてたんだよ」

「はあっ!?」

「え!? そうだったんですか?」

「教えてください」


今更知った事実に呆然とするリュドの横で、リュドの同期達が「いかにリュドが可愛かったか」「1年でごつく成長してどれだけの人間が泣いたか」「この10年でさらにでかくなって驚いた」などと盛り上がりだした。


「女子としてはかっこいい男性が増えて2年次は大いに盛り上がったのよね」

「女子に一切興味がないっていうのが、また美味し~って言われていましたよね」

「年が明けたらストイックさに磨きが掛かってたからみんな驚いたんだけど」

「守りたい主に出会えたからって言われて、納得するしかなかったわよね」

「年始にフィオラ様たちにお会いして、守らなければと思えたからな」

「でも、だからって、いい男を3人も連れてっちゃうことは無かったんじゃない?」

「おかげで俺らは近衛隊に入れたからありがたかったがな」

「言いたい放題だな、お前ら」


事実、リュドたちが就職先を決めるころに、貴族子息であったデマロとアレクには近衛騎士団に入らないかと声がかかっていたそうだ。

しかし、もともと地元に帰ると決めていたデマロと、兄たちが王城に勤めているので遠くで働きたいと思っていたアレクはその誘いを断った。

そこで騎士科の成績が5位と6位だったニコとリアムが誘われ入団し、第二王子とマリエラの昼間の護衛についているのだった。


「第二王子の機嫌が悪くてリュド達と普段は話せないのが難点だがな」

「機嫌で済む問題じゃないだろう、あれは」

「嫉妬から来ているらしいが、何とかならないのか、ニコ」

「無理だな。相手は王族だし、何よりルド殿下はプライドがお高くてなあ」

「護衛の言うことなんて聞かないということか……頑張れよ」

「ありがとう。いざという時は有無を言わせないように頑張るよ」


こんな感じで話に花を咲かせて30分くらいたったころだろうか、追加で人がなだれ込んできた。


「近衛はいいパブを使ってるな」

「誰が来てもいいところなんだから、お前も王都に来たら利用するといい」

「アレクのお兄さんは第3王女殿下の護衛のまとめ役なんだっけ?」

「らしいな。デマロが気に入りそうな店だよな。あいつが来た時にみんなで来るか」

「飲みすぎないように気を付けるのですよ」


アレクとアレクの次兄、ユル、ガルシオ、リナルドと言った面々を先頭に、30名くらいの人間が、来年王族・準王族・フォルトの護衛に着くことに決まっている人々とその同期達が続々と入ってきた。


「なんだ、お前らも来たのか」

「そろそろ堅苦しい話も終わって、同期会になってるだろうと兄貴に言われてな」

「ついでに来年からのメンツも顔合わせをしておこうということになってね」

「同期会になってるならボクたちが参加してもいいよねって思って、きちゃった」


護衛同士の会合があると知ったフォルトが、領城に帰る時期をずらした上で、ガルシオ達に参加できそうなら行ってくるといいと送り出してくれた

たまたま帰省していたアレクも来年護衛に着く近衛騎士団勤務の次兄に誘われて、他のメンバーも誘ったうえでパブに来たそうだ。

ちなみに、アレクの兄は3人おり、長兄が王宮騎士団に就任し、三男は王宮で文官として働いている。そして5歳年上の兄弟の中で一番眉目秀麗な兄が近衛騎士団に入団した時点で、自分は絶対に王宮以外で働くと決めていたそうだ。

それでも兄弟仲は良く、こうして誘われて皆に合流できたのは嬉しい話だった。

すると、


「じゃあこれから堅苦しい話をするか。皆、酒を置いて話を聞け」


と、最後に入店した護衛陣の実質トップにあたる近衛騎士団副団長が、大きな声で宣誓した。

すでに飲み食いしていた面子は(そういえばまだ具体的な話はしていなかったな)と思い出し、入ったばかりのメンバーは(まだだったのか)(早すぎた)という顔をしながら席に着き、そこから30分ほど護衛の心得やいざという時のために護衛同士での訓練計画を聞かされた。


「護衛も大変だね」

「連携は重要だから仕方がないな。その場その場で、だれがリーダーになるかも重要だしな」

「なんにせよ経費が掛かることだから、しっかりやってもらわないとな」


護衛任務に関係のないユル・アレク・リナルドはやはり他の同期会に参加しにきた人々と一緒に、パブの隅でチミチミ飲みながら観察をしていた。

話が終わった後は無礼講となり、それこそいろんな年代が入り混じって飲んで語り合う(どんちゃんさわぎをする)楽しい会合となったのだった。



PS.

ユル「あれ? リュドが入学した時には同期が着くって決まってたってことは、その時はフィオラ様達にも警護が着くって決まってたんじゃないの?」

アレク「ユルにしてはするどいなw 兄上曰く、数年前に学園長が変わった時に、色々方針が変わったそうだ」

ユル「兄上って呼んでるんだw」

アレク「変なところに反応するな!」

お読みいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけたら、ブックマークや下の☆での評価をお願いいたします。

とても励みになりますし、頑張る気力にもなります。


今回は閑話で護衛達がどのような人間で構成されているかの説明をさせていただきました。

まあメインは、同期同志が集まったらこうなるだろうなというお話ですw


次は本編に戻ります。頑張りますので、よろしくお願いします♪

(が、来週も若干怪しいです……早く落ち着いてほしいものですorz)

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